2025年6月1日以降、6月30日までに公表された内部統制報告書について、「有効である」という結論以外となる報告書を提出した企業及びその内容は次のようになっています。
| № | 1687~1691 | ||
|---|---|---|---|
| 企業名 | アライドアーキテクツ株式会社 | 市場 | 東証グロース |
| その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。 記
重要ポジションについては、任命基準やプロセスを改めて明確化の上、重要ポジションへの任命者については、その適格性について取締役会でレビューを実施します。不足するスキル等がある場合、教育的施策の実施等を行い、将来的なキャリアとスキルマップを対象者と協議のうえ、中長期的な視点で人材のモニタリングを進めてまいります。
取締役会とは別に、各事業の責任者が月次で集まる会議体として経営会議を新たに設置し、各事業部の事業特性や市場環境を踏まえ積み上げ数値をもとに合議的に予算設定を行うものとします。また実績数値や着地見込み数値のモニタリングについては、取締役社長と各事業部の統括部長とで週次で実施しますが、予算を下振れする場合にも、アクションプランやリカバリープランを合理的に設定し、経営会議において全社的な課題として取り上げ、各事業部の予算額の調整も含め、建設的な対応を行う体制を構築いたします。
リスクマネジメント委員会(当面は再発防止委員会での対応)を設置し、特に財務報告観点からのリスクの洗い出しや、それらリスクへのマネジメント方針の設定を進めます(当面は社外役員や外部の専門家による知見も活用して進める予定です)。また、特に当社全体における職務分掌の設計については、同委員会において改めて各管理職位の職務権限を整理し、必要に応じて組織構成も見直しを行った上で、職務権限規程の改定を進めます。
当社全役職員を対象に、継続的なコンプライアンス研修を実施します。特に当面は財務報告の重要性や、本件事案を踏まえた研修内容を加えるとともに、入社時及び管理職位への昇進時には改めてコンプライアンス研修を実施するとともに、コンプライアンスに係る宣誓書の提出を求め、コンプライアンス意識の継続的な醸成を図ります。
また今後定期的にコンプライアンスウイークを設け、当該期間中にコンプライアンス研修を実施するとともに、当社経営陣よりコンプライアンスに関するメッセージを発信することで、コンプライアンスの重要性について継続的な喚起を行います。
今後、当社の組織設計において組織長・中間管理職位者・業務従事者、という最低3層の組織設計を基本といたします。また、当社の連結子会社においても一定の内部牽制機能が期待できる組織体制になっているか、特に必要な管理者が設置できているかについて確認の上、社内の人員数等から十分な管理体制の構築が困難な事業については、他事業への統合や事業撤退も含めて検討を行います。
なお、当該クロスボーダーカンパニーについては2025年4月1日付けで廃止し、管理体制の整った大きな組織である国内事業に吸収の上、事業の継続を行っております。また、クロスバウンド事業の子会社である株式会社オセロについても解散し、同様に当社国内事業で同社の事業を引き継いでおります。
本件事案の販売取引及び購買取引が、当社の販売管理システム上、自己承認を介して実行されていた点に対し、当社は早急にこのような販売管理システム上の承認権限設定を改善すべきであると認識しております。しかしながら、当社の販売管理システムが標準仕様から各種カスタマイズの結果、承認レイヤーの仕様が非常に複雑化し、承認フローの変更(承認権者の設定含む)が容易にできない状況にあることから、今後速やかに、販売管理システム上の取引承認権限を改めて整理の上、販売管理システム上で自己承認の実行ができないようにシステム対応を行います。
また、その際には自己承認取引の廃止を各種規程に明記するとともに、改めて社内通知を行うとともに、販売管理システムにおけるシステム対応が整うまでの間、取引申請者と承認者が同一となる自己承認取引については、すべての取引について、内部監査によるモニタリングを実施いたします。
販売システム上の検収確認メールの送信先メールアドレスは、顧客の法人ドメインとすることを改めて明確にし、送信先メールアドレスの登録時や変更の際、販売システム内の承認ワークフローにて上長の申請を受けるものといたします。また、送信先メールアドレスの追加は同一ドメインに限定するようシステム対応をいたします。
また、販売管理システム上に実際に顧客側で検収確認を行った際には、検収者のIDやメールアドレス、検収日時等が記録として残るようにシステム改修を行い、顧客側での検収状況について、内部監査等による事後的な検証が容易に実施できるような体制を整えます。
当社の販売取引及び購買取引につき、取引類型(商材や取引形態毎)に応じた成果物を再整理・再定義の上、納品物が存在する取引については収益認識時、または費用計上時(棚卸資産計上時)にこれらの成果物の実在性を裏付ける証憑を指定の場所に必ず保管するというルールを改めて明確化いたします。そのうえでこれら証憑の保管状況については、管理部門内の担当者(いわゆる第1.5線)が確認を行うようにいたします。
財務経理部の体制を強化し、第2線としての牽制機能を高めるため、財務経理の専門的スキルを有した中途採用や、外部専門家のリソースの活用、及び、各四半期に各事業部の責任者との情報連絡会を行い、債権回収の状況や取引における懸念事象等の情報収集を進めます。
また、いわゆる第1.5線として、管理部門内に営業事務に関する管理担当者を設置し、納品物確認や請求書発行業務を営業部門とは異なる第三者的立場から実施します。
内部監査室の人員を増強(兼務者の専任化も含む)の上、特に各事業の特徴や商材の特性を踏まえ、会計不正や誤謬の発生リスクを改めて整理の上、実効性ある内部監査の実施を進めます。当面は内部監査計画の策定から具体的な監査手続の設計も含め、外部の専門家の指導を受ける予定ですが、内部監査における各種ノウハウの吸収を進めることで、自走できる内部監査体制を早期に目指します。
また内部監査の監査結果について監査等委員会に報告を行う際には、監査等委員会に内部監査自体の評価も求め、継続的な内部監査品質の向上を図ります。 以上 |
