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2025年9月公表「内部統制報告書」記載内容集計表

投稿日時:2025年11月04日(火)

 2025年10月1日以降、10月31日までに公表された内部統制報告書について、「有効である」という結論以外となる報告書を提出した企業及びその内容は次のようになっています。

開示すべき重要な不備が存在すると表明した企業
15
重要な手続が実施できないと表明した企業
0

開示すべき重要な不備が存在すると表明した企業

1732~1734
企業名 河西工業株式会社 市場 東証スタンダード
その内容

 当社は、2023年3月期、及び2024年3月期において財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備があるとして開示を行っております。これらについて2024年3月期の内部統制報告書に記載した各再発防止策を実施してまいりましたが、下記の通り、一部の開示すべき重要な不備が当連結会計年度においても是正されていない状況であること、また、2025年3月期についても新たな財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備を識別していることから、当連結会計年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。
 

 
<2024年3月期に識別された開示すべき重要な不備>
 当社は、2024年3月期において、財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備があるとして開示を行っております。当該不備の是正状況については、4 [付記事項]に記載しており、当連結会計年度末においても引き続き改善中となっています。
 
<2025年3月期に識別された開示すべき重要な不備>
 2025年3月期において、過年度に起因する新たな誤謬がKMEXにおいて発見されました。この誤謬は買掛金の勘定科目の照合作業を実施するなかで発見され、調査の結果、過年度に遡り2023年3月期より買掛金残高が誤ったまま四半期毎の決算を行っていたことが判明いたしました。(以下、「買掛金の計上誤り」という。)これに伴い、KMEX及びKMEX以外での過年度決算における他の誤謬も含めた2025年3月期以前の各四半期の連結財務諸表への影響金額や、当社における2024年3月期以前の有価証券報告書への記載内容を算定・ 検証のうえ、過年度決算や過年度の有価証券報告書の訂正作業等を行うことが必要となりました。
 これらを踏まえ、当社は、2023年3月期及び2024年3月期の有価証券報告書並びに内部統制報告書、また2023年3月期及び2024年3月期の各四半期報告書、更に2025年3月期の半期報告書についての訂正報告書を提出いたしました。
 
 上記の状況を踏まえ、当連結会計年度末において識別している開示すべき重要な不備の一覧は以下の通りです。

 

 

 

 

 

 

 

 

会社 区分 不備の項目 不備の対象年度
2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
当社 全社的な内部統制 KMEXの決算財務報告への不十分な関与に関する不備

財務報告に関するリスクマネジメントに関する不備

決算財務報告プロセス マニュアル、チェックリストの整備及び運用に関する不備

経理担当者への教育不足

KMEX IT全般統制

KMEXの新ERPシステム導入時に関する不備。

業務プロセス

購買プロセスにおける残高調整に関する不備

購買プロセスにおける債務計上に関する不備
決算財務報告プロセス マニュアル、チェックリストの整備及び運用に関する不備

経理担当者への教育不足
機能通貨の換算プロセスに係る内部統制の不備


 (注)●:不備を識別した年度
    〇:不備が未改善の年度
    ◎:過年度に遡って不備を識別した年度
 
 これらの内部統制の不備は、当社の財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高いことから、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 上記については、2023年3月期、2024年3月期及び2025年3月期に識別され、2025年3月期の事業年度の末日において是正することができていない不備となります。2023年3月期の不備はKMEXにおける新会計システム導入に関する決算数値の誤謬、2024年3月期の不備はKMEXに関する機能通貨に関する誤謬、2025年3月期はKMEXにおける買掛金計上に関する誤謬であり、その都度不備を網羅的に識別し、当該不備に対応する再発防止策に基づく是正に真摯に取り組んでまいりました。いずれもKMEXに関連する誤謬であるものの誤謬の領域が異なるため、結果的に再発防止策の対象業務以外の領域から事後的に追加の不備を識別することとなりました。なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、財務諸表及び連結財務諸表に適正に反映しております。
 
 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を十分認識しておりますが、2023年3月期、2024年3月期及び2025年3月期の3期連続での開示すべき重要な不備の識別・開示となっていることについて、そうした不備を生む主な原因は以下に記載するような点にあります。
 

・ 過年度の内部統制の不備への改善活動は一定程度実行されていたものの、財務報告に係るリスクに対し、当社のマネジメントによる子会社管理への関与やモニタリングが十分ではなかったことから、改善活動を確実に完了させるための体制構築が不足していたこと

・ 当社及びKMEXの双方において、特に決算業務全体のプロジェクトマネジメントを遂行するリソースの配置や、会計基準を理解し、経理業務に精通したリソースが不足していることから、決算財務報告プロセスの体制が脆弱であること

 
 当社といたしましては、こうした状況を認識し、個々の不備に対して再発防止策を設定・実行し適切な内部統制の整備・運用を図っていくために、当社マネジメントによる子会社管理の適切なモニタリング及びリソース・人材の確保・充当が重要な課題であると認識して改善に取組んでまいります。
 
<当社において識別された開示すべき重要な不備>
■ 全社的な内部統制
(KMEXの決算財務報告への不十分な関与に関する不備)
 * 不備の概要と原因

2023年3月期及び2024年3月期において、当社がKMEXの決算・財務報告プロセスに関するモニタリング等に十分に関与できていないことを開示すべき重要な不備として識別し、4 [付記事項]に記載の再発防止策に取り組んでまいりました。
 しかしながら、KMEXの現地のスタッフに対する決算財務報告に関する指導を行うなどの子会社管理を適切に出来る体制が不十分でした。さらに、KMEXについては、当社からのサポートが必要な状況であったにもかかわらず、現地に経理責任者を派遣して決算財務報告のコントロールを実施することが出来ていないなど、当社による現地の決算財務報告のコントロールが十分でないことから、前連結会計年度に開示すべき重要な不備として認識された不備が継続しており、当連結会計年度においても是正は完了していないと判断しました。

 * 不備の内容
  ・ 当社における子会社管理に関する職務を遂行できる体制が不足していること
  ・ 決算財務報告プロセスに関するモニタリングが十分に実施できていなかったこと
 * 再発防止策

