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2024年9月公表「内部統制報告書」記載内容集計表

投稿日時:2024年10月01日(火)

 2024年9月1日以降、9月30日までに公表された内部統制報告書について、「有効である」という結論以外となる報告書を提出した企業及びその内容は次のようになっています。

開示すべき重要な不備が存在すると表明した企業
9
重要な手続が実施できないと表明した企業
0

開示すべき重要な不備が存在すると表明した企業

1565~1568
企業名 株式会社ウイルコホールディングス 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすことから、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
全社的な内部統制における不備
・統制環境の不備
 雇用調整助成金の申請は、2020年4月に開催された常勤取締役等で構成される役員連絡会において意思決定されました。役員連絡会は経営レベルに係る業務執行の意思決定を迅速に行うため週次で開催しておりますが、本会議で意思決定された事案であっても、法令による規制及び投資金額の多寡等の基準に従い、取締役会に付議することを前提としております。しかし、雇用調整助成金の申請時は、受給期間は一時的であると想定していたため、役員連絡会での意思決定で十分であるとの認識が常勤取締役にあり、社外取締役への報告は行われませんでした。その後、新型コロナウイルスによる経済活動への影響が長期化するに及んで助成金の受給額が財務報告に大きな影響を与えることが明らかになった段階で、速やかに取締役会に付議あるいは報告し、社外取締役の客観的な判断を仰ぐべきでしたが、常勤取締役、あるいは常勤取締役を補佐する立場にある経営企画部長及び総務人事部長の誰もが事態の重要性を識別しておらず、結果として取締役会や同日に開催される監査等委員会においても、雇用調整助成金に係る状況が社外取締役に報告、共有されませんでした。このため、取締役会および監査等委員会による常勤取締役の監督・監視及び取締役の相互監視が有効に機能せず、助成金の不正受給発生のリスクが増大しました。また、適切な経営理念及び行動規範に基づき、社内の制度が設計、運用されていながら、原則を逸脱した行動や状況が認識された場合に、これらを是正する誠実性あるいは倫理観が常勤取締役において十全ではありませんでした。
 
 
・情報と伝達の不備
 当社は、内部通報制度に基づく通常の報告経路から独立した伝達経路の通報窓口である「ウイルコ・グループ・ホットライン」を設置し、社員が匿名で不正を伝達する通報を受け付けると共に、通報者保護、通報内容の調査、是正措置を行う方針と手続きが定められておりました。しかしながら、第三者委員会によるアンケートで判明した通り、社内組織である経営企画部が窓口であったため、通報や相談を行ったことによる経営者から自身に対する不利益な扱いを恐れ、通報を躊躇した複数名の社員がいたことが判明いたしました。
 
 当社は、これらの内部統制の不備について、財務報告に重要な影響を及ぼすことから、開示すべき重要な不備に該当するものと判断いたしました。
 なお、上記の開示すべき重要な不備は、当該事実の判明が当該事業年度の末日以降であったため、当該事業年度の末日までに訂正することができませんでした。
 当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を強く認識しており、本事実に関する問題点並びに反省を踏まえて、以下の再発防止策を実行してまいります。
 
(1)取締役会の管理・監督機能の強化
 社外取締役をはじめとした外部者との連携及び社外取締役による常勤取締役の管理・監督体制を強化します。これまで取締役会資料が、会議当日に配布されることが多く、社外取締役にとっては、事前に議案を確認する時間が十分には確保できていなかった点を改め、遅くとも会議開催の5日前には会議資料の配布を行い、取締役会が常勤取締役に対して実効性の高い管理・監督を行う役割・責務を強化致します。
 
(2)内部通報制度の刷新
 通報窓口を、第三者的な立場で事案の秘匿性を担保できる外部の弁護士に変更し、従業員が無用の心配をすることなく通報できる体制を構築致します。
 
(3)チーフコンプライアンスオフィサーによるコンプライアンス強化
 2024年8月1日付でチーフコンプライアンスオフィサーを委嘱した上場企業の元取締役執行役員CFO鈴木正守氏(2024年8月27日に開催した当社取締役会において執行役員チーフコンプライアンスオフィサーCCOに就任)を中心に、コンプライアンス強化に係る施策を実行いたします。鈴木氏は上場企業における長年にわたるガバナンスと内部統制構築の経験と実績を活かすため、社内にコンプライアンス推進部を設置するための人選を進めております。コンプライアンス推進部はチーフコンプライアンスオフィサーによる改善活動を補佐する部門として、役職員に対するコンプライアンス教育を実施します。
 
(4)第三者を中心とした再発防止委員会の組成
 当社は、外部有識者からなる再発防止委員会を2024年9月1日付で組成し、第三者委員会の報告書において指摘された当社のガバナンス及びコンプライアンスの改善及び向上を促進するため、実効性を伴う再発防止計画を策定し、速やかに実行に移します。具体的な再発防止策はまとまり次第、別途開示を予定しております。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 仰星監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:-

