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2025年3月公表「内部統制報告書」記載内容集計表

投稿日時:2025年04月03日(木)

 2025年3月1日以降、3月31日までに公表された内部統制報告書について、「有効である」という結論以外となる報告書を提出した企業及びその内容は次のようになっています。

開示すべき重要な不備が存在すると表明した企業
12
重要な手続が実施できないと表明した企業
0

開示すべき重要な不備が存在すると表明した企業

1656
企業名 株式会社MTG 市場 東証グロース
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。
 

 
 当社は、取引先からの通報を契機に、M’sエージェンシーの広告に関連する仕入計上に関する文書の改ざん等により、費用の計上年度のズレもしくは未計上の発生している疑いがあることが判明しました。これを受け、2024年12月13日に外部専門家の委員で構成される特別調査委員会を設置し、調査を行い、2025年2月7日に特別調査委員会から調査報告書を受領いたしました。
 当該調査の結果、子会社代表者により受領した請求書の隠蔽、改ざん・偽造等の不適切な行為が行われていたことが判明しました。
 
 不正を発見防止できなかった原因は以下と認識しております。
(1)全社的な内部統制における開示すべき重要な不備

当該人物は、自己のプレゼンスを発揮したいとの思いから不適切な行為に及び、さらに、子会社代表取締役として本来発揮すべき取締役としての責任の理解・実行よりもその地位を利用し、統制を無効化しておりました。
 当社は、該当子会社は当社グループの発注通りに広告を仕入れるだけの会社であり、リスクの低い会社であると認識し、J-SOXのスコープ対象外としておりました。しかしながら、該当子会社の取引規模は相応に大きく、少人数の組織であり、また広告業界の慣習もあること等子会社に対するリスク分析及び親会社による子会社に対するモニタリング体制は不十分でした。

 
(2)業務プロセスにおける開示すべき重要な不備

当該人物は社内規程に違反し独自の判断で広告を発注しており、発注・支払稟議が本来持つ統制が有効に機能しておりませんでした。また、発注書や請求書などエビデンスの適時適切な管理や情報共有が不十分であったため、結果的にこれを発見できず不適切行為が発生いたしました。

 
 上記の原因により識別された不備は、財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。また、開示すべき重要な不備は、当該事実の判明が当事業年度の末日以降であったため、当事業年度の末日までに是正することができませんでした。
 
 当社としましては、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の再発防止策を速やかに策定、実行することで財務報告の信頼性を確保してまいります。具体的には以下のとおりです。
 
(1)全社的な内部統制における開示すべき重要な不備の再発防止策
  ①子会社役員の選任手続の人物評価の拡充及びコンプライアンス意識の向上のための実効的な教育・研修の実施

子会社取締役の選任手続きにおける人物評価の規程を見直し、外部調査会社を利用したバックグラウンドチェックを必須とする等手続きを拡充・具体化いたします。また、現職の全子会社取締役につき、遡及して外部調査会社によるバックグランドチェックを行います。
 なお、M’sエージェンシー元代表者につきましては、既に懲戒の上、解任しております。
 当社グループ取締役就任に際し、知識を補い意識を醸成するため、取締役等の義務と責任についての外部研修を受講することを規定いたします。また、現職の当社グループ取締役につきましては、本研修の受講を追加的に実施いたします。
 すべての当社グループ取締役に対し、社内規程の意義や業務上の過誤への対応等に関するメッセージを発信するとともに、今後実施するコンプライアンス研修において、本件不適切行為に関する具体的な内容を盛り込み、研修の実効性を高めてまいります。

 
 ②子会社の網羅的なリスク分析とその結果に基づく統制の充実

全ての子会社を対象とし、定量的な視点のみならず、子会社の事業内容や人員体制、業界の商慣習なども把握してリスクシナリオを想定した分析検討を実施し、他に特殊な業界の商慣習がないことを確認いたします。
 当社から非常勤取締役を派遣することにより、取締役1名の子会社を解消するとともに、子会社取締役に対するサポートと監督の役割を担う本部長を選任いたします。
 経営面・統制面に違和感がないか分析・検証等のモニタリングを実施するとともに、必要に応じて経営指導や改善提案等を行う専任部署を新設いたします。
 なお、M’sエージェンシーにつきましては、会計・税務の修正の手続きが終了した段階で解散させることを予定しております。