2023年3月期、2024年3月期及び2025年3月期の3期連続で、当社としてのKMEXの決算財務報告の体制や仕組みの状況の把握や対応の不備に起因する開示すべき重要な不備の識別が継続していることを鑑み、改めて、当社として、KMEXの会計処理方針や手順適用の実態を把握確認し、必要な是正を実施していきます。
 このためKMEXの経理部門と当社の経理部門との会議の頻度を増やし、書面による報告だけでなく、オンライン会議も活用してKMEX経理の実態及び是正状況を把握することで、当社が改善活動に直接的に関与する体制を構築し、対応します。さらに、当社経理部門から現地駐在員を派遣し、KMEXの各種業務プロセスの改善を推進させるとともに上記のKMEXの経理部門と本社の経理部門間の橋渡し役として機能させます。

 
(財務報告に関するリスクマネジメントに関する不備)
 * 不備の概要と原因

2024年3月期において、KMEXおける米国会計基準に従ったメキシコペソ建て決算数値の機能通貨であるドルへの換算が誤っていること(以下、機能通貨の換算誤り)が判明しました。これについて、開示すべき重要な不備として識別し、4 [付記事項]に記載の再発防止策に取り組んでまいりました。
 そのような中、2025年3月期にKMEXにおいて買掛金の計上誤りが発見されました。当社はこの問題のエスカレーションを受けたのち、当該誤謬に対する原因調査のためのKMEXにおける体制が脆弱であると判断し、当社より人材を派遣し、関与を開始しました。しかしながら、問題の把握、調査の方針の立案、調査結果の分析及び取りまとめ作業を実施するにあたり、これらをマネジメントできるリソースが不足していたことから、原因の追及と修正事項の特定までに時間を要し、訂正報告書及び有価証券報告書の提出が遅延する結果となりました。そのため、当連結会計年度においても是正は完了していないと判断しました。また、こうした問題のエスカレーションについても必ずしも報告すべきリスク内容や報告先が明確になっていないことを認識しました。

 
 * 不備の内容
  ・ 当社主導による重要な誤謬に対応する体制構築が不十分であったこと

・ 財務報告に関するリスク及び問題の全体把握並びに対応方針を取りまとめ、マネジメントできるリソースが不足していること

 * 再発防止策

当社は、発生した問題に関するエスカレーションルールについて、報告すべきリスクを類型化し、報告先を明確化するなど整理改善し、改めて社内へ周知を行うこととします。
 また、当社内および海外拠点内で発生した財務報告に係る課題に対処できるリソースを確保するとともに、外部専門家も活用しながら、財務報告に関する課題を解決し、管理する人材教育を実施することを通して適切な体制の構築及びリソース配備を進めてまいります。

 
■ 決算財務報告プロセスに係る内部統制
 (マニュアル、チェックリストの整備及び運用に関する不備)
 (経理担当者への教育不足)
 * 不備の概要と原因

2024年3月期において、当社の決算・財務報告プロセスの不備に起因して訂正報告書を提出していることから、開示すべき重要な不備を識別し、4 [付記事項]に記載の再発防止策に取り組んでまいりました。
 しかしながら、当連結会計年度の決算財務報告においても新たな誤謬が発見されました。当社の経理機能の体制としてもリソースを十分に確保出来ていない状況にあります。
 このため、2024年3月期に識別した以下の不備について是正が十分とは言えないと判断しました。

 * 不備の内容
  ・ 連結決算を取りまとめる立場として子会社から適切に情報を収集する仕組みが整備できていないこと
  ・ 会計基準に対応したマニュアルやチェックリスト等が十分に整備できていないこと
  ・ 担当者の実施した内容を上長が確認する体制または再確認を行う人員体制が十分ではなかったこと
  ・ 経理業務に関する習熟・教育が十分ではないこと
  ・ 会計基準の理解不足及び環境や状況の変化に伴う会計処理の見直しや検討が十分でないこと
 * 再発防止策

会計基準に対応したマニュアルやチェックリスト等の整備は進めてまいりましたが、担当者への教育徹底や、担当者の実施した内容を上長が確認する体制またはダブルチェックを行う人員体制が十分ではなかったことを踏まえ、教育の実施を含めて適切なリソースの確保及び体制の構築を進めてまいります。

 
<KMEXにおいて識別された開示すべき重要な不備>
■ IT全般統制
 (KMEXの新ERPシステム導入時に関する不備)
 * 不備の概要と原因

KMEXにおける買掛金の計上誤りは2023年3月期(2022年初め)に新たに導入したERPシステムに起因して発生しました。新システムには、買掛金の内訳残高を管理する補助元帳のレポート機能において、特定時点の残高を確認する機能が備わっていないにもかかわらず、それを補う機能を追加開発していませんでした。また、新システムの開発においてはフィット&ギャップ分析のフェーズが不足していたなどの課題がありました。このように、新システム導入後は期末残高を手作業で調整し、入力する必要があるなど、機能不足が買掛金の誤謬を生む要因の一つとなっていました。

 * 不備の内容

・ 新システムの導入準備にあたり、必要とされる機能が備わっているかについての事前の検証、確認がなされていなかったこと

・ 必要な機能が備わっていないことが判明したことから、手作業による期末残高の確定作業を実施することとし、誤謬が発生する可能性が高い状況を改善するための機能開発を含むIT投資計画が適切に検討できていなかったこと

 * 再発防止策

新システムに起因した買掛金の誤謬は、買掛金管理に必要なレポートや機能がシステムに実装されていないことから生じていることを踏まえ、これらのレポート機能の開発を進めます。この取り組みは、当社からERPシステム開発に知見のあるリソースを派遣して活動をリードさせると共に、KMEXの現地メンバーを巻き込んだ活動とします。