備考

訂正内部統制報告書にて、第45期(2022/11/1-2023/10/31)の訂正を表明。
その他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第44期(2021/11/1-2022/10/31)1566
 第43期(2020/11/1-2021/10/31)1567
 第42期(2019/11/1-2020/10/31)1568

1569
企業名 Abalance株式会社 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制に関する事項の不備は、財務報告の適正性に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 
 

 
 
 当社の連結子会社であるWWB株式会社と太陽光発電所の建設工事業者との間の一部の取引において有償支給取引が行われており、収益認識に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第30号)に照らすと売上及び売上原価が誤って計上されていることが判明いたしました。
過去の類似取引を調査した結果、類似取引が存在することが判明したことから、過年度の決算を訂正するとともに、2022年6月期から2023年6月期までの有価証券報告書について、訂正報告書を提出いたしました。
また、当社監査等委員会による調査の結果、当社の社外取締役より以下のような内部統制上の不備が指摘されました。
 
 1.WWB株式会社の事業部において有償支給取引の会計処理にかかる理解が十分ではなかったこと。

2.当該有償支給取引にかかる必要な情報がWWB株式会社の事業部と当社経理部の間で十分に共有されず、結果的に当社経理部の当該取引に関する理解が十分でなかったため、当社経理部において当該取引が有償支給取引に該当すると判断出来なかったこと。また、監査法人に対して本件取引に関する重要な情報が網羅的に開示されなかったこと。

3.一部の連結決算担当者に業務が集中し、会社の連結決算が機械的に処理されていたことにより、有償支給取引にかかる会計処理が適切に行われなかったこと。

 
 これらの不備は、当社の財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高いものであり、当社の決算財務報告プロセスにおいて、財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 上記の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備につきましては、下記の再発防止のための改善措置を実行中でありますが、十分な改善の期間を確保することが出来なかったことから、事業年度末日までに是正を完了できませんでした。
 
 なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、すべて財務諸表に反映いたしました。
 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を強く認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するために、監査等委員会からの指摘・提言も踏まえ、下記の再発防止策を実行し、適切な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。
 
(再発防止策)
 (1) 有償支給取引に関する経理通達の策定及びその周知徹底
   ①有償支給取引に関する経理通達の策定
   ②有償支給取引にかかる業務プロセスの整備及び運用
   ③有償支給取引の会計処理に関する社内研修会の開催
 
 (2) 有償支給取引に関する事業部及び経理部との情報共有化

  ①プロジェクト開発部の開発案件ごとの詳細(部材支給の有無等)のワークフローでの承認等による情報の共有化
  ②プロジェクト開発案件等について検討を行う投資委員会への当社経理部長の出席及び入手した情報の当社経理部内での共有化

 
 (3) 管理部門における人員の拡充及び役割分担の適正化
   ①良質な人材の確保
   ②当社経理部及び当社経理部内の職務分担の明確化並びに適正化

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 アスカ監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1570~1573
企業名 株式会社ファインシンター 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 
 

 
 
 FSIにおいて、2020年3月期から2024年3月期までの棚卸資産の不適切な会計処理により、実態と相違がある資産計上が行われている疑いがあることが判明したため、2024年5月23日、当社とは利害関係を有しない外部の弁護士が委員長を務め、その他の外部専門家を含む委員で構成される特別調査委員会(以下「本特別調査委員会」といいます。)を設置し、本特別調査委員会によって事実関係の調査、本件に類似する事象の有無及び存在する場合の事実確認、調査の結果判明した事実が財務諸表に与える影響の調査、本件の原因分析及び再発防止策の提言、件外調査が実施されました。当社は、2024年9月28日に受領した調査報告書の内容を確認した結果、FSIにおいて、2020年1月から2024年3月までFSI代表取締役社長の指示により、FSI生産管理部にて数量を水増しした棚卸データが作成され、棚卸資産が過大に計上される不適切な会計処理があったことが判明しました。また、当社国内工場において製造されていた部品の一部について、販売予定が無くなったにもかかわらず、複数年にわたって棚卸資産として資産計上されたままとなっていたことも調査の中で判明しました。
 これを踏まえ、当社は、過年度の決算を修正するとともに、2021年3月期から2023年3月期までの有価証券報告書及び2022年3月期第1四半期から2024年3月期第3四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出することとしました。なお、2020年3月期に関しては財務諸表に与える影響額は限定的であるため、重要性を勘案し、訂正報告書は提出しないこととしました。
 当社は、これらの不正が生じ、またそれを適時に発見できなかった主な原因として下記を認識しております。
 
 ① 本件在庫過大計上を行うに至ったコンプライアンス意識の問題
 ② FSI前代表取締役社長の指示に対して牽制機能が働かなかったこと
  (ア)現地スタッフから日本人駐在員に対して意見しづらい関係性
  (イ)日本人駐在員相互間の牽制機能の乏しさ
  (ウ)FSIにおける在庫数量の確認に関する制度上の牽制機能の脆弱さ
 ③ 当社グループ内の黒字化に対する強いプレッシャー
  (ア)目の前の黒字化へのこだわり
  (イ)親会社から子会社に対する一方通行の関係性
 ④ 当社内における目の前の黒字化への焦り
 ⑤ 「NO」と言いづらい環境
 ⑥ 在庫の取扱いに関する社内規程・運用の不十分さ
 ⑦ 担当者の硬直化による牽制機能の弱体化
 