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| 付記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 特記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 監査法人 | PwC Japan有限責任監査法人 | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
| 備考 | 上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。 |
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| № | 1692 | ||
|---|---|---|---|
| 企業名 | 綜合警備保障株式会社 | 市場 | 東証プライム |
| その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。従いまして、当連結会計年度末日時点におきまして、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。 記 |
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| 付記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 特記事項 | 上記3「評価結果に関する事項」に記載の経緯により、2020年3月期より2024年3月期にかけて、当社グループにおける退職給付制度のうち、当社及び連結子会社4社の退職一時金制度に係る退職給付債務について、金額については適切に見積もっていたにも関わらず、その計算結果を誤ってデータ入力していたことが判明しました。 |
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| 監査法人 | 太陽有限責任監査法人 | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
| 備考 | |||
| № | 1693 | ||
|---|---|---|---|
| 企業名 | 株式会社フコク | 市場 | 東証プライム |
| その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告の適正性に重要な影響を及ぼすことになり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。従って、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。 記 |
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| 付記事項 | 「3 評価結果に関する事項」に記載した開示すべき重要な不備を是正するため、内部統制報告書の提出日までに以下の措置を実施いたしました。今後も引き続き再発防止策の整備と運用を推進してまいります。 |
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| 特記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 監査法人 | EY新日本有限責任監査法人 | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
| 備考 | |||
| № | 1694 | ||
|---|---|---|---|
| 企業名 | 株式会社サンウェルズ | 市場 | 東証プライム |
| その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。 記 |
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| 付記事項 | 付記すべき事項はありません。 |
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| 特記事項 | 特記すべき事項はありません。 |
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| 監査法人 | 有限責任監査法人トーマツ | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
| 備考 | |||
| № | 1695 | ||
|---|---|---|---|
| 企業名 | 日本製麻株式会社 | 市場 | 東証スタンダード |
| その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。したがって、当連結会計年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。 記 |
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| 付記事項 | 「3 評価結果に関する事項」に記載した開示すべき重要な不備を是正するために、当連結会計年度の末日から内部統制報告書提出日までに、次の是正措置を講じております。具体的には、2025年6月13日の取締役会において、「M&Aの検討及び実施に関するガイドライン」の制定を決議し、M&Aの検討及び実施に際して重視すべき原則を取りまとめ、取締役会における意思決定の指針としております。 |
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| 特記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 監査法人 | なぎさ監査法人 | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
| 備考 | |||
| № | 1696 | ||
|---|---|---|---|
| 企業名 | 株式会社ニチリョク | 市場 | 東証スタンダード |