 
■ 業務プロセスに係る内部統制
 (購買プロセスにおける残高調整に係る不備)
 * 不備の概要と原因

新システムでは買掛金の残高把握に関して、特定時点の残高を表示する機能が備わっていないにも関わらずそれを補う機能を追加開発していなかったことから、手作業による修正が必要な状況となっていました。このため経理部門において、月次で対応を行っていましたが、買掛金担当マネージャーの交代等のタイミングで当該業務が適切に引き継がれず、一時的に外部ベンダーを利用した残高調整を実施しました。その際に外部ベンダーによる作業結果データの内容について十分な理解や検証を行わなかったため、誤った作業結果データ数値に合わせて総勘定元帳の数値を調整した結果、買掛金残高に誤謬が識別されました。

 * 不備の内容
  ・ 決算における期末残高確定のための調整プロセスを理解し、運用する体制が構築されていなかったこと
  ・ 委託業者が実施した作業結果に対する適切な検証や承認の統制が整備できていなかったこと
 * 再発防止策

外部ベンダーへの委託業務の統制の不備に対しては、外部専門家に委託している作業内容を理解し、委託者として作業結果を検証したうえで、会計処理に用いる統制の仕組みを整備いたします。
 また、期末残高を確定するための調整プロセスを正確に理解し、調整プロセスの合理性を検証したうえで、決算時に調整プロセスが適切に実行されているか検証したうえで、承認する運用を実施いたします。

 
(購買プロセスにおける債務計上に関する不備)
 * 不備の概要と原因

買掛金残高調整の調査の過程において、新システム導入後に整備された発注した購入品の受領から債務計上までのプロセスにおける内部統制の不備が2点発見されました。以下の理由から、買掛債務残高が正しく認識されていない状態となっていました。

  (1) 物品受入データの二重計上

購入品の請求書受領時の三点照合処理(発注書、納品書、請求書の突合せ)にあたり、納入時に請求書が届かない場合は、物品受入れを先行する例外処理を実施し、三点照合を請求書が到着後に遅滞なく実施するプロセスとなっています。
 しかしながら、納入時に請求書が届かない場合、請求書に発注Noの記載がないことから、納入時の物品受入データと請求書の紐付けがうまくできない状態となっていました。三点照合処理が実施できない場合には支払いができず、支払が滞ると仕入先の与信管理により新たな発注ができなくなる可能性があります。このような状態を避けるために、請求書に紐付けられるデータを作成するために追加で発注登録及び受入処理を行い、三点照合処理を実行し支払処理を実施しました。その結果、受入データの重複を起こし、債務が二重に計上された状態となっていました。

  (2) 債務データの削除処理

長期間支払われていない債務については、本来は支払いが遅延している残高及び原因を把握して処理をするプロセスとなっていることから、一定の期間を超過しても請求書と紐付かない受入データについては誤計上であるとの判断のもと、過剰な債務として四半期毎に削除していました。しかしながら、詳細な原因分析をすることなく、受入の実態を伴う受入データなのか否かを考慮せずに削除したことから、債務データが過剰に削除される結果となり、逆に債務過少となる状態を生む事となりました。

 * 不備の内容

・ 納入時に請求書が届かない場合に在庫受入をする例外処理について、受入データと請求書の消込処理が行われているかを確認する手続が適切に整備されていなかったこと

・ 長期間支払遅延している仕入債務について、支払遅延が生じている理由及び原因を特定して適切な会計処理をするプロセスが構築及び運用されていなかったこと

 * 再発防止策

取引先からの請求書と紐付けができていない全ての受入れデータを調査し、適切な債務計上となっているかどうかを確認する統制を導入いたします。上記に加えて、取引先より買掛金の残高確認書を四半期毎に取得し、買掛金の残高認識の誤りを無くす取組みを実施いたします。また、納入時に請求書が届かない場合であっても、請求書到着時に紐付けが容易にできるよう、取引先の請求書に発注Noなど記載してもらう取組みも同時並行にて実施します。また、注文書発行から支払いまでの各ステータスを可視化できる仕組みを導入していきます。

 
■ 決算財務報告プロセスに係る内部統制
 (マニュアル、チェックリストの整備及び運用に関する不備)
 (経理担当者への教育不足)
 * 不備の概要と原因

2024年3月期においても、KMEXの決算・財務報告プロセスの不備に起因して訂正報告書を提出していることから開示すべき重要な不備として識別し、4 [付記事項]に記載の再発防止策に取り組んでまいりました。
 当連結会計年度の決算財務報告においても過年度で発生した誤謬の再発及び新たな誤謬が発見されています。KMEXの経理機能の体制としてもリソースを十分に確保出来ていない状況にあります。
 このため、2024年3月期に識別した以下の不備について是正が十分とは言えないと判断しました。

 * 不備の内容
  ・ マニュアルやチェックリスト等の整備が網羅的でなかったこと
  ・ 担当者の実施した内容を上長が確認する体制またはダブルチェックを行う人員体制が十分ではなかったこと
  ・ 経理業務に関する習熟・教育が十分ではなかったこと
  ・ 会計基準の理解不足及び環境や状況の変化に伴う会計処理の見直しや検討が十分でないこと
 * 再発防止策

2025年3月期において上記の不備について一定の改善を進めてきたものの、誤謬の発生が継続している状況を鑑み、改めて、KMEXにおける決算財務報告に関する基本的な業務プロセス全般に関する業務実態の棚卸を行ない、必要な是正を進めます。この取組みは、上述した当社としてのKMEXの決算財務報告の体制や仕組みの状況の把握や改善に係る取組みと合わせて進めていきます。

 
(機能通貨の換算プロセスに係る不備)
 * 不備の概要と原因

2024年3月期において、機能通貨の換算の会計処理から誤謬が発生したことに伴い、KMEXにおける機能通貨の換算プロセスについて開示すべき重要な不備を識別し、4 [付記事項]に記載の再発防止策に取り組んでまいりました。
 KMEXを重要な事業拠点と位置づけ、機能通貨の換算プロセスを個別プロセスとして評価対象を見直し、業務プロセスの整備の改善を取り組んできましたが、2025年3月期の監査において外部専門家に業務委託して算定された機能通貨換算に関連して誤謬を識別したため、不備の是正が十分とは言えないと判断しました。

