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2023年6月公表「内部統制報告書」記載内容集計表

投稿日時:2023年07月01日(土)

 2023年6月1日以降、6月30日までに公表された内部統制報告書について、「有効である」という結論以外となる報告書を提出した企業及びその内容は次のようになっています。

開示すべき重要な不備が存在すると表明した企業
31
重要な手続が実施できないと表明した企業
0

開示すべき重要な不備が存在すると表明した企業

1363
企業名 株式会社ヤマト 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
(1)「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴う子会社財務諸表の修正
 当社グループの一部の連結子会社において、当連結会計年度より適用される「収益認識に関する会計基準」等に対応したシステム改修が行われなかったことから、当社経理部が手作業により当該連結子会社の個別財務諸表を修正することとしましたが、当社経理部において、退職による経理人員の減少に加えて、会計の専門的知見を有する経理人員が不足していたことなどから、連結決算の確定に時間を要し、社内チェックが十分に機能しませんでした。その結果として、一部の連結子会社における会計処理の修正に伴い、決算開示内容を一部訂正するなどの事態も生じました。
 
(2)連結子会社である株式会社スズデンの経理体制
 当社は2022年3月8日付けで株式会社スズデンの全株式を取得し連結子会社とし、当連結会計年度より同社の損益計算書も連結しております。当社は、同社に経理人員を出向させておりますが、会計の専門的知見を有する経理人員が不足していたことから、決算資料のチェックを十分に行うことができておりませんでした。その結果、会計処理の誤りが発生し、連結決算プロセスにおいて同社の個別財務諸表を修正する必要が生じたため、連結決算の確定に時間を要しました。
 
 上記はいずれも、連結決算に使用する子会社の個別財務諸表の正確性を担保する内部統制の不備に起因するものであり、財務報告の正確性を欠くことから改善が必要であると認識し、開示すべき重要な不備に該当すると判断致しました。当連結会計年度の末日までに当該内部統制の不備が是正されなかった理由は、当該重要な不備の判明が当連結会計年度末日後になったためです。
 
 当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、適正な管理体制を整えるべく、有効な決算・財務報告プロセスを構築してまいる所存であります。
具体的には、連結決算体制を強化すべく、発生した会計処理の誤りを踏まえた経理部内でのチェック体制の見直し、経理人員の補強や公認会計士等専門家の配置、会計的な知見を向上させるための建設業経理に関連する資格取得を促進いたします。また、会計システムを再構築し、連結決算体制のさらなる強化を図ってまいります。
 
 なお、上記開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、全て連結財務諸表に反映しております。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 太陽有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1364
企業名 株式会社ツガミ 市場 東証プライム
その内容

 下記に記した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

 当社と子会社との間の一部の取引において、有償支給取引が行われており、収益認識に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第30号)に照らすと当社の財務諸表の売上高が二重に計上されていることが判明しました。これにより、過年度の決算を訂正するとともに、2020年3月期から2022年3月期までの有価証券報告書について、訂正報告書を提出いたしました。
 上記の誤りは、有償支給取引に係る会計処理に関して、当社の当該取引に係る認識が十分でなかったことに起因しており、当社の財務諸表作成に係る決算・財務報告プロセスに関する内部統制において、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 上記の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備につきましては、当事業年度の末日までに十分な期間を確保する事ができなかったため是正することができませんでした。また、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、すべて財務諸表に反映いたしました。
 当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、決算・財務報告プロセスにおいて、有償支給取引に係る会計処理の手続きの整備・運用を行い、財務報告の信頼性を確保していく方針であります。

付記事項

付記すべき事項はありません。

特記事項

特記すべき事項はありません。

監査法人 EY新日本有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1365~1369
企業名 株式会社ビジョナリーホールディングス 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 2022年12月下旬に会計監査人の通報窓口に、当社前代表取締役社長の星﨑尚彦氏(以下、「星﨑氏」といいます。)による当社企業価値を毀損する行為の疑いに関する情報提供を得たことを受け、監査等委員会による調査を行うとともに、2023年3月7日付にて第三者委員会を設置のうえ調査を開始、同5月31日付にて第三者委員会より調査報告書を受領いたしました。
 第三者委員会が調査対象とした会社(星﨑氏の実質的影響力の下に経営されている可能性がある25社)については一部の会社を除き、星﨑氏等により、意思決定機関を支配していることが伺われ、連結子会社として取り扱うことが適切であると推測できるものの、星﨑氏及び第三者委員会が調査対象とした会社の代理人弁護士より、刑事訴追及び民事訴追の免責、開示資料の使用方法の制限や資料開示方法の限定(原本の閲覧のみ、複製不可)などの条件を付され、当社としてはこれら条件を到底受け入れることは出来ず、結果、会計情報等の提供を受けられていないことから、当社の連結範囲の適切性等及び当社の財務報告に対する影響の有無を確定できていない旨が第三者委員会の調査報告書において報告されています。当該報告に基づき、第三者委員会が調査対象とした会社については、当期にかかる連結財務諸表の連結の範囲に含めるべきかを判断する情報及び根拠等が入手できていないことから、子会社又は関連会社の範囲に含める訂正を行っていません。また、関連当事者の範囲に該当するか判断する情報及び根拠等も入手できていないことから、関連当事者の範囲に含めておらず、追加の訂正も行っておりません。さらに、第三者委員会が調査対象とした会社のうち一部の会社と当社の取引において、賃料増額の不合理性及び定期処理業務料の金額の不透明性を指摘することができると思われる旨、並びに根拠が不明確な請求倍率で請求されている可能性や業務実態が確認できない費用を請求されている可能性がある及び実態にそぐわない請求をされている業務委託費が存在する旨が第三者委員会の調査報告書において報告されています。しかしながら、当該取引が当連結会計年度及びそれ以前の会計期間(会計期間を特定できない)にかかる虚偽表示に該当するかどうかを判断、及び影響が及んでいる対象となる会計期間の特定に必要な情報や根拠等が入手できなかったため、当連結会計年度において販売費及び一般管理費に含まれる業務委託費並びにその他流動負債に含まれる関連する未払金に係る修正を行っておりません。
 したがって、以上の影響の有無やその金額が確定できる状況になく、当期にかかる連結財務諸表項目及び金額並びに注記を訂正すべきか、また、訂正される場合における連結財務諸表項目及び金額並びに注記の影響の程度が判明していないことから、関連する連結財務諸表項目及び金額並びに注記に重要な虚偽記載が存在する可能性があります。
 かかる状況から、当社は調査報告書の内容及び指摘事項について精査を進めておりましたところ、2022年7月29日に提出いたしました第5期(自 2021年5月1日 至 2022年4月30日)有価証券報告書の記載事項の一部に訂正すべき事項が判明しましたので、これらを訂正するため有価証券報告書の訂正報告書を2023年6月13日に提出しております。
 
 当社の当事業年度の末日における財務報告に係る内部統制は、以下のプロセスを経て、内部統制の評価範囲、基準日及び評価手続きが実施されております。また、関連する規程類は整備され、承認プロセスが遵守されているように見えており、開示すべき重要な不備の検出はされておらず、当事業年度末日時点において有効であると判断しておりました。
 
 【財務報告に係る内部統制のプロセス】

・内部統制の基本方針として、評価範囲に関しては、売上高を基準とし、評価対象から除外した拠点の売上高の合計額が連結売上高の5%に満たない拠点を重要性が僅少であるとし、株式会社ビジョナリーホールディングス、株式会社VHリテールサービス、株式会社メガネハウス、株式会社SENSEAID、株式会社VHシェアードサービス、株式会社VISIONIZEについて、評価対象としております。

・基準日に関しては財務報告に係る内部統制の評価は期末日を評価時点として行うもとすると規定し、内部統制を評価しております。

・評価手続きに関しては、全社的な内部統制の整備点運用状況の文書化にあたっては、全社的な内部統制のチェックリストを利用して行いますが、事前に質問項目に不足がないことを確認したうえで質問項目に回答を得ていく方法で行っております。

