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2024年4月公表「内部統制報告書」記載内容集計表

投稿日時:2024年05月01日(水)

2024年4月1日以降、4月30日までに公表された内部統制報告書について、「有効である」という結論以外となる報告書を提出した企業及びその内容は次のようになっています。

開示すべき重要な不備が存在すると表明した企業
9
重要な手続が実施できないと表明した企業
0

開示すべき重要な不備が存在すると表明した企業

1486
企業名 野村ホールディングス株式会社 市場 東証プライム
その内容

 上記の評価手続を実施した結果、以下の不備が発見されました。当社は、当該不備は開示すべき重要な不備(Material Weakness)に該当すると判断いたしました。したがって、2023年3月31日における当社の財務報告に係る内部統制は有効でないとの結論を下しました。
 
 2023年6月28日、当社は内部統制報告書を提出いたしました。当時、グループCEOおよびCFOならびに情報開示委員会を含む当社の経営者は、財務報告に係る内部統制の有効性を評価した結果、2023年3月31日における当社の財務報告に係る内部統制は有効であるとの結論を下しました。しかしその後、当社の連結キャッシュ・フロー計算書について、区分および表示の誤りを識別しました。その内容は、区分の誤りについては、一部のトレーディング目的以外の貸付金、その他の金融および非金融取引から生じるキャッシュ・フローを、投資活動によるキャッシュ・フローまたは財務活動によるキャッシュ・フローではなく営業活動によるキャッシュ・フローに区分したことによるものです。また、表示の誤りについては、一部のトレーディング目的以外の負債証券、短期借入、その他の金融および非金融取引から生じるキャッシュ・フローを総額ではなく純額で表示したことによるものです。その結果、当社の情報開示にかかる統制と手続きは有効ではなく、財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備(Material Weakness)が存在しており、2023年3月31日における当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。特に、既存のレビュー統制でこれらの誤りが発見されなかったという事実および、連結キャッシュ・フロー計算書において、米国財務会計基準審議会編纂書230「キャッシュ・フロー計算書」(以下「編纂書230」)に準拠した表示および区分の適正性の確保のための、有効に設計された統制が欠如していた点に基づき、上記の判断となっております。
 これらの誤りは主に、上記に述べた一部の区分および表示方法の解釈が、米国において一般に公正妥当と認められた会計原則および実務慣行と照らし合わせた結果、修正すべきものと判断したことから生じました。
 収益合計(金融費用控除後)、税引前当期純利益、当期純利益、基本および希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益および連結貸借対照表に対する影響はありませんが、当社は、既存の内部統制では連結キャッシュ・フロー計算書の表示および区分の重要な虚偽報告を発見することができなかったため、財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備(Material Weakness)が存在するという結論を下しました。
 
改善策
 当社は開示すべき重要な不備(Material Weakness)への対応として、連結キャッシュ・フロー計算書について、将来同様の誤りを生じさせるリスクを軽減するための改善策を実行しております。具体的には以下のとおりです。
 
・他の関連した問題の識別や区分および表示の改善を行うための、過年度に開示した書類および訂正された財務諸表に含まれる連結キャッシュ・フロー計算書に対しての詳細なレビューの実施
 
・包括的な内部方針の文書化ならびに必要な人材に対する連結キャッシュ・フロー計算書における区分および表示に重点を置いた研修の実施
 
 ・新たな年次の統制として、ファイナンス部門のシニア・マネジメントや会計方針の責任者による連結キャッシュ・フロー計算書に対する包括的なレビュープロセスの導入(このプロセスには、編纂書230および他の適用される指針に準拠していることを確認するための、報告数値の基礎となる計算や集計方法のレビューが含まれております)