 * 不備の内容
  ・ KMEXにて外部専門家に委託している作業内容の結果を適切に確認できず、誤りを発見できなかったこと
 * 再発防止策

改めて外部専門家に委託している作業内容の結果を、今回の監査で発見された誤りを含めて、KMEX内部にてチェックする内容を改善し、その運用を徹底してまいります。

付記事項

 当社は、2023年3月期及び2024年3月期に以下を理由として開示すべき重要な不備を識別しております。

<2023年3月期における開示すべき重要な不備を識別した理由>
 
 KMEXにおける新会計システムの導入にあたり、決算・財務報告プロセスにおける、各決算処理の手続及び正確性を確認する手続の整備・運用が不十分であったこと等に起因した、製造原価及び買掛金の計上誤謬や棚卸資産の評価誤謬等の相当数の誤謬があったことが、2023年3月期の会計監査人による監査の過程で判明しました。
 これを受けて当社は2023年3月期第1四半期から2023年3月期第3四半期までの四半期報告書の訂正を実施しました。
 
<2024年3月期における開示すべき重要な不備を識別した理由>
 KMEXにおいて従前よりメキシコペソ建て決算数値を米国会計基準に従って機能通貨であるドルに為替換算した数値を連結決算に取り込んでいますが、2021年3月期より計算方法が誤ったままドル換算を行っていたことが判明しました。
 このほかKMEXの過年度決算における他の誤謬(売掛金・固定資産の減価償却等の計上相違等)の誤りに加えて、当社においても、過年度における有価証券報告書の財務諸表の注記事項の誤謬があることも判明しました。
 これらを踏まえ、当社は、2021年3月期から2023年3月期までの各有価証券報告書及び各内部統制報告書並びに2022年3月期第1四半期から2024年3月期第3四半期までの各四半期報告書について訂正報告書を提出しました。
 
<識別した開示すべき重要な不備の是正状況>
 2024年3月期末で識別された開示すべき重要な不備の内容と、前連結会計年度の内部統制報告書に記載した再発防止策別に当連結会計年度に実施した措置を踏まえた是正状況は以下のとおりです。
 
当社において識別された開示すべき重要な不備
■ 全社的な内部統制
 (KMEXの決算財務報告への不十分な関与に関する不備)

当社として改善が重要事項であるという認識はあったものの、改善に取り組む人材が一部に限られ、当社としての改善を支援する体制が不十分であったこと、KMEXにおける改善がKMEX現地メンバーと外部専門家に頼った進め方となっていました。
 具体的な改善の実施状況を十分に把握しきれなかったことに加え、当社がKMEXにおける問題の理解や改善の状況について能動的に関与できておらず、報告待ちのモニタリングとなっており、有効な支援モニタリングとなっていなかったことから、引き続き改善が必要な状況にあると判断しました。
 これに対して再発防止策として、2025年3月期においては、当社の企画本部本部長(取締役専務役員)をリーダーとするプロジェクトを立上げ、外部専門家のサポートも活用し、過年度に重要な内部統制の不備が発生したKMEXと当社を対象として、月次の改善活動をフォローアップ・モニタリングする会を開催するとともに、その進捗状況を当社取締役会に毎月報告してまいりました。
 しかしながら、3 [評価結果に関する事項]の通り、新たに買掛金の計上誤りが生じており、当該開示すべき重要な不備の是正は2025年3月期においても完了していないと判断しました。

 
 (財務報告に関するリスクマネジメントに関する不備)

KMEXにおけるメキシコペソからドルへの機能通貨の換算の誤謬の問題の発生に関連して、過年度の誤謬等の会計上の問題が発生した場合の評価方法、ルール及び解決方法が定まっておらず、問題の根本を把握し解決する仕組みがありませんでした。加えて、こうしたリスクの発生に対してマネジメントへの報告が必要なケースの類型化やエスカレーションについての具体的なルールが整備されておりませんでした。
 これに対して再発防止策として、全社リスク管理体制強化の一環として、各種リスクに関する当社グループ内の情報伝達、報告の経路を整備するとともに、経営会議に経理部長が参加することにより、大きな変化を伴う事象を早期に把握する体制としました。
 その結果、こうしたリスクや問題の発生情報の報告経路が整備され、適時に伝達ができるようになりましたが、そのリスクや問題への対応マネジメントという面で、3 [評価結果に関する事項]の通り、買掛金の計上誤りへの対応に時間を要する結果となっていることから、当該開示すべき重要な不備の是正は2025年3月期においても完了していないと判断しました。

 
■ 決算・財務報告プロセスに係る内部統制
 (マニュアル、チェックリストの整備及び運用に関する不備)
 (経理担当者への教育不足)

当社の決算・報告業務におきまして、会計基準に対応したマニュアルやチェックリスト等に整備のできていない部分があったこと、担当者の実施した内容を上長が確認する体制またはダブルチェックを行う人員体制が十分ではなかったこと、加えて、経理業務に関する習熟・教育が十分ではありませんでした。また、誤謬の発生事象によっては、会計基準の理解不足や、環境や状況の変化に伴う会計処理の見直しや検討が十分でないケース、連結決算を取りまとめる立場として子会社から適切に情報を収集する仕組みに不備のあるケースもありました。これに対して再発防止策として、当社における有価証券報告書への記載内容を訂正するに至った内部統制の不備について、外部専門家の支援も得て、子会社からの適切な情報を収集するための連結パッケージの改善及び、各種の必要な手順書類やワークシートの整備、並びに経理メンバーへの教育を実施してきました。
しかしながら、3 [評価結果に関する事項]の通り、引き続き決算における誤りが生じていることから、当該開示すべき重要な不備の是正は2025年3月期においても完了していないと判断しました。

 
KMEXにおいて識別された開示すべき重要な不備
■ 決算・財務報告プロセスに係る内部統制
 (マニュアル、チェックリストの整備及び運用に関する不備)
 (経理担当者への教育不足)