・整備・運用状況の評価については、内部監査担当者が関係部署に質問や具体的な資料の査問を行うことにより実施しております。

・整備・運用状況に不備が見受けられた場合、内部監査室長に報告を行い、その判断に基づいて必要な改善活動を行っております。

 
 しかしながら、第三者委員会の調査報告書を精査・分析した結果、本件事象は、星﨑氏及び第三者委員会が調査対象とした会社等で形成されているとみられる社外グループに属することが伺える当社前取締役等によって当社のガバナンス体制が無効化されたことにより発生したものであること、具体的には、第三者委員会が調査対象とした会社のうち、当社グループと直接の取引がある会社との契約締結、業務管理、支払額の妥当性の検証を担う当社グループ側の責任者は、星﨑氏が社外で形成していたグループに属していることが伺える当社前取締役等が担っていたことから、本件事象及び、取引の妥当性、適正性の検証ができなかったことが挙げられます。また、星崎氏が委員長であるコンプライアンス委員会が開催されていないことにより、十分なリスク評価と対応が行えていなかったこと、さらには、組織体制の複雑化とともに多くの従業員が複数部署の兼務を重ねており、権限職責が不明確になっていたことも挙げられます。
 これらを踏まえ、当社の全社的統制及び当社の決算・財務報告プロセスに係る内部統制の再評価を行った結果、今般の疑義やこのような事態を招いた背景には、星﨑氏や前取締役らによる財務報告に係る会計倫理や公正透明な取引への意識の不足・欠如に起因した統制環境における不備、本件取引先との取引や関係についてのリスクの評価と対応における不備、適切な財務報告のための社内外への情報共有・情報開示意識の不足といった情報と伝達における不備、内部監査等のモニタリングにおける不備、及び会計基準等への理解不足や情報収集の不足から、連結の範囲の適切性に係る統制、関連当事者の範囲の適切性に係る統制、及び販売費及び一般管理費に含まれる業務委託費並びにその他流動負債に含まれる未払金に係る会計処理の適切性に係る決算・財務報告プロセスにおける統制が有効に機能しなかったと認識しております。
 これらの不備は、当社の財務報告に潜在的に重要な影響を及ぼす可能性が高いと考えられるため、当社はこれらの全社統制及び当社の決算・財務報告プロセスに係る内部統制について、財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 上記の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関しましては、当該事項の判明が当事業年度の末日後であるため、当事業年度の末日までに是正することができませんでした。
 なお、2023年5月31日付にて第三者委員会による調査報告書を受けて、当社では、決算作業並びに経営体制、ガバナンス体制及び再発防止策等の検討を進める一方(一部については改善に着手済)、本件事案に関して、事実の検証及び現旧取締役(監査等委員を含む。)、元監査役等の責任追及(以下「責任調査対象者」といいます。)の要否の判断の方法についても検討しておりましたところ、2023年6月3日付にて、責任調査対象者と利害関係を有しない中立・公正な外部の法律家で構成される責任調査委員会を設置することを決議して、調査を進めており、本日時点においても調査が行われております。
 当社としては、内部統制の充実は、不正を防止するだけでなく、業務の適正化及び円滑化並びに経営効率の向上を図り、さらにコンプライアンス体制の構築にもつながり、当社のディスクロージャーの信頼性を高めることにもなることから、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、第三者査委員会及び2023年6月3日付にて設置した責任調査委員会による提言等に踏まえた再発防止策を策定・実行し、管理部門並びに内部監査部門の強化を通じて内部統制の整備・運用を図ってまいります。
 
 【再発防止策:着手・実行済】

・コンプライアンス委員会の活性化(2023年5月~)
 2023年5月より、コンプライアンス委員会を開催しております。
 当面は月1回以上開催することとし、全社に渡り潜在的に存在する不正リスクを検証し、不正を回避する有効な方策の検討・実行により、再発防止につなげてまいる方針です。
 なお、2023年4月以前はコンプライアンス委員長の星﨑氏のもと同委員会は開催されておりませんでしたが、コンプライアンス委員中心にコンプラインス研修の企画及び通年での開催、ハラスメント行為や不正・違法行為の未然防止、早期発見及び是正を目的として社内外に設置した公益通報窓口に寄せられた通報への対応、従業員か上長等に寄せられたハラスメント行為や不正・違法行為等の相談対応が適宜行われておりますが、今後はこれらについてもコンプラインス委員会で適切に議論を深めていくことともに、当社並びに役職員がコンプライアンスの遵守および実践に資する取り組みを強化してまいります。
・内部通報制度の強化(2023年4月~)
 ハラスメント行為や、不正・違法行為の未然防止および早期発見と是正を目的とした当社の内部通報制度について、通報を受ける社内の窓口の見直しを実施し、社外の監査等委員及び内部監査室長(5月26日付で追加)としております。
 これにより、従来の通報窓口では仮に星﨑氏らが関与する不正等を通報したいと考える者がいたとしても、全て星﨑氏らへ連絡がなされるため、通報者の保護が徹底されておらず、したがって内部通報制度が有効に機能していなかった可能性について是正を図っております。
・内部監査室の強化(2023年5月~)
 内部監査部門の独立性・客観性の担保及び深度ある内部監査の実施を強化するため、2023年5月1日付にて経験者を採用し、同5月25日付にて内部監査室長(専従)に任命しております。これにより、今後一層、監査等委員会、監査法人等との連携を深めるとともに、再発防止の観点からの内部監査の充実を図ってまいります。

 

以上

付記事項

特記事項

監査法人 PwCあらた有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:-
内部統制監査:-

備考

訂正内部統制報告書にて、第5期(2021年5月1日~2022年4月30日)の訂正を表明。
その他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第4期(2020年5月1日~2021年4月30日)1366
 第3期(2019年5月1日~2020年4月30日)1367
 第2期(2018年5月1日~2019年4月30日)1368
 第1期(2017年5月1日~2018年4月30日)1369

1370
企業名 株式会社パスコ 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 
(1) 今回発生した事案を発見に至った経緯と委員会の立ち上げ

 当社の東日本事業部において、当社社員から、請負契約に関する利益を本来計上すべき事業年度から翌事業年度に不適切に先送りしていることに関する情報が寄せられ、社内調査を実施いたしました結果、2021年3月期および2022年3月期において、請負契約に係る作業が事業年度末までに完了していた案件について利益の一部を翌事業年度に先送りするという不適切な会計処理が行われていたことが確認されました。
 これを受けて当社は、調査の独立性を確保し専門的かつ客観的な見地からの調査および再発防止策の立案を行うため、2023年2月10日開催の取締役会において、当社との間に特段の利害関係のない社外の弁護士および公認会計士から構成される特別調査委員会の設置を決議し、同日より特別調査委員会による調査が開始されました。
 特別調査委員会による調査の結果、2019年3月期から2022年3月期までの期間、東日本事業部を含む複数の事業部において、作業が完了したにもかかわらず、計画値を上回った利益の一部を翌事業年度に繰り越すという不適切な会計処理が行われていたことが確認されました。
 具体的には、当社は契約案件ごとにWBSという管理番号を付与し、いわゆる工事進行基準(「収益認識に関する会計基準」における、一定の期間にわたり充足する履行義務に係る収益認識と概ね同義である。)を採用しております。しかし、今回発見された不適切会計では、予定していた金額よりも少ない発生原価で完了した案件において、作業完了時点で売上未計上であった金額について、本来、売上処理を行うべきところ、新たな枝番を発番したうえでその金額を翌事業年度に繰り越し、あたかも業務が進行中であるかのように見せかけ、売上および利益の先送りを行っていたというものです。
 この調査結果を受けて、当社は、影響を受ける過年度の決算を訂正するとともに、2019年3月期から2022年3月期の有価証券報告書および2021年3月期第1四半期から2023年3月期第2四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。

 
(2) 今回の事案の発生原因

① 不適切会計を行う動機

 当社では2016年8月、衛星事業部において原価を付け替えて資産計上する等の方法により利益を水増しする不適切会計が発覚いたしました。この背景には、事業部の実態に即さない形で策定された翌事業年度の目標計画数値の達成を強いるプレッシャーが当時の経営陣からありました。
 これを受けて、2018年3月期以降、翌事業年度の受注、売上、利益の目標数値は、各事業部が積み上げた数字を基に、本社管理部門で精査を行い、事業部と協議のうえで決定することといたしました。
 しかし、経営陣の了承のもと、申告に上乗せされた事業計画が本社管理部門から指示されていたことおよび、別途の指示として期初の閑散期に労務費を計上するための案件の受注促進が求められていたことから、方針変更の意図が正しく伝わらず、また、経営陣が事業部の状況を十分に理解していなかったため浸透が徹底されないまま、各事業部が従前と同じような考え方で運営にあたっておりました。
 さらに、各事業部では、比較的受注が少ない第1四半期において、受注案件に直接紐づかない間接労務費の発生が多くなると、本社管理部門から事業部運営の効率性が問われ、自部署の人員削減や部署縮小に繋げられるという警戒心が存在したため、事業年度末までに完了した案件を翌事業年度に繰り越そうとするという要因もありました。

 

② 各事業部において不正を行うことができた機会

 契約案件ごとに付与された管理番号(WBS)上は、予定していた金額よりも少ない発生原価で完了した案件について、本来は作業完了時点で売上未計上であった金額に対して売上処理を行うべきであるところ、新たな枝番を発番したうえで、その金額を翌事業年度に繰り越し、あたかも業務が進行中であるかのようにシステム上で見せかけることが当該案件に係る技術者であれば、上長の承認を得ることなく可能になっておりました。
 当社では、3月納期の案件が多く、一部の契約案件においては納品後に成果品の差し替えや顧客の追加要望が発生する等、契約納期を越えて作業が発生する案件が少なからずあります。各事業部では、そのような案件については、正しい処理として、契約納期を越えた後も完了とせず、翌事業年度に繰り越しております。
 本社管理部門では、これまでの不適切会計を教訓に適切な原価計上および実行予算の適宜見直しを繰り返し各事業部に通達しており、適切な会計処理が行われているものと考えておりました。
 また、2017年3月期から2019年3月期頃にかけて、当社は収益性が悪かった背景もあり、利益の前倒し計上による不適切会計への懸念が高かったため、原価率に特異値が見られる案件のモニタリング、各事業部における工程会議の強化等、その対策に注力してまいりました。一方で、繰り越しを承認するための正式な手続が整備されていなかったこと等から、各事業部の一部案件では、契約納期を越えて作業が発生しない案件を繰り越すこと等が行われておりました。

 