 上記の原因より識別された不備が、財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。当該開示すべき重要な不備は次のとおりです。
 
 ① 全社的な内部統制における開示すべき重要な不備
  ・コンプライアンスに対する経営陣の姿勢
  ・コンプライアンス教育・研修
  ・予算・実績管理
  ・取締役(会)の体制
  ・取締役の倫理性
 
 ② 当社の決算・財務報告プロセスにおける開示すべき重要な不備
  ・棚卸資産(通常品)の評価

  滞留品の評価減を計上するための経理ルールが設定されておらず、それに関する統制も設定されていなかった。

 
 ③ FSIの業務プロセスにおける開示すべき重要な不備
  ・棚卸資産プロセス実地棚卸

運用マニュアルでは財務経理部も棚卸数量データの確認をすることになっていたが、財務経理部での確認がなされていなかった。

なお、上記の開示すべき重要な不備につきましては、当該事項の判明が当事業年度の末日後であったため、当事業年度の末日までに是正することができませんでした。

当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するために、本特別調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の再発防止策を講じて適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。
 
 
 ① 海外子会社における牽制機能の強化
  (ア)現地スタッフの計画的育成及び現地スタッフへの動機付け

  コンプライアンス、会計、社内ルールの教育の強化を行うとともに、Directorなどの経営に関与できる人材の育成や採用を強化します。

  (イ)日本人駐在員として赴任する者に対する教育

  これまでの赴任者向けの教育に加え、経営層向けのカリキュラムを追加するなど海外赴任前教育の拡充を行います。また、コンプライアンスに関する当社及び全子会社との情報交換会を実施します。

  (ウ)現地スタッフが相談しやすい環境づくり

  海外赴任者の赴任前後の言語教育の強化を行うなど赴任者が現地のスタッフに積極的に寄り添うことができるような施策を講じることにより、赴任者と現地スタッフ間のコミュニケーションの促進を図ります。

 
 ② 海外子会社との関係性の見直し
  (ア)経営陣を含む当社と海外子会社の双方向の議論を行うための制度及び子会社支援体制の構築

  グローバル生産支援室を中心として、経営者懇談会の開催を進め、また、実務者クラスでの改善事例・困り事対応の共有会を行います。

  (イ)経理部や監査室による現地往査等、海外子会社と直接コミュニケーションをとる方策の検討
     経理部・監査室の体制強化を行い、子会社への往査等によるリスク検知・情報共有の強化を行います。
  (ウ)定期的なジョブローテーションの検討・見直し

  経営を担うグローバル人材の育成計画の強化を行うことにより、定期的なジョブローテーションを継続的に可能とする体制を整えます。

 
 ③ 当社における役割と責任の明確化
  (ア)短期的な黒字化要求の見直し

  本質的な改善を促す管理指標設定などにより、現場力を高め生産性の向上につなげます。収益管理における各部署の役割の明確化を進めます。

  (イ)牽制機能の明確化

  経理部、生産管理部、品質保証部等における牽制機能業務を明確にし、社内への周知徹底を行います。また、役員相互間での牽制が働くように取締役会の運営の改善も行います。

  (ウ)責任の明確化

  重要な意思決定において責任部署が曖昧な業務がないか洗い出しを行った上で、責任部署を明確にし、責任者不在の状態をなくします。

  (エ)ルールの明確化と周知徹底
     在庫管理に関するルールを見直し、当該ルールの運用のため周知徹底を行います。
 
 ④ 会計ルールの意味についての周知徹底
   役員を含む構成員に対する在庫を含めた会計知識及び収益管理の周知徹底を行います。
 
 ⑤ 当社グループにおける組織風土の見直し

  間違いに気づき、全員で解決するという明確な方針をメッセージとして、継続的に発信することによりグループ全体のコンプライアンス意識の醸成を行います。また、役員を含む継続的な教育と情報交換会を実施します。更に、創立記念日である10月1日を「再出発の日」と定め、社長直轄プロジェクト「再出発委員会」を立ち上げ、上下間の隔たりの無い闊達な議論を行い、コミュニケーションを促進することにより、社内の問題点を洗い出し改善を進めてまいります。

 
 
なお、当事業年度末日時点において開示すべき重要な不備に起因する必要な修正を、財務諸表及び連結財務諸表に反映しております。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 PwC Japan有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考

上記の他に、以下の会計年度において同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第74期(2022/4/1-2023/3/31)1571
 第73期(2021/4/1-2022/3/31)1572
 第72期(2020/4/1-2021/3/31)1573

重要な手続きが実施できないと表明した企業

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