KMEX経理業務に関するマニュアルやチェックリスト等の整備が網羅的でなかったこと、担当者の実施した内容を上長が確認する体制またはダブルチェックを行う人員体制が十分ではなかったこと、加えて、経理業務に関する習熟・教育が十分ではありませんでした。また、誤謬の発生事象によっては、会計基準の理解不足や、環境や状況の変化に伴う会計処理の見直しや検討が十分でないケースもありました。そのため、引き続き改善が必要な状況にあると判断しました。
 これに対して再発防止策として、月次の決算締め作業において、過年度に発生した不備の事象を踏まえて、各主要勘定科目の照合作業を実施し、さらに外部専門家がその結果をレビュー、作業が不十分の場合は外部専門家の指導を得るといった体制を取るとともに、また、経理関連の手順書類を網羅的に作成し、経理従業員に対しては教育を実施しました。さらに、KMEX現地に内部統制に係る専任者をおき、こうした活動の推進を図ってきました。
 しかしながら、3 [評価結果に関する事項]の通り、引き続き決算における誤謬が生じていることから、当該開示すべき重要な不備の是正は2025年3月期においても完了していないと判断しました。

 
 (機能通貨の換算プロセスに係る内部統制の未整備)

KMEXにおけるメキシコペソからドルへの機能通貨の換算において、外部専門家からの為替換算の誤謬の指摘や換算方法の変更案を理解して評価する体制がKMEX及び当社において構築できていなかったため、指摘の本質及び適切な会計処理を適時に評価できませんでした。
 これに対して再発防止策として、KMEXを重要な事業拠点とした上で、メキシコペソからドルへの機能通貨換算プロセスを評価対象に追加するとともに、外部専門家に委託している作業内容を理解し、作業結果を内部にて検証したうえで、会計処理を実施する仕組みとしました。
 しかしながら、3 [評価結果に関する事項]の通り、機能通貨換算に関連する誤謬は2025年3月期においても発生していることから、当該開示すべき重要な不備の是正は2025年3月期においても完了していないと判断しました。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 有限責任監査法人トーマツ 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考

上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第93期(2023/4/1-2024/3/31)1733
 第92期(2022/4/1-2023/3/31)1734

1735~1736
企業名 株式会社アルファクス・フード・システム 市場 -(東証グロース)
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、2023年9月30日現在の当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 当社グループは、2025年3月、外部の機関からの指摘により、周辺サービス事業における過去の行った配膳ロボットを始めとする製品の販売取引に関する売上計上時期の妥当性についての疑義を認識し、過年度の決算に関して検討すべき事態が発生したと判断し、これに対する調査を目的とした当社グループとは利害関係を有しない外部専門家から構成される特別調査委員会を設置し、2025年5月8日より調査を進めてまいりました。
 その後、2025年5月頃、外部の機関から2022年11月に売却したホテルに係る不動産の譲受人である法人が、当社及びその関係者との関係性から、本来的には当社グループの連結の範囲に含まれるものであり、連結の範囲に含まれないことを前提として行った会計処理は不適切だったのではないかと疑義等について加えて指摘を受けました。
 2025年7月25日に特別調査委員会より調査報告書を受領し、2023年9月期から2025年9月期までの調査対象期間の周辺サービス事業における配膳ロボットを始めとする製品の複数の取引先との取引について、収益の認識要件を満たしていない売上の早期計上、返品条件ついた取引の売上計上及び売上原価の不計上等の不適切な会計処理があると判断がされました。また、2022年11月に売却したホテルについて外部販売として計上しているものにかかる疑義については、売却先の会社が当社の連結子会社に該当するため、内部取引を相殺消去した連結財務諸表の作成をする必要があったとの報告を受けました。
 当社グループはこれらの調査結果を踏まえ、2023年9月期及び2024年9月期の提出済みの有価証券報告書及び四半期報告書についての決算訂正を行うこととし、これらの有価証券報告書及び四半期報告書の訂正報告書を提出することとしました。
 当社グループは、特別調査委員会からの本件の不適切な会計処理が生じた原因としましては、当社グループ業務執行取締役の会計基準を始めとするルール遵守などのコンプライアンス意識の欠如、代表取締役に対しての異を唱えることの難しい社内風土、売上計上に係る適切な業務フローの不存在、監査等委員会における不十分な監督・監査、当社グループの内部におけるモニタリング体制が不十分であったことなどによって発生したことと認識しております。以上のことから、当社グループの全社的な内部統制及び決算・財務報告プロセスに関する開示すべき重要な不備に該当すると判断し、内部統制が有効に機能していなかったと判断いたしました。
 上記の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関しましては、当該事項の判明が当連結会計年度の期末日後であったため、当該不備を当連結会計年度末日までに是正することができませんでした。なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、すべて連結財務諸表及び財務諸表に反映しております。
 当社グループは、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の再発防止策を実行し適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。
 
<再発防止策について>
 (1)責任の明確化
  ・原因の追及、責任の明文化を行うため徹底的な検証
 (2)業務執行役員の抜本的な意識改革・適正な権限分配
 (3)適切な売上計上のための業務フローの構築・運用
   ① 履行義務の明文化
    ・顧客との契約・受発注など合意書面において売上が発生する履行義務を明示的に記載することをルール化
   ② 実態に即した検収書の取得
    ・履行義務の完了後に検収書が発行されることを確保するための仕組みを構築
   ③ 顧客による支払方法の早期確定ルールの明文化
    ・顧客との契約締結時に支払方法の選択を示し、確定的な意思表示を行ってもらうルールを明文化
 (4)徹底的なコンプライアンス教育
    ・内部通報制度の積極的な活用を推進
    ・(3)適切な売上計上のための業務フローの構築・運用の記載ルールを役職員に徹底的な普及を図り、重要性を認識強化
 (5)内部監査部門の強化
   ・より独立性を高め、実効的な内部監査を行える体制を構築
 (6)会計リテラシーを有する最高財務責任者の招聘

 ・最高財務責任者を招聘し、監査等委員会と連携しながら社内役職員への会計指導・相談対応や、適切な経理処理の確立、監査対応の実施

 

以上

付記事項

特記事項

監査法人 HLB Meisei有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:意見不表明
内部統制監査:-