 
(2)業務プロセスにおける開示すべき重要な不備の再発防止策
 ①業務プロセスの見直しと、実効性を確保するための親会社による監督・支援の強化

子会社において稟議承認と請求書の照合等、会計に関連する業務を担当する者につき、その業務指示、監督、評価を、本社財務経理部が行うこととし、その実施状況についてチェック・モニタリングする専任部署を新設いたします。
 子会社も含め個人の担当者が請求書を受領することを禁じ、共有の請求書受領アドレスを設定し、共有化による透明化を図り、支払いのプロセスにおいてこれを点検いたします。

 
 上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正については、過年度は影響が僅少ゆえ遡及訂正は行わず、2024年9月期の四半期の訂正にて全て連結財務諸表に反映しております。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

特記すべき事項はありません。

監査法人 PwC Japan有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1657
企業名 木徳神糧株式会社 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当連結会計年度末日時点における当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 当社は2024年12月期の決算業務において、棚卸資産の帳簿価額と実際残高との間に多額の差異があることについて会計監査人より指摘を受けたことを契機として社内調査を行った結果、棚卸資産に関する在庫金額の誤りによる棚卸資産の過大計上と、これに伴う売上原価の過少計上が判明いたしました。
  当社において、以下のとおり信頼性のある財務報告を実現するための内部統制が有効に機能しておりませんでした。
 

1. 棚卸資産に関連する業務手順書、マニュアルの整備が不十分であり、また確認者・承認権者による適正なチェック・運用体制が十分に機能しておりませんでした。

2. 在庫単価の比較分析により異常値を発見すべきところ、実施された在庫単価の比較分析に不十分な点があり、異常な数値を十分に捕捉できる運用になっておりませんでした。

 
 以上から、棚卸資産プロセスにおける内部統制において不備があったと判断し、これらの不備の財務報告に与える重要性を鑑み、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 当連結会計年度の末日までに当該内部統制の不備が是正されなかった理由は、当該重要な不備の判明が当連結会計年度末日後となったためであります。
 なお、会計監査人より指摘を受けた事項はすべて財務諸表及び連結財務諸表に反映しております。
 
 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき内部統制の不備を改善するために、当社グループの内部統制の強化、徹底を行うとともに、関連部署においての在庫単価の比較分析の実施に加え、作業者と承認権者の分離及び承認権者による承認手続きの強化等の再発防止策を速やかに策定、実行することで財務報告の信頼性を確保してまいります。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 SK東京監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1658
企業名 株式会社倉元製作所 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 当社は、当事業年度において、2024年11月1日付けの株式交換により連結子会社となった株式会社アイウィズロボティクスの子会社化の連結手続に関する決算財務報告プロセスにおいて、監査人の指摘により、決算開示内容を一部訂正する事態が生じました。
 このため、当社の決算・財務報告プロセスは、さらなる改善が必要であると判断し、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 当事業年度の末日までに当該内部統制の不備が是正されなかった理由は、当該重要な不備の判明が当事業年度末日後になったためです。
 当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、適正な管理体制を整えるべく、有効な決算・財務報告プロセスを構築してまいる所存であります。
 なお、上記開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、すべて連結財務諸表に反映しております。

付記事項

付記すべき事項はありません。

特記事項

特記すべき事項はありません。

監査法人 監査法人アリア 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1659
企業名 株式会社ツルハホールディングス 市場 東証プライム
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。
 