| その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。 経理担当者の退職等による財務報告の作成に必要な人的リソース不足により、適切な決算財務報告に対応できる必要かつ十分な人員体制を構築できておりませんでした。その結果、社内のチェック体制が不十分であり、会計上の見積もりに対する補完統制が運用されておらず、決算作業及び監査スケジュールに遅延が生じたこと等、財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。 当社の経理・決算業務において経理担当者退職に伴う必要十分な引継ぎ、人員の補充などが間に合わず、決算業務を十分かつ適切に遂行できる体制を構築することができなかったためであります。 当社は、決算財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、今後は以下の方針に基づく再発防止策を講じ、決算財務報告に係る内部統制の重要な不備を是正し、翌期会計年度においては適切な内部統制を構築し、整備運用する方針であります。 (1) 決算財務報告プロセスの見直し及び決算早期化 |
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| 付記事項 | 付記すべき事項はありません。 |
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| 特記事項 | 特記すべき事項はありません。 |
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| 監査法人 | 監査法人ハイビスカス | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
| 備考 | |||
| № | 1697 | ||
|---|---|---|---|
| 企業名 | GFA株式会社 | 市場 | 東証スタンダード |
| その内容 | 上記の評価の結果、当社代表取締役社長松田元は、当連結会計年度末日時点において、下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。 記 |
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| 付記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 特記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 監査法人 | 監査法人アリア | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
| 備考 | |||
| № | 1698 | ||
|---|---|---|---|
| 企業名 | 株式会社エルアイイーエイチ | 市場 | 東証スタンダード |
| その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。したがって、当事業年度末日時点において当社グループの財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断しました。 記 1.会社は、2025年3月に、東京証券取引所より、前代表取締役の、取締役会の承認を経ていない多額の支出を行う等の不適切な行為を止められなかったとして、特別注意銘柄に指定された。このことは、会社に全般統制の一部(取締役会、監査等委員会の役割)に問題があったと判断される。 2.会社は、前期2024年3月期に、決算・財務プロセスに、開示すべき重要な不備があると判断されたが、今期末までに十分な人員の補充を行う事が出来ず、この結果期末までに新規に取得した子会社の内部統制を構築する事ができなかった。このため、決算・財務プロセスは十分な改善がなされておらず、重要な不備があったと判断される。 |
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| 付記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 特記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 監査法人 | KDA監査法人 | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
| 備考 | |||
| № | 1699 | ||
|---|---|---|---|
| 企業名 | 昭和ホールディングス株式会社 | 市場 | 東証スタンダード |
| その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。 記 |
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| 付記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 特記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 監査法人 | 監査法人アリア | 監査意見 | 財務諸表監査:限定付適正 |
| 備考 | |||
| № | 1700~1702 | ||
|---|---|---|---|
| 企業名 | 日精樹脂工業株式会社 | 市場 | 東証プライム |
| その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断しました。 記
当社では、連結決算業務における未実現利益消去額の算定において、一部の外貨建取引について取引時に管理会計上の為替レートで換算し、決算時に当該取引発生時の為替レートに換算替えを行っていますが、一部の海外連結子会社との外貨建取引において当該換算替えが行われず、その結果として、未実現利益の消去金額の誤謬が発生しました。当該誤謬の発生原因は、為替レートの適用に関する財務部門でのモニタリング体制が不十分であったことにあります。