備考

訂正内部統制報告書にて、第31期(2023/10/1-2024/9/30)の訂正を表明。
その他に以下の会計年度において同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第30期(2022/10/1-2023/9/30)1736
 
※2025年9月6日上場廃止

1737~1741
企業名 株式会社旅工房 市場 東証グロース
その内容

 以下に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。
 

 
 当社は、当社が過年度において受給した雇用調整助成金および緊急雇用安定助成金に関して、受給申請の内容について精査を要する疑義が判明したため、2025年6月5日、特別調査委員会を設置し、調査を進めてまいりました。当社は、特別調査委員会から2025年8月29日に調査報告書を受領し、その結果、当社において、休業中の稼働指示や稼働実態を把握していたにもかかわらず、受給申請書に虚偽の記載を行い、雇用調整助成金の不正受給を行っていたこと、また、2021年3月期より2023年3月期にかけてこれらの雇用調整助成金の不正受給による収益計上が行われていたこと(以下、「本件雇調金事案」といいます。)が判明いたしました。
 
 当社は当該調査結果を受け、過年度に受領した雇用調整助成金に関する助成金収入等に関連する不適切な会計処理の訂正が必要であると判断し、2021年3月期から2024年6月期までの有価証券報告書、2023年3月期第2四半期から2024年6月期第3四半期までの四半期報告書及び2025年6月期半期報告書について訂正報告書を2025年10月31日に提出いたしました。
 
 本件雇調金事案に関する原因及び内部統制上の不備として以下を識別しております。
 
① 当社における全社的な内部統制の不備(統制環境)

本件雇調金事案における雇用調整助成金の不正受給では、当社の代表取締役社長(当時)が発案の上、不正受給を容認していたことが確認されており、当社の経営者におけるコンプライアンスやガバナンス、信頼性ある財務報告を軽視する姿勢がこれら事案の発生と早期発見・是正をここまで遅らせた最大の原因であったと考えております。
 また、当社のコーポレート部門では雇用調整助成金の不正受給の可能性を認識したものの、当社の代表取締役社長(当時)に対応をゆだねるにとどまり、対応が不十分であったことについて、当社のコーポレート本部においても、コンプライアンスや信頼性ある財務報告への意識が十分ではありませんでした。(統制環境:コンプライアンス意識や財務報告への姿勢の問題)

 

次に、経営者に対するガバナンスの観点では、執行部門に対する牽制機能を果たすことが期待される取締役会において、一部の取締役・監査役から雇用調整助成金の返還要否等について指摘がなされており、一定の牽制機能を発揮してはいたものの、当社の代表取締役社長(当時)におけるガバナンス軽視等から、結果的に不正受給の問題が放置される事態を阻止するまでには至っておらず、代表取締役の業務執行を監督・監視するという取締役会のガバナンス機能が十分には果たせておりませんでした。(統制環境:取締役会による代表取締役の監督・監視))

 

さらに、いわゆる第2線として指導機能・牽制機能を果たすことが期待される当社のコーポレート部門の体制(法務・コンプライアンスセクション)が十分ではなく、本件雇調金事案では、休業中の業務禁止や、仮に休業中に緊急対応で稼働した場合の修正の指示など勤怠記録の正確性を確保するための社内周知を徹底できておらず、全社的な制度理解の不足を招き、営業部門に対する指導機能が十分に果たせておりませんでした。(統制環境:第2線による牽制機能の不備)

 
② 当社における全社的な内部統制の不備(リスクの評価と対応)

当社においては、リスク・コンプライアンス委員会を設置しておりましたが、財務報告に直接的に影響のある不正リスク、特にマネジメントが関与する不正リスクは明確に識別しておりませんでした。また、本件雇調金事案のような当社の代表取締役社長(当時)が関与・容認した不適切な処理については、リスク・コンプライアンス委員会では報告・議論がなされておらず、機能不全の状況にありました。(リスクの評価と対応:リスク・コンプライアンス委員会の機能不全)

 
③ 当社における全社的な内部統制の不備(情報と伝達)

本件雇調金事案では、休業日における業務指示等についての内部通報があり、その後の対応において雇用調整助成金等の不正受給の可能性についても指摘が上がっていたにもかかわらず、適時・適切な対応がとられておらず、組織的な違法行為を速やかに認識して是正する、という観点での内部通報制度が適切に機能しておりませんでした。(情報と伝達:問題事象への対応不備)
 また、特に当社の代表取締役社長(当時)が関与・容認した不適切な処理に関しては、取締役会やリスク・コンプライアンス委員会に十分な情報が上げられておらず、この点が取締役会やリスク・コンプライアンス委員会によるガバナンスが機能しなかった一因であったと認識しております。(情報と伝達:取締役会やリスク・コンプライアンス委員会への情報提供不足)

 
  これらの不備は財務報告に重要な影響を与えており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。

なお、本件雇調金事案に関する一連の開示すべき重要な不備は当事業年度末日後に判明したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。

 

当社では過去に同様の事案として、2022年2月4日、Go Toトラベル事業給付金の申請取引の一部に宿泊等の実態がなく給付対象外の可能性があるとして調査委員会を設置し事実関係を調査しております。その結果、当社が不適切取引に積極関与した事実は認められなかったものの、利得目的の不適切な取引であったと評価されました。これを受け、当社は2022年3月17日に2021年3月期第3四半期以降の有価証券報告書・四半期報告書を訂正しております(Go Toトラベル事業給付金の不適切受給)。また、その後、外部機関の指摘により、上記不適切な取引について資金循環取引の有無等を再検証するためGoTo検証委員会を設置しました。検証の結果、給付金受給を目的とした資金循環取引であり、当社の代表取締役社長(当時)やCFOらが認識していたと認定され、当社はスキームの中心的役割を担っていたと評価されました。これを受け、当社は2023年4月13日に2021年3月期第3四半期以降の有価証券報告書・四半期報告書について再度訂正しております(Go Toトラベル事業給付金に係る不適切な資金循環取引)。

 