 
 当社は、2025年2月期第2四半期の決算作業中に、過年度の連結財務諸表において、店舗の賃貸借契約等に関連する会計処理に誤謬が存在する可能性を認識しました。これを受けて、過年度の連結財務諸表において誤謬が存在していたか否か、その期間や誤謬の金額についての情報収集、事実確認及び会計処理の検討を実施しました。具体的には、リース注記等に必要となる店舗の賃貸借契約に係る情報を遡及的に収集し、契約諸条件の事実確認を行ったうえで、会計処理を検討しました。この結果、リース注記等の訂正が必要と判断したため、2024年5月期の有価証券報告書の訂正報告書を提出することとしました。
 リース注記等の誤謬は、店舗開発部における賃貸借契約書の管理の一部が不適切であったこと及び経理部から店舗開発部に対する賃貸借契約に関する情報収集の指示が必ずしも明確でなかったという店舗契約管理に関連する内部統制の不備に起因しています。当社は、これらの内部統制の不備が決算・財務報告に関連する内部統制上、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。これを受けて、当事業年度の内部統制報告書の評価結果に関する事項を訂正するに至りました。
 2024年5月期の有価証券報告書の訂正報告書を提出するに至った理由は、当事業年度の末日以降に判明したため、訂正の対象となる内部統制報告書の提出日においては、上記の開示すべき重要な不備を把握することができませんでした。このため、訂正の対象となる内部統制報告書においては、当事業年度の内部統制は有効であると判断し、上記の開示すべき重要な不備について記載することができませんでした。
 また、訂正の対象となる内部統制報告書における「2.評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項」については、上記の開示すべき重要な不備は評価の範囲内であり、基準日も適切であったと判断しています。しかしながら、評価手続については、店舗開発部における賃貸借契約書の管理の一部が不適切であったこと及び経理部から店舗開発部に対する賃貸借契約に関する情報収集の指示が必ずしも明確でなかったことから、金額的重要性の検討を十分に行えず、適切に評価できていませんでした。
 上記の開示すべき重要な不備は、店舗開発部における賃貸借契約書の管理の一部が不適切であったこと及び経理部から店舗開発部に対する賃貸借契約に関する情報収集の指示が必ずしも明確でなかったことによって発生したと認識しています。これを踏まえ、当社は財務報告の信頼性を強化するために以下の取り組みを実施します。
 
 賃貸借契約書の管理台帳並びに経理部及び店舗開発部間の指示報告体制の整備
 当社は、上記の開示すべき重要な不備の内容を踏まえ、店舗の賃貸借契約に関する情報を一元管理するための管理台帳として、新たなシステムを導入します。また、経理部及び店舗開発部間の指示報告体制を明確化するため、両部門に担当者を配置し、必要な情報を適時かつ適切に共有可能な体制を整備します。
 これにより、店舗開発部は店舗の賃貸借契約書の網羅的かつ正確な管理が可能となります。また、経理部は新たな管理台帳を用いることで、網羅的かつ正確な店舗契約の管理が可能となります。加えて、管理台帳の情報に疑念がある場合や決算・財務報告に必要な情報に不足がある場合等には、経理部及び店舗開発部の担当者が調整又は指示報告を行うことで、信頼性を確保した財務報告が可能となります。

付記事項

特記事項

監査法人 有限責任 あずさ監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:-

備考

訂正内部統制報告書にて、第62期(2023/5/16-2024/5/15)の訂正を表明。

1660
企業名 ピクセルカンパニーズ株式会社 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。
 

 
 2024年11月12日に第三者による特別調査委員会から受領した調査報告書により、2019 年から 2023 年当時、当社子会社であったピクセルエステート株式会社(以下「PXE」という。)で行われていた太陽光発電事業において、前代表取締役社長(以下「前社長」という。)が、同事業における土地や権利等の取得のための前渡金の支出を伴う取引を仮装し、PXEの資金を流出させていたこと、また、支出した資金の一部は、前社長の借入金の返済に充てられたこと(以下「本件不正支出」という。)などが判明し、長期間にわたり不適切な会計処理が行われていたことなどが明らかになりました。加えて、前社長は、2019 年から 2022 年までに行った自身の金銭消費貸借契約締結に際し、取締役会の承認を得ずに、当社を代表して連帯保証契約を締結していたことが判明しました。
 
 これらは、当社の全社的な内部統制、全社的な観点で評価する決算・財務報告プロセスに関する内部統制に重要な不備があったことも一因であると認識しています。なお、当事業年度の末日までに是正されなかった理由は、調査委員会からの調査報告書を受理した2024年11月12日から事業年度の末日までに、再発防止策を整備し運用する期間を十分確保できなかったためです。
 
 当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会から受領した調査報告書の再発防止策の提言事項を参考に、以下の再発防止策を策定、実行の上、内部統制の整備・運用を図ってまいります。
 
 1. 役員体制の見直し
 2. 役員選任基準、役員選任プロセスの見直し
 3. 権限集中の解消と牽制機能の強化
 4. コンプラ重視の企業風土への改革
 5. 独立した監査機能の強化
 6. 社内規定の整備と運用の徹底
 7. 役員と関係のある会社との取引の制限
 8. 子会社管理の徹底
 9. 内部通報制度の活性化