付記事項

 当社が採用しております米国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価に関する基準と、わが国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価に関する基準との主要な相違点は次のとおりであります。
・米国の基準においては、財務報告に係る内部統制の対象となる財務報告は連結財務諸表を前提としています。わが国の基準においては、財務報告に係る内部統制の対象となる財務報告は、連結財務諸表を含む財務諸表及び財務諸表の信頼性に重要な影響を及ぼす開示事項等と規定されています。
・米国の基準においては、財務報告に係る内部統制の対象となる事業体の範囲には親会社及びその連結子会社等が含まれます。わが国の基準においては、財務報告に係る内部統制の対象となる事業体の範囲は、親会社、その連結対象となる子会社等及び持分法適用となる関連会社と規定されています。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 EY新日本有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:-

備考

訂正内部統制報告書にて、第119期(2022年4月1日~2023年3月31日)の訂正を表明。

1487~1491
企業名 中部水産株式会社 市場 名証メイン
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。

 
 当社は、2023年11月に当社卸売部門の特定の販売先に対する売掛金について約定弁済がなされなかったことを契機として、当該取引に係る確認を行ったところ、当社の特定の仕入先が循環取引等の不適切な取引を主導し、販売先に対する架空取引が生じている可能性があることが判明しました。そこで、2024年2月9日付の取締役会において、当該取引にかかる事実関係の調査、並びに原因の究明、類似事象の有無の確認、財務諸表等への影響額の算定、及び再発防止策の提言を目的として、特別調査委員会の設置を決議いたしました。
 当社は、2024年4月8日、特別調査委員会から調査報告書を受領し、当社が特定の販売先と行っていた一部の取引は商品が存在しない架空循環取引であり、その経済的実態は資金移動取引であるとの報告を受けました。なお、本件架空循環取引は仕入先の営業担当であった某氏が主導したもので、当社は会社としてあるいは卸売部門として組織的かつ意図的に関与したものではないことに加え、当社の営業担当者にも実在性のない架空取引あるいは循環取引との認識はなく、某氏が主導した本件循環取引に巻き込まれたものと認められるとの評価を受けております。
 当社は、報告内容の検討の結果、当該取引は売上及び仕入としての実態のない取引として、関連する売上高及び売掛金、仕入高及び買掛金、並びにその差額として計上された利益を取り消すこととし、この取引に関して発生した資金移動取引について金融取引として認識して、長期未収入金を計上しました。併せて当該長期未収入金に対しては、各期末における回収可能性を検討の上、貸倒引当金を計上しました。また、今回の調査の過程で発見された顧客への財又はサービスの提供における役割(本人又は代理人)の判断誤りに起因する修正事項等を併せて訂正いたしました。
 これらの訂正にともない、影響のある過年度の決算を訂正することが適切であると判断し、2019年3月期から2023年3月期までの有価証券報告書及び2021年3月期第1四半期から2024年3月期第2四半期までの四半期報告書について決算の訂正を行い、2024年4月15日に訂正報告書を提出いたしました。

 当社は、特別調査委員会により認定された不適切な会計処理が生じた原因は、以下の点にあるものと考えております。

・識別したリスクの評価及び対応策の立案に関するプロセスの不十分性
・循環取引含む不適切な事例等に関する役職員への情報共有の不十分性
・管理部門における財務数値のモニタリング機能の形骸化
・取引先との取引条件等の承認機能の形骸化
・循環取引の発見に関する実効性のあるモニタリング機能の不十分性
・外部倉庫に保管している棚卸資産の数量や金額の適時な把握体制及び実地棚卸体制の未整備

 当社は、これらの内部統制の不備が財務報告に重要な影響を及ぼしており、全社的な内部統制及び全社的な観点で評価する決算・財務報告プロセス並びに業務プロセスに関する内部統制について開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 上記の開示すべき重要な不備については、訂正事項の判明が当事業年度の末日以降であったため、当該事業年度の末日までに是正することができませんでした。
 なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、全て財務諸表等に反映しております。
 また、当該開示すべき重要な不備に関しましては、当該訂正の対象となった内部統制報告書の「2 評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項」に記載しております評価範囲内から識別された不備であり、評価基準日及び評価範囲(「重要な事業拠点」の選択、対象の業務プロセスの選択等)等は適切であったものの、上記記載の原因から不適切な会計処理を発見することができませんでした。結果として、当該訂正の対象となった内部統制報告書において、当該開示すべき重要な不備は記載できておりません。
 