③ 事業部側の不正の正当化理由

 当社では、2016年8月に発覚した衛星事業部の不適切会計事案以前の2012年度頃から2016年度にかけて、本社管理部門から各事業部に対して、利益目標数値の平準化や目標達成に向けた売上の促進が過度に要求されておりました。一方で、当社は主力業務が官公庁からの受注に依存しているため、比較的受注の少ない第1四半期には売上に貢献するための業務自体が少なく、本社管理部門の要求が依然として続いていると考えている各事業部にとっては、利益目標数値の平準化や目標達成に向けた売上の促進が難しい課題となっておりました。
 このため、各事業部で行われた今回の不適切な会計処理は、「(1) 今回発生した事案を発見に至った経緯と委員会の立ち上げ」で示した手法によって、事業年度末までに完了した業務の利益の一部を翌事業年度に繰り越し、第1四半期の売上の確保、翌事業年度の利益の確保を行っていた事例が確認されました。また、東日本事業部等の部署では、上長が不適切な繰り越しを指示していた事例も確認されました。
 各事業部では、利益目標数値を実績数値が大きく上回った場合、翌事業年度の利益目標数値は目標達成が困難な数値を要求されることを恐れ、利益目標数値は達成するものの大きく達成することは避けたいという心理が存在いたしました。このことも、実際の利益を過少申告し、翌事業年度に繰り越すというコンプライアンス意識の低下を招いたものと考えております。
 また、長年同一部署で勤務し固定化した上司と部下の関係が長く続くことで、コンプライアンス意識が薄まる環境が醸成されていたことも判明いたしました。

 
(3) 開示すべき重要な不備

 当社では2016年8月、衛星事業部において原価を付け替え、資産計上する等の方法により利益を水増しする不適切会計が発覚いたしました。この背景には、事業部の実態に即さない形で策定された翌事業年度の目標計画数値の達成を強いるプレッシャーが当時の経営陣からありました。
 これを受けて、2017年度以降、翌事業年度の受注、売上、利益の目標数値は、各事業部が積み上げた数字を基に、本社管理部門で精査を行い事業部と協議のうえで決定することとしました。また、不当な利益計上に対する対策および監視に注視し、内部通報制度の運用見直し、社員コンプライアンス教育の拡充等、対策を講じてまいりました。
 しかし、経営陣の了承のもと、申告に上乗せされた事業計画が本社管理部門から各事業部に指示されていたこと、および別途の指示として期初の閑散期に労務費を計上するための案件の受注促進が求められていたことから、方針変更の意図が正しく伝わらず、また、経営陣が事業部の状況を十分に理解していなかったため浸透が徹底されないまま、各事業部が従前と同じような考え方で運営にあたっていたため、これらの対策がうまく機能しておりませんでした。
 今回の事案は、内部統制の評価範囲の中から生じたものであり、財務報告に重要な影響を及ぼすもののため、開示すべき重要な不備と認識いたしました。
 当事業年度末日までに改善のための十分な期間を確保することができなかったこと、設置した特別調査委員会の調査報告書の受領が2023年4月7日となったことから、当該開示すべき重要な不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。
 なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する財務数値上の修正は、全て財務諸表および連結財務諸表に反映しております。当社は財務報告に係る内部統制の整備および運用の重要性を認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、後述の再発防止策を講じてまいります。

 

① 全社的な内部統制上の不備

 経営陣は、過去に発生した不適切会計は、衛星事業部など公共部門以外の事業部で起きた出来事との認識があり、また、過去の利益低迷期には利益の前倒し計上による不適切会計の懸念が強かったことから、公共部門ではこのような利益の先送りによる不適切な会計処理は起こらないと考えておりました。このため、全社的な内部統制において、経営陣の不正の撲滅、新たな不適切会計の発生を防ぐことや早期発見への意識の欠如(統制環境)、不正に関するリスクを検討する際に不適切な案件の繰り越しに関する検討の不足(リスクの評価と対応)、本社管理部門から各事業部に対して発信したメッセージの意図が正しく伝わらなかったこと(情報と伝達)等、これらに関する内部統制の整備状況および運用状況が有効ではありませんでした。

 

② 案件の予算管理および売上計上に係る業務プロセスにおける不備

 これまで内部統制の評価手続を行う中で、案件の予算管理プロセスにおいては、作業実態に見合わない予算が登録されていないか、また、売上計上プロセスにおいては、売上完了計画日から遅延していないか、モニタリングを行っておりました。
 しかし、上述のとおり、利益の繰り越しの処理を利用した不正が行われるリスクを過少に評価していたため、繰り越しの是非、承認方法、繰越し金額やそれに伴う証跡に関する基準等のルールが定められておりませんでした。結果、評価範囲は妥当であったと考えられるものの、今回の事案については、内部統制が一部適切に整備および運用されておりませんでした。

 
(4)再発防止策

 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、今回の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会からの提言を踏まえ、以下の再発防止策を講じて適正な内部統制の整備・運用を図ってまいります。

① 経営陣の意識改革

イ 社長メッセージの発信

 社長から今回の不祥事について、会社としての危機感を率直に表明し、事業部との意識乖離解消に向けた第一歩といたします。
 2023年7月中に、社長が全事業部を訪問し、直接再発防止策への取り組みを説明するとともに、企業風土に関するディスカッションの実施を予定しております。ディスカッションでは、事業部の管理職および非管理職の代表者、本社の企業風土刷新本部および事業統括本部の代表者が一堂に会し、企業風土の定義とその捉え方について共通認識を図り、当社の企業風土の特徴、具体的に踏襲すべき良いところ、刷新すべきところについて意見交換を行う予定です。

 

ロ 取締役に対するリスクマネジメントおよび組織マネジメント研修実施

 経営陣が率先して、市場環境の変化や新規事業の開拓に潜在するリスクについて的確に把握し、事業部の実情に即した政策を立案・遂行するとともに、高い水準のコンプライアンス意識を全社的に実現できるよう、リスクマネジメントの高度化、組織マネジメント、業務執行の監督などに係る取締役研修を法務部主管で社外の専門家を招き、少なくとも年1回(原則、当社定時株主総会で取締役選任後の7月に)実施いたします。
 現在、コンサルティングファームや役員研修実績のある教育機関に研修実施を依頼すべく、具体的な研修内容や効果的な実施方法について協議検討(講師依頼先の選定も含む)に着手しております。

 

ハ 事業部の組織マネジメントおよび業務執行を支援する本社組織の設置

 社長の直下に、「企業風土刷新本部」(「4 付記事項-(1)-②事業部の組織マネジメントおよび業務執行を支援する本社組織の設置」をご参照ください)を常設組織として2023年6月1日付で設置いたします。当本部は、経営理念に掲げる「正しさを追求し、空間情報事業を通じて安心で豊かな社会システムの構築に貢献する最高レベルの空間情報を提供する」ことに邁進する企業風土を醸成する組織として運営にあたります。
 また当本部は、従業員が不安や不満を抱くことなく、最高のパフォーマンスを発揮できる環境が実現できるよう、事業部の課題や現状を正しく経営層に上申いたします。さらに、経営層・本社の方針をわかりやすく全社に浸透させ、風通しの良い自由闊達な企業風土への刷新を牽引することを心がけます。

 

② 経営陣の意識が伝わるメッセージの発信

イ 事業計画の在り方と計画策定プロセスの見直し

 「企業風土刷新本部」が中心となり、事業部長や事業部幹部社員の参画により、2023年9月までに事業計画策定プロセスの見直しに取り組みます。
 ・ 事業計画のあり方と策定意義に関する認識の共有
 ・ 計画策定手法の検討
 ・ 事業部意見と全社で目指す水準のすり合わせ

 

ロ 会社施策に対する現場意見聴取のチャンネル設置

 2023年6月1日付で設置予定の「企業風土刷新本部」を、本社と事業部の意思疎通を図るための橋渡し役と位置づけ、ただちに各種施策を推進してまいります。
 従業員の声を聴くためには、従業員の心理的安全性の回復・向上に努める必要があり、職場内の会議等の場において環境づくりを行います。
 スタートにあたって、まず7月に全事業部を対象に企業風土に関する意見交換会を開催し、新たに就任した社長が事業部の幅広い立場の役職員に対して、会社の基本的考え方、企業風土刷新に向けたメッセージを伝える場といたします。
 また、幹部社員(管理職者)に対して、本年度の階層別研修で予定している組織マネジメント教育を通じて、従業員のモチベーション向上に繋がる発言・行動を促します。

 

ハ 2023年度階層別研修における不適切会計事案の学習と危機感の共有

 階層別研修において、今回の不祥事を事例とする討議を実施し、社外ステークホルダーに対する会社の責任を正しく理解する場といたします。社内の知見を有する者が進行役を兼ねた講師となり、研修の場には取締役も参画し、事業運営に対する社員の率直な意見に耳を傾け、経営陣と社員の相互理解を高め意思疎通を図ってまいります。

 

③ 現場発案による再発防止策の検討

 過去事案での対策は、「コンプライアンス担当役員」や内部統制主管部署といった本社管理部門主導で検討し、現場に行わせた(上から下への)再発防止の指示という側面がありました。今回の再発防止策の検討・実施にあたっては、現実性・実効性の観点で事業部の実情に適合したものといたします。具体的には、プロセスやルールについて検討する場合、そのメンバーに事業部の役職員を参画させる、または、本社が中心となって作成した素案に対して、事業部の役職員に意見照会を行い、本社組織と事業部役職員が一体となって再発防止策を策定いたします。
 なお、具体的には個別防止策に盛り込むものとし、スケジュールは個別防止策に準ずるものといたします。

 