当社では、個別決算業務において、決算時に前渡金、未収入金及び買掛金の消込を行っていますが、一部の海外連結子会社に対する前渡金、未収入金及び買掛金について消込が適切に行われておらず、加えて、上記(1)と同様に、一部の海外連結子会社との外貨建取引が取引発生時の為替レートではなく管理会計上の為替レートで換算されたままとなり、その結果として、海外連結子会社に対する当社の前渡金・未収入金・買掛金及び売上原価の誤謬が発生しました。当該誤謬の発生原因は、外貨建取引であり、かつ、有償支給取引を含む複雑な取引であったことに加え、財務部門における担当者間の業務の引継ぎが不十分であったこと、また、前渡金、未収入金及び買掛金の消込に関する財務部門でのモニタリング体制が不十分であったことにあります。
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| 付記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 特記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 監査法人 | かなで監査法人 | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
| 備考 | 上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。 |
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| № | 1703~1707 | ||
|---|---|---|---|
| 企業名 | 株式会社ACCESS | 市場 | 東証プライム |
| その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。 記 (a) ソフトウェアのライセンスの販売取引に関し、本体契約と同時期に顧客をリスクフリーにするサイドレターを別途締結し、当該米国子会社が実質的にリスクを継続的に保持する条件となっていたにもかかわらず、本体契約のみに基づき売上を計上していたこと(売上高の過大計上)。 (b) ソフトウェアのライセンスの販売取引に関し、収益認識の条件が充足されていない状況であるにもかかわらず、虚偽の取引証憑や資料を作成して売上を計上していたこと(売上高の早期計上)。 また、特別調査委員会の調査に並行して、当社側で当該米国子会社のソフトウェア資産計上額の点検を行った結果、ソフトウェア開発費の資産計上範囲について、同社の規定方針からの逸脱が判明したため、あるべきソフトウェア資産計上額の再算定を行った結果、以下の事実が判明しました(以下、これらの事案を合わせて「本件事案」といいます。)。 (c) ソフトウェアの資産計上額の算定根拠となる集計データの内容区分に関する不適切な操作や、ソフトウェアの計上タイミングの根拠となる取引証憑の不適切な改変が行われており、その結果、過去に遡って当該米国子会社におけるソフトウェア資産計上額が過大計上であったこと(ソフトウェアの過大計上=研究開発費等の過少計上)。
本件事案では、予算対実績やネットワーク事業に対する期待を意識した当社の米国子会社の一部のマネジメントが、売上取引に関する取引条件の交渉(サイドレター含む)や売上計上の根拠証憑や資料の不適切な改変、並びにソフトウェア資産計上のための根拠データの操作や取引証憑の不適切な改変に関与する形で進めており、概して当該米国子会社の一部のマネジメントがその立場を利用し、同社の内部統制を無効化することにより、不適切な売上計上やソフトウェア資産計上を行っていた、というものでした。従って、当該米国子会社の一部のマネジメントにおいて、信頼性ある財務報告に対する姿勢や規範意識が不十分であったものと認識しております。
本件事案における売上の過大計上や早期計上は、当該米国子会社のマネジメントが関与する形で進めており(売上計上の根拠証憑の不適切な改変等も含む)、当該米国子会社内での自立的な内部統制が機能しづらい状況における処理でした。
本件事案におけるソフトウェアの過大計上は、当該米国子会社の他のマネジメントの意を汲んだCFOが指示する形で進められており、特に開発費のソフトウェア計上(資産計上)に関しては、会計処理の承認も含め当該CFOが広く権限を有していたため、当該米国子会社内での自立的な内部統制が実質的には機能しない状況における処理でした。 当該米国子会社のCFOが本件事案における各種不適切な会計処理を承認していたため、同社における決算・財務報告プロセスの会計仕訳入力時のCFOレビュー・承認プロセスには不備があったものと認識しております。
当社業務執行取締役(海外担当)が、米国子会社の取締役を兼務しており、当社取締役でありながら当該米国子会社側における不適切な会計処理に関与していたことから、当社側においても信頼性ある財務報告に対する姿勢や規範意識が必ずしも十分ではなかったものと認識しております。 本件事案は当社の米国子会社における事案であり、当該米国子会社は当社によるグループ会社化後、ネットワーク事業において中心的な役割を果たし、ネットワーク事業の拡大に伴い当社グループ全体における重要性も高まってきておりました。一方、当社側において、本件事案のような子会社のマネジメントが関与した不適切な会計処理に関するリスク認識が必ずしも十分にできておらず、その結果、後述する統制活動やモニタリング体制の強化、当該米国子会社における取引実態についての情報収集等が十分になされず、当該米国子会社での特定の取引先との取引の急速な拡大、代金回収の大幅な遅延、直接の取引先ではない第三者からの入金といった状況についても、適切なリスク対応ができておりませんでした。 前述のとおり、本件事案のような子会社のマネジメントが関与した不適切な会計処理に関するリスク認識が十分ではなかった結果、当該米国子会社の企業規模等の拡大に対し、当社の管理部門や内部監査部門による統制活動やモニタリングの強化が十分には行えておりませんでした。当該米国子会社のCFOのレポーティングライン(報告経路)が当該子会社のCEOのみとなっており、当社側からの統制が効きづらい状況が続く中、現地側からの情報収集も含め、海外拠点に対する第2線・第3線としての統制活動やモニタリングについて、十分な体制構築ができておりませんでした。