 
 当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会から受領した調査報告書の再発防止策の提言事項を参考に、以下の再発防止策を策定、実行の上、内部統制の整備・運用を図ってまいります。

1.コンプライアンス及びリスク管理体制の再構築
2.役職員への実効性のある研修・教育の実施
3.管理部門におけるモニタリング機能の強化
4.業務プロセスの見直し
 

以上

付記事項

特記事項

監査法人 太陽有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:-

備考

上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第76期(2018/04/01-2019/03/31)1488
 第77期(2019/04/01-2020/03/31)1489
 第78期(2020/04/01-2021/03/31)1490
 第79期(2021/04/01-2022/03/31)1491
 
 
 

1492~1493
企業名 東京産業株式会社 市場 東証プライム
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすことから、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 当社が関連する太陽光発電案件に係る特定の仕入先に対する長期未収入金の保全措置として担保設定を受けていた受入担保資産の一部が当社の承諾なく譲渡されていた事実が確認されたことから、当該長期未収入金の回収可能性の評価や仕掛品として計上している当社が購入したID権利についての資産性・収益性の評価に関しては、改めて検討が必要と認識し、外部調査委員会の設置を決議し、当初調査が開始されました。また、当初調査の終盤に、当社が元請として受注する別の太陽光発電工事請負案件において、下請業者が特定の太陽光発電所の建設請負工事で生じた追加の工事原価の負担等から、二次下請業者への工事代金を支払えず、工事の遂行が困難になっているという事実が確認されたことから、追加の工事原価に係る費用負担に関連する工事原価総額の見積りの合理性についての追加調査が必要と認識し、追加調査が実施されました。
 外部調査委員会による調査の結果、大要以下3点の指摘を受けました。
 1.当社受入担保資産一部売却の事実等から、2023年3月期年度決算における長期未収入金の回収可能性の評価に関して、慎重な評価を行うことができていなかった可能性がある。
 2.いわゆる工事進行基準による会計処理における工事進捗率が実際の工事の進捗よりも高いものとなり、2022年3月期第1四半期以降の売上高及び売上原価の金額が過大に計上されていた。
 3.2023年3月期第2四半期以降においてはいわゆる工事進行基準による会計処理ではなく、原価回収基準での会計処理へ切り替えを行うことが必要であった。
 以上の指摘を受けて、当社は影響を受ける過年度の決算を訂正するとともに、第112期及び第113期の有価証券報告書について訂正報告書、第112期第1四半期から第114期の第3四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。本件の発生原因と開示すべき重要な不備の内容については、以下の通りと考えております。
 

 
 
全社的な内部統制における不備

・統制環境の不備
当初調査において対象となった長期未収入金に対する貸倒引当金の見積りについては、当社としても慎重に検討を進めてまいりましたが、仕入先に対して生じた金銭債権であるという点で特殊かつ非経常的なものであったことから、より高い感度をもって情報の収集及び分析を行うべきところ、十分に実施できておりませんでした。また、仕掛品の評価についても同様に慎重且つ十分な検討が必要であったと考えております。追加調査の対象となる案件で発生した追加費用についても、当該費用の性質や工事原価総額に影響を与える可能性について十分に検討するべきでありました。しかしながら、決算業務に従事する役職員及び当初調査、追加調査の対象となる案件に関与した役職員において会計リテラシーが不足しており、財務報告に及ぼす影響を十分に検討することができませんでした。
 
・リスクの評価と対応の不備
当初調査の対象となった案件については、従前では仲介という形で手数料収入を得る取引形態であったところ、当社が当事者となって売買を行う取引形態へと移行して間もなく取り組んだ案件であり、追加調査の対象となった案件については、取引形態としては従前から取り組んでいたものの、取引規模が今まで請け負ってきた案件と比較して格段に大きいという点で、どちらも非定型ビジネスであったと考えております。そのような取引に取り組むにあたっては、本部長会においてリスク評価を今まで以上により慎重に実施すべきところ、これまでと同様のリスク検討を実施するに止まり、多角的且つ深度のあるリスク検討ができておりませんでした。
 