④ 繰り越しのルールの明確化およびチェック体制の強化

イ 売上/繰越しの判断基準の明確化

 案件の売上/繰越し(契約工期を超えて売上を残すこと)に対する判断基準および可否を判断するための証跡の要件について、事業部でマネジメントを実行している技術系管理職からの意見も取り入れ、2023年度第1四半期末より適用できるよう検討いたします。
 当社では、請負契約・商品販売契約・月額商品契約の三種類それぞれ特性の異なる契約が存在します。検討にあたっては、これら異なる契約形態を網羅いたします。判断基準は、外形的・客観的な基準だけではなく、納品後に成果品の補修が予測される等、定性的に判断せざるを得ないケースも想定されることから、具体的な事例を提示し、的確かつ明解な内容といたします。
 決定した内容は、『プロジェクト総合監理マニュアル』に明文化するとともに、説明会を通じて全従業員への周知を図ってまいります。

 

ロ 繰越し時の処理プロセスの明確化

 繰越し時の確認・承認等の一連の処理プロセスについて、事業部で実際にマネジメントを実行している技術系管理職からの意見も取り入れ、2023年度第1四半期末より適用できるよう検討いたします。
 検討にあたっては、請負契約・商品販売契約・月額商品契約の三種類それぞれ特性の異なる契約内容を網羅するとともに、納期かつ四半期を超えて作業を継続する場合の承認行為のあり方(承認の手段や単位)について、実行性と実効性を踏まえた的確な内容といたします。
 決定した内容は、『プロジェクト総合監理マニュアル』に明文化するとともに、説明会を通じて全従業員への周知を図ってまいります。

 

ハ 繰越しの妥当性をチェックする体制の整備

 体制整備に際し、まず、業務遂行において想定される会計的なリスクについて改めて評価し、リスクの網羅性を担保いたします。その上で、繰り越しの妥当性チェックを含むチェック体制について、ディフェンスライン(第1:事業部の生産部署、第2:事業統括本部 事業管理部、第3:業務監査部)ごとに、実施要領を明確化いたします。
 検討にあたっては、事業部でマネジメントを実行している技術系管理職からの意見も取り入れ、2023年度第1四半期末より適用できるよう、各ディフェンスラインにおけるチェックの主旨・実施者・時期・内容・方法について、実行性と実効性を踏まえた的確なものといたします。
 決定した内容は、『プロジェクト総合監理マニュアル』に明文化するとともに、説明会を通じて全従業員への周知を図ってまいります。
 なお、チェック体制の強化として、事業統括本部(第2ディフェンスライン)では2023年6月1日付けで事業管理部に、事業部における請負業務のプロジェクトマネージャとしての経験と知見を有する2名を増員いたします。業務監査部(第3ディフェンスライン)においても、管理技術者として生産プロセスに実際に関わった現場経験・知見を有する人材を増員するべく、人材の確保に努めてまいります。

 

⑤ 全ての役職員に意識や危機感を共有する研修の実施

イ CSR・コンプライアンス研修の新設

 企業経営におけるコーポレート・ガバナンス、ビジネスコンプライアンス、リスクマネジメントに係る研修を実施いたします。知識習得のためだけの教育ではなく、各役職員が現場で向き合っているオペレーションレベルの事象を事例とする実践的なものとするとともに、組織における心理的安全性を図るきっかけとなるように、研修の計画立案から実施まで現場の中心メンバーを参画させ、実施効果の高い研修内容の策定を図ってまいります。

 

ロ グローバルコンプライアンス教育の見直し・実効性向上

 毎年、主としてe-learningの形で実施しているグローバルコンプライアンス教育の内容を見直し、他社事例を含む一般的な不適切会計の内容とその影響および、自社で発生したこれまでの不適切会計の事例を題材とし、内容の充実を図ってまいります。
 また、少なくとも年2回、全役職員向けにコンプライアンスの重要性と日常業務で留意すべき点について、代表取締役又はコンプライアンス統括責任者のメッセージを添えて情報を発信し、社内の啓発、役職員の意識改革に努めてまいります。

 

⑥ 人事異動の促進(人事の固定化の解消)

イ 人事異動の促進

 特定の社員に知見が集中し、社員が滞留することの弊害を除去するために、一層の計画的な人事ローテーションを推進するべく、一定のガイドラインを設け人事異動の促進に向けた実行プランを策定いたします。
 策定にあたっては、人事制度、組織編成方針、組織編成プロセス並びに人員配置方法の現状把握と問題点について、現場に対するヒアリングを含めて課題抽出・整理した上で、キャリアパス方針、組織編成ルール、人事異動要件、人事ローテーション方針等のガイドラインを検討いたします(2023年9月までを予定)。
 ガイドラインは、各種会議(事業部長会議、事業部会議、労働組合労使懇談会等)の他、社内ポータルサイトに掲出して説明・周知いたします。
 なお、本ガイドラインは、次年度(2024年度)の組織編成において適用いたします。

 

ロ 人事評価制度のさらなる改善

 職場で役職員がコンプライアンス意識をもって躊躇なく正しい行動をとれるよう、評価方法を含む人事評価制度のさらなる改善向上を推進するため、人事コンサルタントの支援を受けながら、人事制度の抜本改訂を実施いたします(2025年4月改訂を予定)。
 また、人事評価制度が確実に理解・共有されるよう、「評価者研修」で周知徹底を図ってまいります。

 

⑦ その他の再発防止策

イ 実行予算の見直し(モニタリングの強化)

 実行予算策定プロセス全体を2023年9月末までに見直し、2023年10月より新ルールによる運用を開始するとともに、運用状況のモニタリングを実施いたします。
 具体的には、プロセス全体を効率化や簡略化の観点で見直しを行い、その際、請負や販売など案件の種類や受注規模ごとに予算見直し周期やフェーズの分割ルールなども細かく明文化し、これを新ルールとしてドキュメントにまとめます。また、運用状況のモニタリングについても、適時・的確に状況の把握が可能となるモニタリング方法を新たに定めたうえで、モニタリングを開始いたします。

 

ロ 稟議等にかかるルールの見直し

 稟議等のルールや事務処理の煩雑さゆえに、これを回避しようとすることが不適切な会計処理の背景にあることが認められることから、不正を防止するための対策として、事務量の軽減・簡略化を目的とした稟議等に係るルールを見直しいたします。
 見直しにあたっては、現行ルールの目的、過去の稟議申請の内容/金額区分、見直した場合の効果・影響等を含めて検討するとともに、役職員からの意見を取り入れ、新たなルールを2023年8月末までに段階的に定め、順次運用いたします。

 

ハ 決算期についての検討

 決算時期は、不適切な繰越しの直接的な原因ではないものの、十分なチェックを行う時間を確保することを目的として、業務繁忙期と異なる決算期への変更の要否について検討いたします。
 なお当社は、親会社であるセコム株式会社の重要な連結対象子会社であることから、原則、決算期の統一(3月決算)を求められます。決算期を変更する場合は、当社の決算日とセコム株式会社の連結決算日(3月)が異なることになるため、(ⅰ)当社側の取引をセコム株式会社の連結決算日現在の残高に合致させる調整を行う、 (ⅱ)当社がセコム株式会社の連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により仮決算を行うことが必要になります。
 また、当社と当社子会社との関係においても、上記(ⅰ)または(ⅱ)と同様の手続、または (ⅲ)当社子会社の決算日を変更することが必要となります。
 このように、決算期変更は当社、親会社のセコム株式会社および当社子会社に与える影響が大きいため、決算期変更を実施するか否かは慎重に検討する必要があり、結論を出すのは2024年3月の期末決算終了後を予定しております。

 

ニ ガバナンスを含むチェック機能の見直し

a 新設する本社組織の内部統制体制への組み込み

 ①-ハで新設する本社組織「企業風土刷新本部」を当社の内部統制体制の重要な組織として位置づけます。社長直下の組織として経営陣、事業部門および他本社組織と緊密に連携し、当社の経営改革および風土改革を推進するとともに、「(4)再発防止策」の社内導入・実施状況の進捗管理を行います。

 

b 全社統制総合事務局を法務部に設置

 法務部に全社統制総合事務局を設置し、当社のリスクマネジメントおよび内部統制活動全般についての計画取りまとめ・実施状況のモニタリングを行います。重要事項については、すみやかに代表取締役社長、コンプライアンス統括責任者およびコンプライアンス経営実行委員会に報告し、適時に必要な指示・承認を得る体制を明確化いたします。

c 内部統制・リスクマネジメントの本社主管部署の明確化

 リスクマネジメントおよび内部統制活動ごとに、本社の主管部署を再定義し、専門的な見地からこれらの計画立案および活動の実効性を高める取り組みを、上記ロの全社統制総合事務局設置後に着手いたします。2023年8月末までに具体的な体制と2024年3月期の活動計画を取りまとめます。

 

d 内部通報(パスコほっとヘルプライン)・社員相談窓口(GEOPost)事務局体制の強化

 今回の不祥事を通じ、明らかになった内部通報情報の報告・対応遅延に対処するため、従来、1名だった事務局体制を2023年6月1日付けで3名体制へと強化いたします。
 また、役職員に対し、法令違反・社内規程違反その他不正等を検知した場合でかつ通常の業務上の報告ルートでの報告に支障を感じた場合の内部通報窓口(パスコほっとヘルプライン)および社員相談窓口(GEOPost)の積極活用の周知を年2回実施いたします。
 加えて、人事面談・自己申告や代表電話への入電など、内部通報窓口(パスコほっとヘルプライン)および社員相談窓口(GEOPost)以外での、内部通報に相当すると思われる事案について法務部に連絡するよう関係部署に周知し、週次での代表取締役社長への内部通報状況の報告会議において、代表取締役社長、コンプライアンス統括責任者、法務部長が協議のうえ、当該事案の内部通報への該否を判定するようにいたします。なお、上記の当該関係部署への周知を2023年6月中に実施し、上記報告会議での該否判定手順の内部通報窓口・社員相談窓口事務局の運用マニュアルへの反映を、2023年7月中に実施いたします。
付記事項