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 監査法人アリア 監査意見

財務諸表監査:限定付適正
内部統制監査:適正

備考
1661
企業名 ZETA株式会社 市場 東証グロース
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不たしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 当社グループは、2022年6月期の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)を適用し、商品検索エンジン「ZETA SEARCH」をはじめとする自社ライセンス商品の販売は、顧客が運営するECサイトの検索エンジンに自社ライセンスの使用権を付与し稼働させる義務を負うため、ライセンスが供与され使用可能となった時点で履行義務が充足されるものと判断し、ライセンスが使用可能となった一時点において収益を認識していました。
 しかし、2024年12月期の決算の過程で、契約上の入金サイトが長期間に渡るライセンス取引についての会計処理を再検討した結果、このようなイレギュラーな入金サイトのライセンス取引については、対価の回収がなされた時点で収益を認識することが適切な会計処理であると判断いたしました。
 また、一部のライセンス取引の履行義務の充足について、証憑の確認のみに留まり、履行義務の充足の事実を確認する統制が整備されていなかったことが判明しました。
 これにより、当社グループは過年度の決算を訂正し、2023年6月期から2024年6月期までの有価証券報告書、及び2023年6月期第1四半期から2024年6月期第3四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出しました。
 上記の事象は、収益認識会計基準適用後に入金サイトが長期に渡るライセンス取引の適切な会計処理の検討が適時に行われていなかったこと、ライセンス取引の性質を考慮したあるべき内部統制の検討ができていなかったこと、及び、そのような検討を社内で適時に行うための社内体制の整備が不十分であったことに起因して、改善対応への取組みが遅れたものです。これらは、長期間に渡る入金サイトという、通常の取引とは性質の異なるライセンス取引に係る会計処理の検討に関する決算・財務報告プロセスの不備、及び、ライセンス取引に係る売上計上プロセスの不備に起因すると考えており、開示すべき重要な不備に該当すると判断しています。
 上記の開示すべき重要な不備が当事業年度の末日までに是正されなかった理由は、これらの事実の認識が当事業年度の末日後となったためです。なお、開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、すべて連結財務諸表及び財務諸表に反映しております。
 当社グループとしては、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、社内人員に対して正常な入金サイトの取引が是であるという意識付けの徹底、経理部門人員の専門知識の向上、及び、内部監査・監査役監査の対象と方法の見直しを含めた内部統制システムによる経理部門の監視監督機能の強化を図ることにより、決算・財務報告プロセス及びライセンス取引に係る売上計上プロセスを強化し、財務報告の信頼性を確保していく方針です。
 

以 上

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 監査法人アヴァンティア 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1662
企業名 オイシックス・ラ・大地株式会社 市場 東証プライム
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告の適正性に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、2024年3月31日現在における当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 当社は、当社の連結子会社であり、且つ、当社連結子会社であるシダックス株式会社の完全子会社であるエス・ロジックス株式会社(以下「対象会社」といいます。)のSDC事業部において棚卸資産の過大計上が行われている疑義を認識したため、2024年12月26日に原因究明・内部統制強化チーム(以下「調査チーム」といいます。)を設置し、調査チームによる対象会社に対する調査を実施いたしました。
 2025年3月26日に受領した調査チームの調査報告書の内容を確認した結果、2014年以降、対象会社のSDC事業部において、同事業部の従業員により、棚卸資産が過大に計上される不適切な会計処理が行われていたことが判明しました。
 これを踏まえ、当社は、過年度の決算を修正し、2024年3月期有価証券報告書及び2025年3月期半期報告書について、訂正報告書を提出することといたしました。
 本件の発生原因及び内部統制上の不備として以下を認識しております。
 (1)決算・財務報告プロセスにおける発生原因及び内部統制上の不備
    ・対象会社における事業部別の棚卸資産残高がモニタリングの対象外となっていた

・シダックス株式会社の管理部門において、棚卸資産に関する連結決算手続につき、異常値を発見すべき増減分析の深度が不足していたため、異常値を発見できなかった

 (2)業務プロセスにおける発生原因及び内部統制上の不備

・対象会社における職務分掌が適切に運用されず、また、実地棚卸結果をシダックス株式会社の管理部門が検証する仕組みが十分に整備されていなかったため実地棚卸結果の改ざんに対する牽制が働かず、また、その発見が困難となった

 
 以上を踏まえ、当社は、決算・財務報告プロセス及び業務プロセスが有効に機能しておらず、これらの不備による財務報告に与える影響が大きく重要性が高いと判断し、開示すべき重要な不備として認識いたしました。
 なお、開示すべき重要な不備の識別が2024年3月31日以降となったため、当事業年度末日までに是正することができませんでした
 