一方、Go Toトラベル事業給付金の不適切受給及びGo Toトラベル事業給付金に係る不適切な資金循環取引の両事案については、それぞれ、2022年3月及び2023年4月以降、以下の再発防止策を実行してまいりましたが、結果的に本件雇調金事案の防止、早期の発見には至りませんでした。Go Toトラベル事業給付金が労務・人事管理に直接的に関連する問題でなかったことと、本件雇調金事案が当社のマネジメントが関与・容認した不適切な処理であったことから、これら両事案の再発防止策の本件雇調金事案に対する抑止効果も限定的であったものと認識しております。

 
 Go Toトラベル事業給付金の不適切受給に関する再発防止策
 (1) 法人向け新規大口取引に対するリスク識別手続きの改善
 (2) 各種申請、届出等の要件の確認手続きの改善
 
 Go Toトラベル事業給付金に係る不適切な資金循環取引に関する再発防止策
 (1) 経営責任の明確化
 (2) 指名・報酬委員会設置
 (3) 経営幹部の会計リテラシーと会計不正リスク感度の向上
 (4) CFO(コーポレート管掌取締役)の職責の限定
 (5) 監査法人との連携の強化
 (6) 営業部門とコーポレート部門の職務分掌の運用徹底
 

当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、Go Toトラベル事業給付金の不適切受給及びGo Toトラベル事業給付金に係る不適切な資金循環取引も踏まえ、本件雇調金事案における開示すべき重要な不備を是正するためには、改めて経営トップの刷新も含め、コンプライアンスやガバナンスに対する抜本的な意識改革のための対応が必要と判断しております。当社は、本件雇調金事案に関する特別調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の改善策を講じて適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。

 
 本件雇調金事案に関する再発防止策
 (1) 当社経営トップの刷新

外部より代表取締役社長を招聘し、新たな経営トップのもと、「健全なコンプライアンスやガバナンス意識」の浸透を図り、「第2の創業」として、全社向けにコンプライアンス・ガバナンスの重要性や以下の施策について理解を深めるためのメッセージを発信したうえで、以下の再発防止策を着実に実行し、信頼回復に努めてまいります。

 
 (2) 健全なコンプライアンス・ガバナンス意識の醸成に向けた全社的な研修の継続実施

組織全体で健全なコンプライアンス文化を根付かせるため、役員・管理者・全社員それぞれの階層に応じた内容を設計し、必要に応じて外部専門家も講師として召集し、継続的に研修を行ってまいります。
役員向け研修は、財務報告の重要性や経営判断における法令遵守、ガバナンスの実効性確保のための意識向上を主眼としたものを、管理者向け研修は、各部におけるコンプライアンス意識の全体的な向上にむけ、管理者からの業務指示や業務管理のために必要なリスク感覚の向上を狙ったものとし、全社員向けで一般的な職務倫理やコンプライアンス研修に加え、各人の問題意識の喚起を促すため、具体的な事例研究やケースディスカッションを交えたものとし、組織全体で健全なコンプライアンス文化を根付かせる研修を継続的に実施してまいります。

 
 (3) リスク・コンプライアンス委員会の体制強化

リスク・コンプライアンス委員会の実効性を高めるため、開催頻度を月次に増やす(従来は四半期に1回)とともに、従来、社内のみから構成されていた委員会に、監査役の出席を必須とすることで、法律、会計、企業ガバナンスの知見をより一層取り入れてまいります。
 また、第2線(コーポレート部門)や第3線(内部監査部門)から定期的にリスク情報を同委員会に報告する仕組みを設け、リスク・コンプライアンス委員会が当社におけるリスク管理の中核機能を担える体制を構築してまいります。

 
 (4) 第2線・第3線が把握した重要なリスク情報が取締役会に共有される仕組みの構築

リスク・コンプライアンス委員会を情報集約のハブとし、同委員会で重要なリスク情報を取りまとめるとともに、取締役会に直接報告する仕組みを整備してまいります。取締役会ではこれに基づいて、適切にリスク認識のうえ、社外役員も含む取締役会の中で建設的に協議を行い、全社的な観点で、かつ漏れのない対応を行う仕組みを構築してまいります。

 
 (5) コーポレート部門(第2線)の体制強化と牽制機能強化等に向けた研修の継続実施

第2線としてのコーポレート部門が十分に機能するよう、特に法務労務本部の人員を計画的に補強し(必要に応じ外部専門家も活用)、業務部門に対する牽制・モニタリングが実効的に働く体制を整備します。あわせて、同本部の全従業員を対象に、第2線の役割とコンプライアンスの重要性に関する継続研修を実施します。特に、適切な財務報告を支える誠実性・倫理観の涵養を目的として、財務報告・開示制度の要点と不適切開示等の実例を取り上げるケース演習を組み合わせ、理解度テストにより行動定着を図ります。

 
 (6) 内部通報制度の運用改善

内部通報制度を、全社員が安心して利用できる実効的な仕組みとするため、改めて同制度の趣旨や通報者の保護について継続的な周知を徹底し、利用促進を図ってまいります。
 通報窓口は従来の窓口に加えて、親会社である株式会社アドベンチャーでの窓口を新たに設け、より独立性・匿名性を高めることで、通報者が不利益を懸念せず利用できる環境を整えてまいります。
 また、通報後速やかに監査役およびリスク・コンプライアンス委員会の適切な構成員へ概要を報告するとともに、対応結果や改善策についても四半期ごとに監査役およびリスク・コンプライアンス委員会に共有・フィードバックすることにより、問題事案の対応についての透明性を向上させるようにいたします。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 太陽有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考

上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第30期(2023/4/1-2024/6/30)1738
 第29期(2022/4/1-2023/3/31)1739
 第28期(2021/4/1-2022/3/31)1740
 第27期(2020/4/1-2021/3/31)1741

1742~1746
企業名 株式会社トーシンホールディングス 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。
 