 「3 評価結果に関する事項」に記載した、案件の予算管理および売上計上に係る業務プロセスおよび全社的な内部統制上の開示すべき重要な不備を是正するために、当事業年度の末日から内部統制報告書の提出日までに、以下の措置を実施いたしました。
 
(1) 再発防止策「① 経営陣の意識改革」の一環として実施した事項

① 社長メッセージの配信(再発防止策 ①イ)

・2023年4月5日の「期初社長あいさつ」において、利益の先送りによる不適切な会計処理が行われ、再度不適切な会計処理が発生してしまったことを説明いたしました。会社の将来への不安を抱かせたことへの謝罪とともに、事業部および事業活動を行っている役職員の意見を充分取り入れ、調査報告書で指摘を受けた本社と事業部の認識の乖離を防ぎつつ、健全な企業体質の再構築に向けて取り組んで行くことを全役職員に向けて意思表明いたしました。

・2023年6月5日の「2023年度上半期キックオフミーティング」において、今回の不適切な会計処理について、特別調査委員会の報告および改善内容の概要を全役職員に向け説明いたしました。

 

② 事業部の組織マネジメントおよび業務執行を支援する本社組織の設置(再発防止策 ①ハ)

・社長の直下に常設の「企業風土刷新本部」を2023年6月1日付で設置いたしました。当本部は、経営理念に掲げる「正しさを追求し、空間情報事業を通じて安心で豊かな社会システムの構築に貢献する最高レベルの空間情報を提供する」ことに邁進する企業風土を醸成する組織として運営にあたります。

 
(2) 再発防止策「② 経営陣の意識が伝わるメッセージの発信」の一環として実施した事項

① 事業計画の在り方と計画策定プロセスの見直し(再発防止策 ②イ)

・5月から全(11事業部)事業部長が参画し、事業計画のあり方について、現在の策定プロセスにおける課題・問題点とどのように改善すべきかを本社と事業部/事業部間、事業部内の観点で、市場動向と生産体制の整合性や計画内容のみならず策定時期を含めた見直し等の要点を整理いたしました。引き続き、事業計画策定プロセスの見直しについて、受注産業としての不確定要因の取り扱いや事業計画について捉え方(保守的か挑戦的か)等、本社・事業部の見解の相違を擦り合わせるための手順について検討を進めております。

 

② 再発防止策「③ 現場発案による再発防止策の検討」の一環として実施した事項

・各事業部を対象に実施(2023年4月17日~27日)した「労務費適正計上のための事業部ミーティング」において、管理会計全般に関する質問や課題をフリーディスカッション形式で広く確認いたしました。具体的には、勤怠登録のルールや登録システムに対する要望、繰り越しの判断に関する質問、管理会計に係る労務負担軽減の要望等がありました。この内容は、関連する各再発防止策の主管に共有し、再発防止策の検討や展開・実施の際の前提・参考情報として活用いたします。

 
(3) 再発防止策「④ 繰越しのルール明確化およびチェック体制の強化」の一環として実施した事項

① 売上/繰越しの判断基準の明確化(再発防止策 ④イ)

② 繰越し時の処理プロセスの明確化(再発防止策 ④ロ)

・前期末に暫定的に設定した基準をベースとしつつ、不十分であった事項を踏まえ、売上/繰越しの基準および、繰り越し時における承認プロセスを事業部でマネジメントを実行している技術系管理職の「承認プロセスが煩雑である」「具体的な例示を示すべき」といった意見を取り入れ、例示を含めた繰り越し・証跡の定義、を明確化いたしました。また、案件の承認手続きの作業負担回避を意図して申請せずに不適切に繰越したり、多数の承認申請が錯綜することで承認手続きの遺漏が無いようにするため、承認プロセスに複数案件の一括承認を取り入れる等、策定いたしました。

 

③ 繰越しの妥当性をチェックする体制の整備(再発防止策 ④ハ)

・繰り越しの妥当性チェックを含むチェック体制について、これまで散在もしくは明文化されていなかった各業務プロセスにおけるチェックの趣旨・項目等の実施内容をディフェンスラインごとに明確化いたしました。第1ディフェンスライン(事業部の生産部署)に対しては、今回の繰り越しに関する基準の改定に合わせ、規定の明文化とともに説明会を開催し、周知徹底を図ることとしており、その後、業務の実態に則した実行予算設定や業務進捗状況把握等のモニタリングを強化する予定でおります。また、営業・生産統制主管として再発防止策の早期検討・実施を図ることおよび、第2ディフェンスライン(事業統括本部 事業管理部)におけるチェック体制を強化するため、2023年6月1日付けで、事業管理部に事業部での経験と知見を有する2名(公共系測量計測部門での31年間の経験を有する部長級技術者と、同30年間の経験を有する課長級技術者)を増員いたしました。第3ディフェンスライン(業務監査部)の体制整備としては、2023年12月までに中途採用および社内異動による増員を予定しております。

 
(4) 再発防止策「⑥ 人事異動の促進(人事の固定化の解消)」の一環として実施した事項

① 人事異動の促進(再発防止策 ⑥イ)

・作業の手順や作業ツールの違いといった属人的な業務プロセスの是正や、具申しにくい雰囲気といった過度の人的結束や組織の同質化の是正の観点から、事業統括担当役員が人事情報を参照することで上級管理職の長期滞留(概ね3~4年超)状況を確認し、技術センター長(4名)および、航空写真測量系技術部長(4名)の長期滞留者を対象に、2023年6月1日付けで人事異動を実施いたしました。

 
(5) 再発防止策「⑦ その他の再発防止策」の一環として実施した事項

① 実行予算の見直し(モニタリングの強化)(再発防止策 ⑦イ)

・実行予算策定プロセス全体の適正性を確保しつつ、効率化や簡略化の観点で最適化すべく、プロセス、ルール、情報システム、教育研修について見直しを進めております。

 

② 稟議等にかかるルールの見直し(再発防止策 ⑦ロ)

・生産に関する事項(追加原価の発生)について、稟議発議手続きの作業負担回避を意図して、売り上げるべき案件を不適切に繰り越す動機とならないよう、追加原価見込額が一定額未満の場合は稟議不要とし、基準金額の緩和を実施いたしました。引き続き、その他の生産に関する事項についても、現行稟議の目的・過去の申請内容/金額区分、見直した場合の効果・影響等を含めて見直しを継続しております。

 

③ ガバナンスを含むチェック機能の見直し(再発防止策 ⑦ニ)

・今回の不祥事を通じて明らかになった内部通報情報の報告・対応遅延に対処するため、従来は法務部長1名で対応していた内部通報(パスコほっとヘルプライン)・社員通報窓口(GEOPost)の事務局体制を2023年6月1日付けで法務部長、副部長、法務課長の3名に強化いたしました。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 有限責任あずさ監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1371
企業名 株式会社ベクターホールディングス 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。従って、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

 当社は、2023年2月9日付け、前監査法人である有限責任監査法人トーマツから、金融商品取引法第193条の3第1項に規定する、当社の財務計算に関する書類の適正性の確保に影響を及ぼすおそれのある法令違反等事実を発見したとの通知を受領しました。同年2月16日開催の取締役会において、独立した外部の有識者で構成される特別調査委員会を設置することといたしました。そのため、同日付けで、当社と利害関係を有しない外部の専門家で構成される特別調査委員会を設置し、同年5月16日に特別調査委員会の調査報告書を受領しております。当該調査報告書においては、以下のガバナンスの不備が報告されました。
 

① 管理本部長が実質的には不在の状態であり、内部監査室長を兼任している。

② 法務部門は設置されておらず、契約書の確認等を内部監査部担当者に委ねてしまっている。

③ 取締役会における決議の根拠となる資料が、役員に前日に配布されているため、上程議案の内容を十分に検討できない。

④ 会計監査人の監査対応において、取引の内容や同判断に至った経緯を正確に説明することができていなかったこと及び監査証憑が未整備な状況があった。

⑤ 適時開示書面等の対外的に公表される重要情報の事前の正確性のチェックが不十分であった。

 
 当社は、上記のようなガバナンス体制と全社的な内部統制が、重要な不備に該当すると判断いたしました。
 当事業年度の末日までに是正できなかった理由は、特別調査委員会の設置から当事業年度の末日までに、再発防止策の整備及び運用の期間が十分確保できていないと判断したためであります。
 上記のような特別調査委員会の指摘・提言を踏まえ再発防止に向けて、当社として、以下の改善策を実施してまいります。
 
 (1)内部統制部門及び内部監査体制の強化

 内部統制システムを実質的に機能させるために、経験のある人員を、管理本部長の役割を担う担当者に選任し、職務を適切に分掌し、内部統制部門の強化を図ります。また、内部監査の担当者については、専任の担当者が内部監査を行う体制とし、さらなる内部監査体制の強化を図ります。