・情報と伝達の不備
当初調査の対象となった案件において、長期未収入金の貸倒引当金の見積りを行う際に入手すべきであった受入担保資産に関する情報収集が不十分でありました。また、追加調査の対象となった案件において発生した追加費用について、会計処理の適切性に影響を及ぼしうる情報が営業部門から経理部門に適時に伝達されておりませんでした。また、監査部門においても追加費用の発生可能性を認識しておりましたが、経理部門に対し、決算への影響の可能性について共有ができておりませんでした。
 
業務プロセスにおける不備
・貸倒引当金の見積りプロセスにおける整備状況の不備
 当初調査の対象となった案件において発生した長期未収入金に対する貸倒引当金の見積りについては、受入担保資産等の評価や貸倒引当金計上の要否の検討は実施していたものの、受入担保資産等に基づく回収可能性の評価を誤るリスクがあるとの認識が不足していたため、受入担保資産等の評価のための情報収集が十分に実施できておらず、当該リスクに対する統制を適切に整備できておりませんでした。
 
・仕掛品の評価プロセスにおける整備状況の不備
 太陽光発電案件において当社が購入したID権利については、仕掛品として計上しておりましたが、仕掛品の評価に関しては当社において非経常的な業務であり、仕掛品の正味売却価額の見積りを誤るリスクがあるとの認識が不足していたため、正味売却価額を見積るために必要かつ十分な情報を収集できておらず、当該リスクに対する統制を適切に整備できておりませんでした。

・建設請負工事プロセスにおける整備状況及び運用状況の不備
 いわゆる工事進行基準による会計処理を行うにあたり、対象となる工事案件の進捗率を算定する際に考慮すべき発生原価を正確に把握するために必要な確認を行う際、下請企業が当社へ提出する進捗表と実際の工事の進捗状況が一致しているかの確認に係る統制が適切に整備されておりませんでした。また、いわゆる工事進行基準による会計処理を適用するか検討する際、四半期毎に工事進行基準判定報告を用いて適用の要否を経理部門で検討しておりましたが、工事原価総額の見積りの妥当性に係る会計リテラシーが不足していたため誤った判定を行い、統制が適切に運用されておりませんでした。
 当社は、これらの内部統制の不備について、財務報告に重要な影響を及ぼすことから、開示すべき重要な不備に該当するものと判断いたしました。
 なお、上記の開示すべき重要な不備は、当該事実の判明が当該事業年度の末日以降であったため、当該事業年度の末日までに是正することができませんでした。
当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を強く認識しており、本事実に関する問題点並びに反省を踏まえて、以下の再発防止策を実行してまいります。
 
(1) 非定型ビジネスへの取り組む際のリスク評価と対応の強化
全社的な内部統制におけるリスクの評価と対応の不備の是正に向け、第115期を通して、非定型ビジネスに対するリスク管理の強化を行います。リスク管理強化にあたっては、企画本部及び管理本部が当初調査及び追加調査に共通する項目を抽出し、案件取組みの適否や重点的にリスク管理すべき案件を特定いたします。重点的にリスク管理すべき案件を特定することで、意思決定機関である本部長会においてリスクに対して深度ある検討がなされるようにいたします。そのうえで、一定以上の規模の案件に取り組むにあたり、本部長会付議前にリスクについて多角的に審議を行うためのプロジェクトチーム(以下「PT」といいます。)を新設いたします。PTによる審議を行うに先立ち、2024年4月1日に経理部門内に窓口として審査課を設置いたしました。PT構成メンバーは案件担当営業部門、経理部門、法務部門、企画部門の部課長とし原則月1回開催します。本部長会付議にあたっては、PTの議事録を添付し、リスク及び対応策の見える化を行います。また、必要に応じて弁護士等の外部専門家の意見を確認し、本部長会へ報告するようにいたします。また、リスクに対し適切な判断を行える経営体制へと強化を図るため、役員に対し、継続的にリスク意識向上を図るための研修を行ってまいります。まずは総務人事部主催で外部専門家による取締役の義務と責任についての研修を2024年7月に実施することを予定しております。
 