 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を強く認識しており、財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備を是正するために、以下の再発防止策を実施し、適切な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。
 (1)決算・財務報告プロセスにおけるモニタリングの再整備
    ・事業部門及び管理部門による棚卸資産に対する定期的な監視

・管理部門及び内部監査部門による継続的な増減分析等の実施による財務諸表および財務諸表の信頼性に重要な影響を及ぼす事項等の早期検知と是正措置の推進

 (2)棚卸管理プロセスにおける運用の整備
    ・棚卸管理に関する実施・報告ルールの対象会社従業員への再教育
    ・棚卸資産の正確且つ網羅的な把握が可能な証憑管理ルールの整備

以上

付記事項

特記事項

監査法人 有限責任監査法人ト ー マ ツ 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:-

備考

訂正内部統制報告書にて、第27期(2023/4/1-2024/3/31)の訂正を表明。

1663~1667
企業名 株式会社エイチ・アイ・エス 市場 東証プライム
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。従って、当社代表取締役社長 矢田素史は、2024年10月31日現在における当社グループの財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。
 

 
 当社は、2024年12月13日、当社の連結子会社における雇用調整助成金の不正受給の疑義、及び当社グループ全体における雇用調整助成金の受給に関する問題の有無を確認するため、特別調査委員会を設置し、調査を進めてまいりました。当社は、特別調査委員会から2025年3月21日に調査報告書を受領し、その結果、2020年10月期より2023年10月期において、連結子会社3社において雇用調整助成金の不正受給が行われていたことと、当社及び連結子会社14社において雇用調整助成金の不適正受給が行われていたこと(以下、「本件事案」といいます。)が判明いたしました。
 
 当社は、これらを踏まえ、2020年10月期から2023年10月期の有価証券報告書及び2022年10月期第2四半期から2024年10月期第2四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。
 
 雇用調整助成金の不正受給及び雇用調整助成金の不適正受給に至った原因及び内部統制上の不備として以下を識別しております。
 
 ①当社における全社的な内部統制の不備(当社の雇用調整助成金の不適正受給)

当社における雇用調整助成金の不適正受給は、当社内での制度の理解不足、雇用調整助成金の申請に対応する労務管理の不備、監査体制の甘さ、通報体制の機能不全が重なり発生したものと認識しております。顧客対応などの短時間の業務は勤務とみなさないという誤った認識があったため、特別休業日でも勤務実態があるにもかかわらず出勤記録を修正せず、日単位での助成金申請が行われました(統制環境の不備)。また、人事部門においても、現場の誤った勤怠管理について十分に監視・指導する体制が整っておらず、雇用調整助成金の受給ルールに関する理解を伴ったチェックも必ずしも十分に機能しておりませんでした(統制環境・モニタリングの不備)。内部監査においても、申請書類の整合性確認に留まり、実態との照合までは行わなかったため、不適正受給の発見にいたらず(モニタリングの不備)、さらに、通報制度に対する信頼が十分でなかったため、社内通報よりも監査法人への通報が先行する結果となりました(情報と伝達の不備)。

 
 ②当社における全社的な内部統制の不備(当社によるグループガバナンスの観点から)

当社においてはリスク・コンプライアンス委員会を設置しておりましたが、リスクの検討や分析が必ずしも十分に行われなかった結果、子会社における助成金申請に伴うリスクを十分に認識できておりませんでした(リスクの評価と対応の不備)。当社は子会社管理において各子会社の自主性を重視するという方針でしたが、これが結果的に子会社に対する管理不足を招いたものと認識しています。当社から子会社に派遣される役員も、複数の子会社を兼務することが多く、十分な監督が行き届かなかったという点や、一部の子会社においては経営陣が長年固定化され、親会社とのコミュニケーション不足が発生し、当社側からの監視が届きにくい環境が生まれておりました(統制活動の不備)。
 当社の内部監査部は、グループ全体の監査を担うには人員が不足しており、必ずしも十分な監査が実施できておりませんでした。雇用調整助成金の受給手続を対象とした監査は行われておりましたが、勤怠記録の改ざんや不正の可能性を考慮した調査までは実施できておりませんでした(モニタリングの不備)。
 さらに、当社の子会社管理部門や人事部門は、子会社に対し、雇用調整助成金の申請手続や勤怠管理に関する情報提供・指導が必ずしも十分にできておらず(情報と伝達の不備)、各子会社が独自の判断で申請を進めたことで、適切な管理も十分には行えておりませんでした(統制活動の不備)。