 
 (2)法務部門の設置と契約書等の重要書類の確認

 法務部門の担当者としての法務の知見のある者を採用、選任をし、法務部門の専任の担当者による、契約書等の重要書類の確認作業の徹底を図ります。

 
 (3)ガバナンス体制の抜本的な改善・再構築

 社内規程にある職務分掌規程における起案者、承認者、決裁者が特定の人物のみで行われることがないよう、起案者は承認、決裁に加わることができないといった相互牽制の仕組みを入れることで、ガバナンスを高めてまいります。また、取締役会事項、株主総会事項や監査対応の業務については、職務分掌規程上の定めである管理部の分掌であることを明確にし、運用するよう改善します。
 また、取締役会関連資料の提供の早期化を図り、社外役員等が上程議案の内容を十分に検討できるように改善を図ります。

 
 (4)監査対応体制の改善

 今後の会計監査人に対する監査対応において、管理業務に精通した責任者を監査対応の担当者とするようにします。また、取引の内容や同判断に至った経緯を、取締役会やその他会議体の議事録の中に記載するように改善するとともに、各規程に準じた経理証憑の整備を徹底するように改善します。

 
 (5)開示体制の見直し

 上場会社として適時開示を適正に行うために、適時開示を担当する部門に関する人的体制を拡充し、複数の役職員の関与のもと、適時開示の時期及び内容をチェックできる体制を構築してまいります。
付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 柴田公認会計士事務所/大瀧公認会計士事務所 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1372
企業名 昭和ホールディングス株式会社 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。
  

 当社グループの重要な持分法適用関連会社であるGroup Lease PCL.(以下「GL」という。)において、当連結会計年度に、有価証券報告書経理の状況追加情報に関する注記(持分法適用関連会社Group Lease Holdings PTE.LTD.が保有するタイSEC指摘GLH融資取引に関する悪影響について)に記載の事象が発生しております。
 GLは、その子会社Group Lease Holdings PTE.LTD.(以下「GLH」という。)を通じ、中小企業及び戦略的ビジネスパートナーへの貸付(以下「GLH融資取引」という。)を行っております。GLは、キプロス及びシンガポールの借主に対するGLH融資取引について、2017年10月16日及び同月19日に、タイ証券取引委員会(以下「タイSEC」という。)からGL元役員の不正行為や利息収入の過大計上、関連する決算の訂正などの指摘を受けました。また、タイSECは、タイ法務省特別捜査局(以下「タイDSI」という。)に対し調査を進めるよう、申し立てを行い、現在、タイDSIによる調査が行われております。
 当社グループでは、タイSECの指摘の事実関係等について調査をするため、当社の連結子会社である株式会社ウェッジホールディングスにおいて第三者委員会を設置しGLH融資取引を調査しました。また、GLでは、新たに、キプロス及びシンガポール借主へのGLH融資取引に対して独立した監査法人による特別監査を実施しておりますが、現時点においてもタイSECの指摘の根拠を特定することはできておりません。
 当社では、第三者委員会の調査結果等も踏まえ、今後、タイ捜査当局による捜査並びに指導により会計的な影響の及ぶ可能性等を考慮し、2018年3月期決算において、タイSEC指摘のGLH融資取引に関連する貸付金債権全額(営業貸付金及び未収利息)に対して保守的な観点から貸倒引当金を設定し、営業貸付金元本相当については特別損失に貸倒引当金繰入額を計上し、未収利息相当については、売上高から減額する処理を行い、それ以降の売上高計上は取り止めております。
 また、2018年7月31日に、GLではタイSECの決算訂正命令に対応して比較情報としての2016年12月末決算を含む2017年12月末決算を訂正しました。当該GLの過年度決算の訂正は、タイSECの決算訂正命令に対応したものですが、訂正原因となる誤謬が特定されていないこと等を考慮し、当社としましては、GLの訂正処理は当社の決算処理には反映させず、従前の会計処理を踏襲することといたしました。
 これらの会計処理及び開示に関して、連結財務諸表に対する会計監査人の監査意見は、限定付適正意見となりました。
 上記のとおり、当社の財務報告に係る内部統制は、過去の決算の訂正を含むタイSECの指摘に対して、問題となっているGLHの特定の融資取引に対するタイSECの指摘の根拠を特定することができていない状況となっており、連結財務諸表に対する会計監査人の監査意見では当該事象は監査範囲の制約としての限定事項となりました。
 このため、GLHの特定の融資取引に関連して、親会社としての海外持分法適用関連会社管理・情報収集管理体制や決算財務プロセスには不備があると評価せざるを得ない状態となっております。これは、開示すべき重要な不備に該当すると判断致しました。
 当社グループではタイSEC指摘のGLH融資取引の問題に対しては、GL役員の見直し等を含む管理体制の強化等を図り、各種の調査も実施しておりますものの、タイ捜査当局の調査手続中でありその情報源を入手することが困難な状況であることもあり、タイSECの指摘の根拠を特定するに至っておらず、当事業年度の末日までに不備の是正を図ることができておりません。
 当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、上記の不備につきましては、適切な是正に向け継続して必要な調査等により情報収集に努め、より適切な内部統制を整備し運用する方針であります。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 監査法人アリア 監査意見

財務諸表監査:限定付適正
内部統制監査:限定付適正

備考
1373~1377
企業名 三協フロンテア株式会社 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 当社グループは、2007年3月期より、レンタル資産の一部の少額な資産について、レンタル資産として計上を行い7年間で定額均等償却する費用処理方法を採用しておりましたが、パネル等を除売却する取引において、除売却原価を計上せずに減価償却を通じて費用化する会計処理は誤りであり、レンタル資産として計上を行う時点で一時の費用として計上する方法を過去に遡って採用することが適切であると判断いたしました。
 上記の原因は、採用した会計方針や会計処理方法について経営環境の変化を勘案し定期的に見直しの有無を検討すべきところ、その実施が不十分であったことであると認識しております。これは全社的な内部統制におけるリスクの評価と対応に関する内部統制の不備であり、開示すべき重要な不備に該当するものと判断いたしました。
 また、上記事実の特定は当事業年度末日以降となったため、当該開示すべき重要な不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、重要性が乏しいものを除き全て財務諸表及び連結財務諸表に反映しているとともに、2018年3月期期末から2023年3月期第3四半期の決算についても有価証券報告書及び四半期報告書の訂正を行い訂正報告書を提出いたしました。
 当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を強く認識しており、本誤謬に関する問題点を踏まえ、全社的な内部統制におけるリスクの評価と対応を強化するために、採用している会計方針や会計処理方法と現状に差異が生じていないかの定期的な検証をしてまいります。併せて社内外の研修の受講等による決算業務担当者の知識やスキルの向上に努め、再発防止策を設定・実行し、適切な内部統制の整備・運用を図ってまいります。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

前事業年度末における不適切な会計処理に関する開示すべき重要な不備の是正
 当社は、2022年6月27日付「調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」及び同年6月30日付「財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ」に記載のとおり、当社で発生した不適切な会計処理に対し、調査委員会による再発防止策の提言等を踏まえ、以下のとおり、再発防止策を策定し、継続して運用を行ってまいりました。
1.経営陣によるコンプライアンス遵守の経営理念とコンプライアンス体制構築に向けた各種措置の導入

 コンプライアンス、制度やルール、守るべき基準を内包した考えとして「規律」を定義し、「規律を大切にする文化」を醸成する活動を推進してまいりました。全ての規程の見直しや、各種通報制度の浸透、コンプライアンス意識の醸成を図る研修を行い、全社への浸透を図っております。

2.企業としての成長と法令遵守のバランスの取れた経営方針の確立とそれに即応した業務体制の見直し

 全社的に組織を見直し体制変更を行うとともに、全社や各部門における研修等を繰り返すことで、役職員の意識変化と体制強化を進めております。

3.業務分掌、職務権限における権限と責任の範囲の厳格化

 業務内容を整理し、部門間や業務内での統制、牽制が働く体制にいたしました。特に営業仕入(当社の取扱い商品であるユニットハウスの販売およびレンタルに係る営業活動に伴って生じる協力業者からの仕入取引を指す。以下、同じ。)については、発注・検収・支払い業務を営業部門から建築部門へ変更して統制、牽制が働く体制にし、関連する業務マニュアル等を改訂し、適切な運用を行っております。

4.取引先との適正な関係構築

 定期的に営業仕入先や役職員のアンケートを実施し、取引内容の把握を行っております。また、管理部門による営業仕入先を訪問しての取引内容チェックを実施しております。

5.業務プロセスの見直しと内部監査部門を含めた管理部門によるモニタリング機能の強化

 業務プロセスを見直し、詳細な運用方法の研修を繰り返すとともに、内部監査室や管理部門によるモニタリングを強化し、徹底を図っております。なお、営業部門では販売・工事売上の業務プロセスにおける内部統制の不備の是正措置が一部未完了となりましたが、本社管理部門にて当該売上取引について根拠証憑と照合を行う補完的な統制を整備・運用することで虚偽表示が発生するリスクを低減しております。

 
 その結果、前事業年度末における不適切な会計処理に関する開示すべき重要な不備については、当事業年度において是正措置は完了しております。
 
 当社は上記の再発防止策を今後も継続することにより、ステークホルダーの皆様からの信頼回復に努めてまいります。

監査法人 EY新日本有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考

上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第53期(2021年4月1日~2022年3月31日)1374
 第52期(2020年4月1日~2021年3月31日)1375
 第51期(2019年4月1日~2020年3月31日)1376
 第50期(2018年4月1日~2019年3月31日)1377