(2) 会計リテラシーを向上させる施策の実施とその徹底強化
 全社的な内部統制における統制環境の不備及び情報と伝達の不備、また、業務プロセスにおける貸倒引当金プロセス及び仕掛品プロセスの整備状況の不備、さらに建設請負工事プロセスの整備状況及び運用状況の不備についても、営業部門及び経理部門の会計リテラシーが不十分であったことに起因して発生していたものと考えております。これらの開示すべき重要な不備を是正するため、決算業務に従事する役職員はもちろんのこと、関連する部門の役職員についても広く研修を実施し、会計に関する感度やリテラシーの向上を図ります。関連する部門の役職員に対して、2024年9月までに会計基準についての研修を実施し、決算業務に従事する経理部門の役職員に対しては、別途研修を実施します。これらの施策により、会計に影響しうる情報について各部門の担当者が高い感度をもって情報収集を行い、その情報が適時適切に伝達され、会計処理に反映されるようにしてまいります。
 
(3) イレギュラーな事象の発生原因・再発防止策の検討強化
 当初調査の対象となる案件においては、ID等譲受契約の解約とこれに伴う多額の長期未収入金の発生及び当該長期未収入金が未回収にもかかわらず、その相手先に対する融資や実際の支払を伴う取引の実施、長期未収入金を保全するための受入担保資産の一部が無断譲渡されていたというイレギュラーな事象が発生しておりました。追加調査においても、対象となる案件で追加費用の発生が見込まれる事態や下請企業の資金繰りに懸念が生じており、イレギュラーな事象が発生していたと認識しております。したがって、イレギュラーな事象により後発的に発生した状況の変化やリスク等についても、経理部門で定期的にモニタリングを行い、状況を評価した上で本部長会に対し報告いたします。また、イレギュラーな事象により発生した非経常的・非定型な業務については、経験豊富な経理担当者をアサインいたします。その他、監査部門の増員(2024年10月以降に1名を予定)や外部専門家の活用により、イレギュラーな事象への対応を強化してまいります。
 また、貸倒引当金の見積りプロセス及び仕掛品の評価プロセスでの不備に対応するべく、貸倒引当金の見積り及び仕掛品の評価について、リスクに応じた評価に必要な情報と手順等を適切に整備します。そのうえで、当該プロセスを財務報告への影響を勘案して重要性の大きい業務プロセスとして第115期から業務プロセスの評価範囲に含めます。
 建設請負工事プロセスの整備状況の不備については、工事案件の進捗率を算定する際に考慮すべき発生原価を正確に把握するための強化策として、第115期第1四半期より、定期工程会議に営業部門担当者と監理技術者が出席し、会議では下請企業から進捗の説明を受け、説明内容と現場での進捗状況が一致しているかの確認を徹底いたします。同時に、定期工程会議においては進捗率に係る記載事項をフォーマット化し、議事録として作成したものを四半期毎に営業部門から経理部門へ提出する工事進行基準判定報告に添付し、工程内容と進捗を経理部門でも確認いたします。また、経理部門での確認において必要と認められる場合には、実際に工事現場へ確認に行く統制も整備いたします。
 建設請負工事プロセスの運用状況の不備についても、第115期第1四半期より、従前より四半期毎に営業部門が作成している工事進行基準判定報告において、いわゆる工事進行基準による会計処理の適用の要否を判定するための確認項目としていた「工事原価を信頼性をもって見積ることができるか」について、「追加費用について合理的に見積ることができるか」「当社決算において重要な金額となるか」「下請企業から当社に実際に請求が行われることが確実であるか」「下請企業から当社に実際に請求が行われる可能性が高いか」といった項目へ細分化することで、統制を強化いたします。           

付記事項

特記事項

 当社は、特定の従業員が取引先複数社との間において実体が伴わない循環取引または架空取引を行っていた事実が判明したことをうけ、内部統制の一部に開示すべき重要な不備があったものと判断し、2018年3月期(第108期)から2021年3月期(第111期)にかかる内部統制報告書の訂正報告書、ならびに2022年3月期(第112期)にかかる内部統制報告書を2022年7月29日に提出いたしました。