 
 ③連結子会社における全社的な内部統制の不備(子会社の雇用調整助成金の不適正受給)

子会社における雇用調整助成金の不適正受給の背景には、当社と同様に労働法規や制度の理解不足や不適切な労務管理(統制環境・モニタリングの不備)、さらには顧客対応を優先する企業文化から、休日でも従業員が自主的に対応することが常態化し、特別休業日でも業務を行っていたにもかかわらず、出勤記録を修正せず助成金を申請しておりました(統制環境の不備)。

 
 ④連結子会社における全社的な内部統制の不備(子会社の雇用調整助成金の不正受給)

子会社における雇用調整助成金の不正受給では、子会社側において労働法規や雇用調整助成金の受給ルールに関する理解が十分でなく、またチェックも十分でなかったという点(統制環境・モニタリングの不備)に加え、子会社の経営陣が意図的に勤務実態と異なるタイムカードを作成し不正な申請を行っていたもの、子会社の社長が特別休業日中の業務を黙認・指示していたというもの、申請担当者が独自の運用で短時間勤務を出勤扱いとせず、実態と異なる申告を行っていたというものが確認されており、コンプライアンス意識が不十分であった(統制環境の不備)と考えております。

 
 さらに、これらに先立ち、当社では2021年10月期の決算の確定作業期間中に、連結子会社2社(株式会社ミキ・ツーリスト及び株式会社ジャパンホリデートラベル)においてGoToトラベル事業給付金の申請に関する疑惑があることを把握したため、専門家を含めたメンバーによる調査により、これら疑惑の全容解明と類似事案の有無等の確認が必要であると判断し、2021年12月8日に調査委員会を設置し、調査を行いました。
 その結果、対象となった子会社2社それぞれから、宿泊の実態がなく、GoToトラベル事業給付金の給付要件を充たさない不適切な給付申請が発見された旨の報告があり、当該実態のない取引に基づいた売上の計上やGoToトラベル事業給付金及び地域共通クーポンの計上等の不適切な会計処理が行われていることが判明しました(以下、「GoTo事案」といいます。)。
 また、株式会社ミキ・ツーリストについては、外部ホテル運営会社と連携して、不適切な給付申請を計画的に行ったと疑われる事実が明らかになりました。
 
 当社は、調査結果を踏まえ、当該連結子会社2社における不適切な会計処理の訂正や関連する引当金の計上等を行い、当連結会計年度の第1四半期から第3四半期までの四半期報告書について2022年1月28日に訂正報告書を提出しております。
 また、当社はその際に、GoTo事案に関して、当社の関係会社に対する管理監督体制や内部監査機能の不十分性、子会社におけるコンプライアンス意識の不足や社長の業務執行に対する監視・監督機能の不十分性、当社グループにおける内部通報制度の不十分性等、当社及び当該連結子会社2社における全社的な内部統制の不備を開示すべき重要な不備に該当すると判断し、以下の再発防止策(以下、「GoTo再発防止策」という。)を実行してまいりましたが、結果的に、本件事案の防止、早期の発見には至っておらず、GoTo事案に関する当社及び連結子会社2社の全社的な内部統制における開示すべき重要な不備は、依善、未改善であると再評価いたしました。
 1)コンプライアンス意識の改革
 2)各社取締役会による監督機能の強化
 3)親会社による子会社管理の強化
 4)内部監査の強化
 5)不祥事の早期発見のための取組み
 
 GoTo事案は連結子会社2社において発生した不祥事であり、GoTo再発防止策は親会社の子会社経営者に対する監視・監督の強化により再発防止を図ることを主眼としたものでした。内部監査の監査項目として助成金受給に関する項目を追加したものの、グループ全体において助成金に係る不祥事リスクへの認識が十分に高まらず、子会社管理部門及び人事部門等(第2線)の体制や権限を強化するといった対応までは講じられなかったため、GoTo再発防止策の本件事案に対する牽制効果は限定的であったと認識しております。
 
 当社は、これらの不備は財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 なお、上記事実は当事業年度末日後に発覚したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。
 
 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するためには、改めてグループ全体のガバナンス体制の強化を中心とする抜本的な対応が必要と判断しております。特別調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の改善策を講じて適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。
 