1378
企業名 GFA株式会社 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 
 当社は、当事業年度の期末決算の中で、貸金事業の顧客への確認手続の結果、勘定残高確認状が未回収となった顧客1件について、顧客との連絡が取れなくなっている事実を認識しました。当社は即時に当該顧客の連帯保証人に連絡をとり、連帯保証人から口頭で確認状の回答をいただける旨のコメントを受け取っていたため、連帯保証人から確認状の回収が可能と判断し、当該債権を貸倒懸念債権に分類せず、一般債権のままで評価しておりました。
 監査法人からは、当該債権について決算短信の公表時点では、貸倒懸念債権に分類すべきであるという主旨の具体的な指摘はなかったものの、現時点まで連帯保証人からの確認状が受け取れていないという事実から顧みると貸倒懸念債権に分類する必要性が生じていたと認識しております。 
 当社は、2023年6月中旬頃に監査法人から具体的な指摘を受けたことから、当社の貸金プロセスでの債権管理や決算財務プロセスの情報収集作業における不備があったと認識し、開示すべき重要な不備に該当すると評価いたしました。
 当該不備が生じた原因は、当事業年度において、当該顧客及び連帯保証人の動向を察知することが非常に難解な状況であったとはいえ、顧客情報の収集は責務であることから貸付の資金回収の体制の改善の遅れが主因であると評価しており、貸金業務プロセスや決算・財務報告プロセスの改善が必要であると認識いたしました。
 当事業年度の末日までに当該内部統制の不備が是正されなかった理由は、当該重要な不備の判明が当事業年度末日後になったためです。
 当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、適正な管理体制を整えるべく対応を検討し、有効な決算・財務報告プロセスを構築してまいる所存であります。
 具体的には、貸金業の人員拡充と債権回収体制の改善をいたします。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 監査法人アリア 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1379
企業名 株式会社城南進学研究社 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 
(1)開示すべき不備の内容
 経理担当者の退職等による財務報告の作成に必要な人的リソース不足により、適切な決算財務報告に対応できる必要かつ十分な人員体制を構築できておりませんでした。その結果、社内のチェック体制が不十分であり、開示資料の提出日に変更はございませんでしたが、減損会計等、会計上の見積もりに対する補完統制が整備されておらず、決算作業及び監査スケジュールに遅延が生じたこと等、監査法人より指摘を受けております。
 
(2)当事業年度末までに是正できなかった理由
 当社グループの経理・決算業務において経理担当者退職に伴う必要十分な引継ぎ、人員の補充などが間に合わず、決算業務を十分かつ適切に遂行できる体制を構築することができなかったためであります。
 
(3)開示すべき重要な不備の是正方針
 当社グループは、決算財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、今後は以下の方針に基づく再発防止策を講じ、決算財務報告に係る内部統制の重要な不備を是正し、翌期連結会計年度においては適切な内部統制を構築し、整備運用する方針であります。
 
 ①決算財務報告プロセスの見直し及び決算早期化
 ②内部統制評価に関わる人員を含む管理部門の人員体制強化
 ③決算業務における外部専門家の積極的活用
 
 なお、監査法人より指摘を受けた必要な修正は全て連結財務諸表等に反映しており、これによる財務諸表監査に及ぼす影響はありません。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 東光監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1380
企業名 マーチャント・バンカーズ株式会社 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

付記事項

 信頼性のある財務報告の作成に必要な体制に関する認識、開示事項の作成に関する社内のチェック体制が不十分であった為、監査人から重要な指摘を受ける事態が生じました。
 これらのことから、当社グループの財務報告に係る体制は、速やかで確実な決算事務が遂行可能な体制となっておらず、決算・財務報告プロセスに係る内部統制において、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 当事業年度の末日までに当該内部統制の不備が是正されなかった理由は、当該重要な不備の判明が当事業年度末日後になったためです。
 当社グループは、全社的な内部統制の強化、徹底を行うとともに、代表取締役社長髙﨑正年に加えまして、山﨑佳奈子を取締役CFO兼財務経理部長とし、社内のチェック体制を強化し財務報告の信頼性を確保していく方針です。
 なお、上記開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、すべて有価証券報告書に反映しております。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 南青山監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1381
企業名 株式会社エイチワン 市場 東証プライム
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。
 

 
 当社は北米地域に連結子会社4社を有し、4社の財務数値を北米子会社グループとして連結した上で当社グループの連結財務諸表に取り込んでおります。2023年3月期に係る期末日直前に、北米の連結子会社を統括しているケー・ティー・エイチ・パーツインダストリーズ・インコーポレーテッド(以下、KTH社)において、決算・会計業務を統括するマネージャー及び担当職員が退職し、十分な引き継ぎが行われなかったこともあり、北米連結子会社各社及び北米子会社グループの連結財務数値の確定に時間を要し、結果、当社の定時株主総会で年次決算の報告ができず継続会を開催することとなりました。また、北米子会社グループでの財務数値の検証に係る内部統制が十分に機能しなかったため、退職給付債務の計算誤りや棚卸資産の単価計算誤り等の複数の会計処理誤りが会計監査人の監査の過程にて判明し、決算短信を訂正することとなりました。
 決算確定の遅延及び決算短信の訂正に至った要因は、当期に入り、米国での労働需給が逼迫化する中、KTH社ではベテランの経理担当者の離職により決算・会計業務に係る要員が入れ替わる一方で、新たに導入した在庫管理システムの対応等により経理業務の負荷が急増していたにも関わらず、親会社である当社は北米連結子会社のこうした状況変化や財務報告リスクの高まりに対しての適時適切な認識及び支援が十分ではなかったことにもあります。
 以上から、北米連結子会社における決算・財務報告プロセスにおいて内部統制が適切に運用されなかった不備に加え、親会社の北米連結子会社の状況変化に伴うリスクの識別と対応に不備があったと判断し、これらの不備の財務報告に与える影響の重要性を鑑み、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 なお、上記事実は当事業年度末日後に発覚したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。
 当社は、北米連結子会社の決算業務の適正化にむけて体制及びシステム環境を早急に整備運用できるよう、親会社としても状況の適時適切な把握に努め支援してまいります。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 EY新日本有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1382
企業名 株式会社オーイズミ 市場 東証プライム
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

 
 当社は2023年1月5日付けで株式会社高尾の全株式を取得し連結子会社とし、当連結会計年度より同社の損益計算書も連結しております。全社的な内部統制において、連結子会社である株式会社高尾に適切な経理・決算業務のために必要かつ十分な専門知識、経験を有した人員を配置する体制の構築ができず、また、社内の補完も十分に機能するに至りませんでした。
 これにより同社での販売手数料の計上漏れ等、複数の会計処理の誤りが生じ、決算短信の訂正を行うこととなりました。
 連結子会社である株式会社高尾の経理体制については、明文化された業務プロセスや勘定科目のチェックリスト等の整備が不十分であり、加えて長年経理業務に関与していた社員が退職し、管理者によるチェックを十分に行えず、会計処理の誤りを発見することが出来ませんでした。
 上記の事実は、連結決算業務における当該連結子会社の個別財務諸表の正確性を担保する内部統制の不備に起因するものであり、当社の全社的な内部統制、連結子会社である株式会社高尾の決算・財務報告プロセス及び同社の業務プロセスの一部に関する内部統制に、開示すべき重要な不備があると判断いたしました。当連結会計年度の末日までに当該内部統制の不備が是正されなかった理由は、当該重要な不備の判明が当連結会計年度末日後になったためであります。
 当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、適正な管理体制を整えるべく、有効な決算・財務報告プロセスを構築して参る所存であります。
 
 具体的な取り組みは以下のとおりであります。

・当該連結子会社における決算・財務報告プロセスの再構築、業務担当者及び管理者に対する当該プロセス運用を周知徹底してまいります。

 
・管理監督機能の強化

 現在、親会社より2名の出向者を常駐させ、主に業務管理遂行に当たらせておりますが、今後については月次決算業務において、親会社管理部門による監査監督の実施を通じた内部監査機能の強化を図ってまいります。

 
・経費関連計上プロセスの見直し

 勘定科目処理要綱及び会計処理業務フローの整備(月次決算における会計処理業務フロー、業務チェックリスト等の作成)、管理者によるチェック機能の強化、財務分析の強化により経費関連計上プロセスの見直しを図ってまいります。

 
・人材面の能力向上

 当該連結子会社の管理部門の人員を増強し、研修への参加などによる人材教育を図ってまいります。

 
 なお、上記開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、全て連結財務諸表に反映しております。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 監査法人 コスモス 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1383
企業名 株式会社旅工房 市場 東証グロース
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。
 