 
当事業年度においては、特別調査委員会の指摘・提言も踏まえ、以下の再発防止策を実行し、内部統制の整備及び運用を図ってまいりました。
 
(1) コンプライアンスに対する意識の周知・徹底
(2) 組織的な統制・管理のための仕組みづくり
(3) 新規事業や複雑性の高い事業のサポート
(4) 役員のリスク意識の向上
(5) 適正な決裁、チェックのための対応
(6) 内部監査への対応と適正化
 
 
 当社は、上記の再発防止策を実行し、内部統制の整備及び運用を図ってまいりましたが、「3.訂正箇所及び訂正の内容」に記載のとおり、2023年3月31日時点においては、全社的な内部統制及び一部の業務プロセスに開示すべき重要な不備があったものと評価を改めました。
 
不正事案による開示すべき重要な不備の再評価
 新たな開示すべき重要な不備が発生したことから、実体が伴わない循環取引または架空取引(以下、「不正事案」といいます。)に起因して発生した業務プロセスにおける開示すべき重要な不備について、当事業年度において是正されたと評価しておりましたが、2023年3月31日時点において是正されていなかった可能性があると考え、再評価することが適当であるとの判断に至りました。再評価にあたり、是正のために実施した再発防止策の実施状況について再確認いたしました。当社が実施してまいりました再発防止策の具体的な施策については、下記の6項目となります。
 
(1) コンプライアンスに対する意識の周知・徹底
・行動規範の見直しを実施し、東京産業役職員行動規範に替え、東京産業グループ行動規範を制定いたしました。また、コンプライアンス規定と内部通報規定の改定を実施いたしました。
・コンプライアンスの重要性について、総務人事部長から本店及び各支店の全ての従業員に対し、直接コンプライアンス教育を実施いたしました。
・役員及び従業員を対象として、内部通報制度における通報窓口の委託先による内部通報に関する動画を視聴させ、内部通報制度の周知を図りました。
 
(2) 組織的な統制・管理のための仕組みづくり
・行動管理の徹底のため、営業支援システムを用いた行動管理のルール化を行い、全ての従業員へ通知と内容の説明を実施いたしました。
・書類の改ざんリスクに対応するため、PDF文書ツール機能制限を行い、Acrobat Readerの「入力と署名」の機能を無効化いたしました。また、紙媒体からデータ化を行い、見積書や注文書を電子捺印承認に切り替えました。
 
(3) 新規事業や複雑性の高い事業のサポート
・案件取組みに係る審査体制の強化のため、リスクチェックシートを新設し、当該チェックシートによる審査を実施いたしました。
・与信管理について、新規事業や複雑性の高い事業、非定型事業についての定義付けや審査対象とする基準について明文化したルールブックを作成し、全ての従業員へ通知と内容の説明を実施いたしました。
・詳細検討すべき事項に対する関係部室のコメントや専門家の意見を纏め、論点の抽出及び整理、その論点に係る情報やリスク評価について経営レベルまで回付するようにいたしました。
 
(4) 役員のリスク意識の向上
・役員に対して、外部講師招聘による役員向けコンプライアンス教育及びハラスメント研修を実施いたしました。
・取締役会に対する情報提供を行い、リスクに関する議論を活性化させるため、大型案件を対象とした進捗状況の報告をすることといたしました。また、上記再発防止策(3)で実施した検討すべき論点の抽出及び整理、その論点に係る情報等が取締役会にも報告される体制を構築いたしました。
 
(5) 適正な決裁、チェックのための対応
・決裁、業務フローに係る既存の運用や指針をまとめ、全ての従業員へ通知と内容の説明を実施いたしました。
・上記全従業員向けの説明とは別に、決裁者に向けての研修を実施いたしました。
・決裁者に向けて業務における統制状況の確認を行うチェックリストを新設し、半期毎に統制状況を確認するようにいたしました。
 