これらの全社的な内部統制、決算・財務報告プロセス、収益認識プロセス及び原価計算プロセスにおける不備は財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の改善策を講じて適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。 当該米国子会社において本件事案への関与が認められた同社取締役及びCFOについては、本件事案に関する経営責任を明確化の上、体制の刷新を進めます。具体的には、同社のCEO及びCFOを変更し、関与者の財務報告への影響力を早急に排除するとともに、当面は当社からの人員による、もしくは当社への報告義務を持たせた外部専門家を活用した監視監督を行います。
当該米国子会社の現在の規模に見合った管理体制を構築するため、新たに法務・コンプライアンス担当人材も採用の上、管理部門の人員を増強します(必要に応じ外部専門家の支援も受ける体制を構築いたします)。その上で、同社CFOに集中していた権限を、経理・財務と法務・コンプライアンスの第2線の両機能に分化し、相互に牽制を働かせる管理体制を構築いたします。 当該米国子会社を含む当社の海外拠点において、当社グループの一員としての意識の醸成を行うため、特に財務報告の重要性等についての継続的な教育を実施いたします。 当該米国子会社における多様な取引形態や取引の実情を踏まえ、改めて収益認識に関する社内規程の見直しを行い、取引類型に応じた会計処理方針の規程の詳細化・具体化を行います。またこれらの規程や設定趣旨については、同社の経理部門のみならず、営業部門等関連部門へも周知徹底するとともに、継続的な意識づけを行います。 本件事案を踏まえて、収益認識に関する各種業務プロセスの見直しと再構築を進めます。具体的には、取引先管理の強化(取引開始時の審査項目の見直しを含む)や、各種契約書の事前チェックの強化(会計的なリスクの事前評価や、契約が複数のものからなる場合の各契約間の相互関連の評価、契約への署名や決裁の権限・職務分掌の明確化等)、出荷(Shipment)管理の強化(エンジニア部門内における独立したチェック体制の構築、出荷の成立要件の明確化、出荷証憑における例外の明確化等)等について改めて商流ごとに各種プロセスと手続の改善及び周知徹底を進めます。 当該米国子会社におけるソフトウェア開発の実情を踏まえ、改めてソフトウェアの資産計上に関する社内規程の見直しを行い、資産計上を行う費用の範囲(計上開始と計上終了のタイミングも含む)について社内規程の詳細化・具体化を行います。またこれらの規程や設定趣旨については、同社の経理部門のみならず、エンジニア部門等関連部門(ソフトウェア開発を行う当社の他の子会社も含む)へも周知徹底するとともに、継続的な意識づけを行います。 本件事案を踏まえて、ソフトウェア資産計上に関する各種業務プロセスの見直しと再構築を進めます。具体的には、ソフトウェア開発に関わるエンジニアによる工数入力の正確性の向上のための仕組みの構築、経理部門における手作業による工数データの修正作業についてのチェック等の改善を進めます。加えて、特にソフトウェア計上時期に関しては、エンジニア部門から報告された情報を経理部門が承認することで相互牽制が働く体制を構築いたします。 財務報告に関する当社全体の意識向上のため、継続的な教育を実施いたします。全社的な教育においては、財務報告やコンプライアンス等の内容を織り込むとともに、特に経営幹部向けの教育においては、財務報告、ビジネスエシックス、経営者のインテグリティ等に関する体系的・継続的な研修を行います。 また、それらに先立ち、当社経営トップが再発防止に向けた強いリーダーシップを発揮すべく、本件事案の総括を行い、反省し、どうあるべきかを考えたうえで、当社の全役職員に対し、自らを含め全社的に意識改革をしていく必要がある点、経営トップ自らが責任をもって主導していくという点を、トップメッセージとして発信いたします。 取締役会における業務執行側と社外取締役との間に健全な緊張関係を維持しながら、率直かつ建設的な議論ができるような環境を整えるため、特に取締役会における情報伝達の観点から、経営会議において共有・議論された内容のうち、重要なものが過不足なく取締役会に共有される仕組みと、後述する第2線・第3線における内部統制において検出された重要なリスク情報が漏れなく取締役会に報告される仕組みを構築いたします。 当該米国子会社CFOのレポーティングライン(報告経路)を当社に設定したうえで、同社のCFOの採用・評価・解雇に関する人事についても、当社CFOが権限を持つ体制整備を進めます。また当該米国子会社において一定の統制体制の運用が整うまでの当面の間は、外部専門家の協力も得ながら、当社CFOが当該米国子会社に各四半期決算の都度、現地に赴き、重要な取引や契約、会計処理等について直接確認を実施するようにいたします。
当社の管理体制の全般的なリソースについて拡充を図るとともに、特に海外拠点の管理とコントロールを強化いたします。具体的には、海外拠点の事業部門・経理・法務から当社への報告体制を整備し第2線同士での連携を強化いたします。 当社の内部監査部門についても、体制の増強を進め、特に海外拠点に対する内部監査の強化を行います。定期的に当社の経理部門等の第2線の問題意識や懸念事項を吸い上げ、財務報告観点からのリスク分析を行ったうえで、内部監査の計画や手続の立案を行うとともに、当面は外部専門家の支援も受けながら海外拠点の現地監査をより深度あるものにいたします。 |
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| 付記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 特記事項 | 該当事項はありません。 |
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| 監査法人 | 有限責任 あずさ監査法人 | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
| 備考 | 上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。 |
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