 
 「携帯電話契約における顧客への還元(キャッシュ・バック)の一部が未精算、未計上である」旨の匿名通報メールを受け、キャッシュ・バックの一部が未精算、未計上になっており残高に誤謬が存在する可能性があると認識し、2024年10月より社内調査を開始しました。未精算であったと把握できたものから随時精算をしてきましたが、依然として店舗及び本社においてキャッシュ・バックに対する問い合わせ電話が継続している点や、当該キャッシュ・バックに係る会計処理方法について、第三者(弁護士および公認会計士)を交えた調査委員会の設置及び調査に基づく債務の網羅性及びキャッシュ・バックに係る会計処理について確認する必要があると会計監査人の判断を受け、2024年12月20日開催の取締役会において、当社は公正性を確保した調査が必要と判断し、第三者委員会を設置することといたしました(以下、「第1事案」と言います)。
また、2025年4月30日、当社の会計監査人からの指摘によって、当社子会社である株式会社トーシンモバイル(以下「TSM」といいます。)の財務報告に関し、2023年4月期から2024年4月期にかけて、主に移動体通信関連事業におけるTSM代理店向けの代理店精算(TSMから代理店への端末販売等の売上高と販売手数料等の支払高との精算)において、財務報告用資料と実際の代理店精算用資料の2種類が存在しており、かつ財務報告用資料において代理店向けの端末販売等の売上高が過大計上となっており、その結果として帳簿上未回収となっている売掛金が存在している事実が判明いたしました。
 事実関係の解明を図るためには、独立性及び専門性を有する第三者(弁護士及び公認会計士等)による調査が必要であるとの会計監査人の判断を受け、当社は、公正性を確保した調査が必要と判断し、第三者委員会を設置することといたしました(以下、「第2事案」と言います)。
 当社は、第1事案及び第2事案に関する不適切な会計処理及び第1事案に係る第三者委員会及び第2事案に係る第三者委員会の調査の過程で判明したその他の事項を過年度に遡って訂正することが必要であると判断し、2020年4月期から2024年4月期の有価証券報告書、2020年4月期第1四半期から2024年4月期第3四半期までの四半期報告書及び2025年4月期中間期の半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。
以上の調査より、判明した事実が当社及び子会社の全社的な内部統制、決算・報告プロセス及び業務プロセスにおいて発見できなかったのは、主に以下の全社的な内部統制における開示すべき重要な不備があったと認識しています。
(第1事案に関連して識別した開示すべき重要な不備)
第1事案に係る第三者委員会による調査を受けて当社で検討したところ、2024年4月期においてキャッシュ・バック費用が未払となっており、会計上も計上されていない状況を確認し、訂正有価証券報告書を提出しました。
 第1事案に係る訂正有価証券報告書の提出に至った原因としては、第2事案に係る第三者委員会による調査報告書の第5.発生原因の分析(1)「会長の影響力と結果重視の企業風土の存在」の背景となる以下のような不備があると認識しております。
(全社的な内部統制に係る内部統制の開示すべき不備)
1.会社全体のコンプライアンス意識の不足
2.取締役会及び監査役会の実効性不足
3.役職員の不十分な職務分掌
 
(第2事案に関連して識別した開示すべき重要な不備)
第2事案に係る第三者委員会による調査を受けて当社で検討したところ、代理店精算に係る会計処理の誤りが存在し、その他にも多数の会計上の誤りがある状況を確認し、訂正有価証券報告書を提出しました。
 第2事案に係る訂正有価証券報告書の提出に至った原因としては、第2事案に係る第三者委員会による調査報告書の第6.原因分析の以下のような不備があると認識しております。
(全社的な内部統制に係る内部統制の開示すべき不備)
1.経営トップの倫理観・誠実さを欠いた姿勢・言動
2.ガバナンスの機能不全
3.コンプライアンス意識の鈍麻・企業会計に対する理解不足
4.組織風土
5.バックオフィスの脆弱性
6.業務運営における透明性の欠如
 
 上記の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備が、当事業年度の末日までに是正されなかった理由は以下の通りです。
 第1事案に係る第三者委員会による調査結果は、2025年2月13日に受領しております。その結果、複数の内部統制の不備が確認されましたが、受領から期末までの期間が短いことから、改善のための十分な時間を確保することができなかったためです。
 また、第2事案に係る第三者委員会による調査結果は、2025年8月29日に受領しております。その結果、複数の内部統制の不備が確認されましたが、「2 評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項」に記載のとおり、財務報告に係る内部統制の評価は、2025年4月30日を基準日として行われており、期末日後に識別された不備について改善のための時間を確保することができなかったためです。
 なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、重要性が乏しいものを除き全て財務諸表及び連結財務諸表に反映していますが、連結財務諸表注記追加情報(不適切会計の訂正について)に記載のとおり、今回の訂正処理の正確性や網羅性についての自主的な検証も完了しておらず、これらの自主的な検証の結果、新たな虚偽表示が識別された場合には、連結財務諸表に重要かつ広範な影響を及ぼす可能性がありますが、その影響を反映させる場合における連結財務諸表項目及び金額並びに注記が明らかでないため連結財務諸表には反映していません。
 また、第2事案に関して、時間的な制約から、第三者委員会の指摘や提言を踏まえた財務報告に係る内部統制の評価範囲の見直し及び見直し後の評価範囲における内部統制の評価手続を実施できませんでした。
 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、第三者委員会の指摘・提言を踏まえ、再発防止策を講じて、適切な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。
 第1事案に関して識別された開示すべき重要な不備については、株式会社東京証券取引所に対して改善報告書を提出し、改善を図っておりますが、第2事案に関して、第三者委員会の指摘や提言を踏まえた第三者委員会の指摘や提言を受けた再発防止策の策定と実行が未了であり、今後、改めて再発防止策を策定し改善を図ってまいる所存でございます。当社グループは、内部管理体制の改善に努め、必要な是正を図ってまいります。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 監査法人アリア 監査意見

財務諸表監査:意見不表明
内部統制監査:意見不表明

備考

上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第38期(2023/5/1-2024/4/30)1743
 第37期(2022/5/1-2023/4/30)1744
 第36期(2021/5/1-2022/4/30)1745
 第35期(2020/5/1-2021/4/30)1746

重要な手続きが実施できないと表明した企業

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