(6) 内部監査への対応と適正化
・社内監査時に前回監査時点の改善状況や改善策の履行状況について詳細を確認するようにいたしました。
・半期に1度、本部長会に対し社内監査結果を総括し、不正に繋がり得る重要な指摘事項については詳細報告を行うことといたしました。
・社内監査においては、適正に取引が実施されているかの確認に加え、法的リスクや会計的なリスクについても深度ある監査を行うことといたしました。
 
 
上記6項目のうち、(1)(2)については不正実行者がコンプライアンス意識に欠けていたことや自身の業務を上位者にモニタリングできないようにしていたことへの防止策であり、防止策の実行以降、同様の不正事案やコンプライアンス意識の欠如に起因する事案が発生していないことから、有効であったと判断しております。(3)(4)についても、不正事案が発生した新規事業や複雑性の高いビジネスにおけるリスク管理を強化したことで、複雑で管理が難しい非定型ビジネスにおいても不正リスクを含めた検討がなされるようになったと考えております。(5)(6)については、業務プロセスにおける適切な決裁に関する研修を実施することで決裁者によるモニタリングの強化を行い、監査部門においてもモニタリングを深化することで、不正の機会となる環境の是正に取組みました。その結果、当事業年度における内部統制の整備状況及び運用状況の評価においても、不正事案による開示すべき重要な不備が発生した業務プロセスの不備は識別されませんでした。そのため、不正事案を防止するという観点においては、再発防止策は有効であったと判断しており、当事業年度において当該業務プロセスにおける開示すべき重要な不備が是正されたとの判断に変更はありません。
 しかしながら、不正事案を受けて策定した再発防止策は、新たに発生した開示すべき重要な不備を是正する目的としたものではありませんが、(3)(4)の対策がより広範囲のリスクについても対応できていれば、非定型ビジネスにおけるマネジメントレベルでのリスク認識の弱さに起因する新たに発生した開示すべき重要な不備を防止できた可能性があったと考えております。また(5)(6)についても、業務プロセス研修や会計リスクについての社内監査を実施してまいりましたが、より深度をもって実施できていれば、会計リテラシーの不足に起因する新たに発生した開示すべき重要な不備も防止できた可能性があったと考えております。
 したがって、不正事案を受けて策定した再発防止策は、不正事案による開示すべき重要な不備の是正に有効であったものの、新たに発生した開示すべき重要な不備を防止するには十分なものではなかったと再評価いたしました。
 当社グループは、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、開示すべき重要な不備を是正するため、上記(3)から(6)の防止策の徹底を図るとともに、新たに策定した再発防止策と併せて実行することで、内部統制の適切な整備・運用を図ってまいります。

監査法人 有限責任 あずさ監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:-

備考

上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第113期(2022/4/1-2023/3/31)1493

1494
企業名 新都ホールディングス株式会社 市場 東証スタンダード
その内容

下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
当社は、当事業年度において、前事業年度の決算・財務報告プロセスに係る重要な不備について、真摯に対応し、改善を行ってまいりました。しかしながら、当社及び国内連結子会社における固定資産の減損認識の判定プロセスにおいて割引前将来キャッシュ・フロー計算に必要な事業計画の妥当性の検証が十分にされておらず、監査人の指摘により、決算開示内容を一部訂正する事態が生じました。

このため、当社の決算・財務報告プロセスは、さらなる改善が必要であると判断し、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 
当事業年度の末日までに当該内部統制の不備が是正されなかった理由は、当該重要な不備の判明が当事業年度末日後になったためです。
 
 当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、適正な管理体制を整えるべく、有効 な決算・財務報告プロセスを構築してまいる所存であります。
 
 なお、上記開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、すべて連結財務諸表に反映しております。

付記事項

当社は、2024年4月18日開催の取締役会において、当社を株式交付親会社、株式会社北山商事を株式交付子会社とする株式交付を実施することを決議いたしました。これにより、翌事業年度以降の当社の財務報告に係る内部統制の有効性の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 監査法人アリア 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考

重要な手続きが実施できないと表明した企業

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