 1)コンプライアンス意識の醸成

当社グループ全体でコンプライアンス意識を高めるため、コンプライアンス遵守のトップメッセージを発信し、役員や管理職、従業員に対して労働法規や労務管理に関する教育及び雇用調整助成金の不正及び不適正受給に関する教育を実施する。労務管理等に関する意識改革・意識統一を図るとともに、勤怠管理や助成金申請に潜むリスクを認識させるため、事例を元にした役職別のコンプライアンス研修を実施する。さらに、行動規範を示すことによる全体的な意識改革を推進し、グループ内の意識統一を図るため、啓蒙活動を実施し、コンプライアンス遵守の重要性を浸透させる。

 
 2)グループガバナンスの強化

子会社管理体制を見直し、ガバナンスの高度化を図る。子会社ガバナンス検討会(仮称)を立ち上げ、子会社管理業務の集中管理や子会社数の見直しを検討し、役員の選任基準や評価制度を見直す。また、報告・承認事項やレポーティングラインを明確化し、透明性のある関係を構築する。さらに、リスク評価を徹底し、リスク・コンプライアンス委員会の機能を強化することで、グループ全体のリスク管理能力を向上させ、潜在的なリスクの早期発見と対応を可能にする。親会社と子会社間のコミュニケーションを強化し、情報共有を促進する。

 
 3)助成金申請における内部統制の見直し

助成金申請に関するルールを明確化し、グループ内に周知徹底する。助成金申請部署と内容を確認し、管理する部署を分離することで、牽制が働く体制を構築する。さらに、不適切な申請や不正な申請が行われないように助成金申請内容のモニタリングを実施する。

 
 4)労務管理の徹底

グループ各社における勤怠管理の業務を見直し、第1線によるセルフモニタリングを徹底することで、労務管理の強化を図る。グループ各社の人事部門(第2線)による勤怠管理のモニタリングを徹底する。

 
 5)内部通報制度の周知及び活用の促進

内部通報制度の信頼性を高めるため、定期的な情報発信や啓蒙活動を実施する。従業員のエンゲージメントを高める工夫を行い、内部通報制度の利用促進を図る。また、内部通報制度を活用し、通報内容からリスクを洗い出してリスク・コンプライアンス委員会で対策を検討する体制を整備する。これにより、リスクの早期発見と迅速な対応を実現する。さらに、外部窓口の検討を行い、通報しづらい事案に対する対応を強化する。

 
 6)内部監査体制の見直し

内部監査部門(第3線)の人員増強と専門性の向上を図り、監査の効率的かつ効果的な実施に向けたリスク・アプローチを高度化する。公的な助成金に関する監査方法・方針を見直し、子会社に対する監査頻度を増加させることで、監査体制を強化し、内部監査の実効性を向上させる。

 
 なお、GoTo事案に関する一連の開示すべき重要な不備についても、本件事案に関する上記の改善策を通じて、引き続き是正を進めてまいります。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

 上記3「評価結果に関する事項」に記載の経緯により、2020年10月期より2023年10月期にかけて、連結子会社3社において雇用調整助成金の不正受給が行われていたことと、当社及び連結子会社14社において雇用調整助成金の不適正受給が行われていたことが判明しました。
 当社は、当該事実を受けて、2020年10月期から2023年10月期までの財務報告に係る内部統制に関して再評価を行った結果、当社及び連結子会社の全社的な内部統制の一部に不備があったことを識別いたしました。当社は、これらの不備は財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高いため、開示すべき重要な不備に該当すると判断し、2025年3月31日付で財務報告に係る内部統制の評価結果を訂正しております。2025年3月31日付で提出した内部統制報告書に記載している2020年10月期、2021年10月期、2022年10月期、2023年10月期における開示すべき重要な不備は、3「評価結果に関する事項」に記載の開示すべき重要な不備と同一であります。
 これらの過年度における開示すべき重要な不備は当事業年度末日後に発覚したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。
 なお、当社ではこの開示すべき重要な不備に対し、今後、3「評価結果に関する事項」に記載した再発防止策を設定・実行し、適切な内部統制の整備・運用を図り、財務報告の信頼性を確保してまいります。

監査法人 有限責任監査法人トーマツ 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考

上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第43期(2022/11/1-2023/10/31)1664
 第42期(2021/11/1-2022/10/31)1665
 第41期(2020/11/1-2021/10/31)1666
 第40期(2019/11/1-2020/10/31)1667

重要な手続きが実施できないと表明した企業

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