 
 2022年2月4日に当社取締役会に対し、当社リスクコンプライアンス委員会より、Go Toトラベル事業給付金の受給を申請していた取引の一部に、宿泊等の実態がないために給付金の受給対象とならない可能性を否定できない取引が存在し、当該取引がなされるに至った経緯、当該取引への当社の関与の実態その他の事実関係について精査が必要となるとの報告を受け、調査委員会(以下「本件調査委員会」といいます。)を設置して事実関係の解明に向けた調査(以下「本件調査」といいます。)を進めてまいりました。
 本件調査委員会の調査報告書(以下「本件調査報告書」といいます。)では、当社においては、利得目的のために利用されたという可能性はあっても、少なくとも、自ら旅行商品の「不適切」な催行実態に加功し又は積極的に関与したとまでは認められておりませんでした。しかしながら、本件調査報告書では、本件旅行商品は、当該取引に関与した実質的に同一又は一体とみられる3社がGo Toトラベル事業給付金によって利得を得ようとした可能性が高い「不適切」なものであると評価されました。
 これらの調査結果を踏まえ、当社は、売上高、売上原価及び受取補償金の訂正、貸倒引当金の計上等を行い、2021年3月期第3四半期以降の決算を訂正し、2021年3月期有価証券報告書及び2021年3月期第3四半期から2022年3月期第2四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。
 本件調査委員会の指摘に係る事実は、当社における法人向けの新規大口取引に対するリスク識別に関する全社的な内部統制の不備及び、給付金に関する業務プロセスの一部における各種申請、届出等の要件の確認手続きの不十分性といった不備に起因するものであると認識しております。これらの不備は当事業年度末までに、再発防止策を実行することで是正いたしました。
 しかしながら、その後外部機関より、本件調査の対象となった取引のうち売上計上に関する事実関係(資金循環の有無やその内容、当社の役員の関与又は認識等)について、より深度のある調査をすべきとの指摘がなされました。これを受けて、当社は当該事項についての事実関係の再検証が必要と判断し、検証委員会(以下「本件検証委員会」といいます。)を設置して事実関係の解明に向けた検証(以下「本件検証」といいます。)を進めてまいりました。
 本件検証委員会の検証報告書(以下「本件検証報告書」といいます。)では、調査の対象となった旅行商品の販売取引が、役務提供の相手方ではないGo Toトラベル事業給付金事務局からGo Toトラベル事業給付金の支給を受けることのみを目的とした資金循環取引であり、かつ、当該旅行商品の売上が計上された2021年3月期の第3四半期報告書及び有価証券報告書が提出された時点において、高山泰仁元代表取締役会長兼社長(以下「高山元社長」といいます。)及びCFOを含む2名の元取締役は、当社を起点とする資金循環を認識し、又はこれに関与していたと評価され、当社は、少なくとも資金循環取引による売上の過大計上という側面では、スキームのなかで唯一資金負担リスクを負って資金循環取引を行っている以上、スキーム全体でまさに中心的な役割を担って資金循環取引に加担したとの評価は免れないと評価されました。
 これらの検証結果を踏まえ、当社は、2021年3月期有価証券報告書及び2021年3月期第3四半期から2022年3月期第2四半期までの四半期報告書の訂正報告書について訂正報告書を提出いたしました。
 Go Toトラベル事業給付金の給付を目的とした資金循環取引による売上の過大計上が発生した事実や早期に是正されなかった事実は、業務執行取締役における上場会社の役員として最低限備えておくべき基礎的な会計知識や感度の不足、CFO及び管理部門の業務分掌及びその運用に関する不備、事後対応における経営陣の不誠実な開示姿勢に起因するものと認識しております。
 上記の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備が、当事業年度の末日までに是正されなかった理由は、検証委員会から検証報告書を受理した2023年2月10日から事業年度の末日までに、再発防止策を整備し運用する期間を十分確保できなかったためです。
 なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、全て財務諸表及び連結財務諸表に反映しております。
 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、本件調査委員会及び本件検証委員会の指摘・提言を踏まえ、以下の再発防止策を講じております。
 
 (1)経営責任の明確化

 本件資金循環取引に関与した取締役3名のうち、CFOを含む2名の取締役は前期(2022年3月期)に既に退任しており、高山元社長についても、検証委員会の報告を受け、取締役を辞任したい旨の申し出があり、当社はこれを受理しております。新しい代表取締役社長には、コーポレート部門出身であり、本件資金循環取引の懸念点を当時のCFOに相談するなどしていた、岩田静絵が就任いたしました。

 
 (2)指名・報酬委員会設置

 取締役の指名・報酬等に関する手続きの客観性・透明性を確保するために、任意の指名・報酬委員会を2023年3月15日の取締役会にて設置いたしました。2023年6月開催の定時株主総会では、この指名・報酬委員会の答申を得た取締役候補を提案いたしました。また、その報酬額においても、同委員会の答申を得たものとすることを念頭においております。

 
 (3)経営幹部の会計リテラシーと会計不正リスク感度の向上

 当社の会計監査人、他の監査法人、アドバイザリー会社が開催しているセミナー等の知見を獲得する機会について、コーポレート部門にて広く情報収集し、執行役員以上の経営幹部は、少なくとも半期に一度を目安にセミナー等を受講し、また、そのようなセミナー等を受講した役職員が、受講しなかった役職員に対して情報共有するための機会を設定するようにいたします。

 
 (4)CFO(コーポレート管掌取締役)の職責の限定

 当社のコーポレート管掌取締役が所管する範囲が広範囲に及ぶため、2023年6月開催の定時株主総会において新たに選任された取締役に、コーポレート企画、IR、人事を委譲し、2023年9月までに法務・コンプライアンスを所管するスキルとリテラシーのある執行役員クラスの人材を採用する予定です。営業サポートに関しては、営業部門に移設することで、コーポレート管掌取締役の直接的な所管範囲を財務、営業経理、経理に限定します。

 
 (5)監査法人との連携の強化

 現在の会計監査人とのコミュニケーションは、半期に1回の経営者ディスカッション(代表取締役、財務管掌取締役)及び営業部門取締役ヒアリング、四半期毎のCFOヒアリング(財務管掌取締役)、その他経理財務の実務担当者との会計監査の中で、主に前四半期会計監査の中で課題認識されたことや不正に対する意識などにフォーカスした議論を行っておりましたが、これらに加えて、取締役会で決議される金額の重要性が高い与信設定の取引や、過去の取引とは異質の新規の取引などの当四半期で新たに発生した議題にフォーカスしたディスカッションを四半期毎に行うようにいたします。

 
 (6)営業部門とコーポレート部門の職務分掌の運用徹底

 コーポレート部門の従業員に対して営業部門の業務を行っていないかに関するヒアリングを内部監査部門が四半期毎に行うと共に、コーポレート部門及び営業部門の従業員に対する啓蒙を行ってまいります。
付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 八重洲監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1384~1385
企業名 株式会社レイ 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 当社は、当連結会計年度の決算作業を進めるなかで、当社従業員による着服行為が行われていた疑いが判明したため、令和5年4月14日から利害関係を有しない外部の有識者から構成される第三者調査委員会を設置し、調査を開始いたしました。
 第三者調査委員会からの調査報告書により、当該従業員が仮装取引及び背任行為による売上原価の過大計上をし、会社資金の詐取を行った事実等が判明いたしました。これにより当社は、当該従業員よる不適切な行為が当社決算に与える影響額を調査しました結果、重要な影響のある過年度決算を訂正し、令和4年2月期期有価証券報告書及び令和4年2月期の第3四半期から令和5年2月期の第3四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。なお、重要な影響のない令和4年2月期の第2四半期以前の決算については訂正しておりません。
 当社は、第三者調査委員会からの本事案に関する原因分析及び再発防止策に関する提言も踏まえ、当社としての対応を行っていく所存です。本事案の原因は、当社が従来行っていたイベント等の企画・制作等とは異なる新規案件を実施するにあたり、当該案件の性質の分析を十分に行わないまま、従来のイベント等の企画・制作等に係る統制を援用したため、上位者によるモニタリング効果を損なったことに起因する業務プロセスの内部統制の不備であり、財務報告に重要な影響を及ぼすことから、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 なお、上記の開示すべき重要な不備は、当該事実の判明が当該事業年度の末日以降であったため、当該事業年度の末日までに是正することができませんでした。
 当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を十分認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、調査報告書の提言を踏まえ、以下のとおり、再発防止策を実行し、内部統制の整備・運用を図ってまいります。
 
 ・事前の案件ごとの適切な利益設定及び実行予算管理の徹底
 ・外注登録時審査の強化、不正加担に対する拒否要請及び通報窓口の設置
 ・社員研修等における規程等の周知徹底
 ・内部監査機能の強化
 ・会計監査人との連携強化及び事実確認の徹底

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 城南監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考

上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第41期(2021年3月1日-2022年2月28日)1385

1386
企業名 東テク株式会社 市場 東証プライム
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性があり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 2023年4月25日、当社子会社である東テク電工株式会社(以下、東テク電工という)より、特定の仕入取引先を調査対象とする反面調査が税務署によって実施された旨の報告を受け、その事実関係を社内調査したところ、東テク電工の特定の従業員と当該取引先との間で実体の伴わない仕入取引が行われている可能性を認識するに至りました。
 当社は、でき得る限り本事案の実態解明に努め、ステークホルダーの皆様に対する説明責任を果たすためには、当社から独立した立場の専門家による客観的かつ公正な調査を実施することが不可欠であると判断し、2023年5月10日開催の取締役会において、当社とは利害関係を有しない外部の弁護士及び公認会計士を委員とする特別調査委員会を設置することを決議いたしました。
 特別調査委員会の調査の結果、東テク電工において架空取引(実体の伴わない仕入取引)による不適切な取引が過去に渡って行われていたことが判明いたしました。
 
 これらの調査の結果、以下に掲げる、東テク電工の仕入取引に関する業務処理統制及び当社の全社的な内部統制に不備があると判断いたしました。
 

(1) 東テク電工において、不正行為の原因となる、一連の仕入取引(業者選定、価格決定、発注、検収)を一人で行えることを可能とさせていたこと

(2) 当社の全社統制上のリスクの評価において、財務報告の作成に影響を及ぼすリスクの識別に不足があったため、権限と責任の所在が不明確な東テク電工管理体制を継続していたこと

(3) 当社のモニタリングの実施において、日常的モニタリングの有効性の識別に不足があったため、独立的評価の範囲と頻度が適切でなかったこと

 
 不正の防止・発見に関する当社の内部統制制度に不備があったと認識したため、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 開示すべき重要な不備が、事業年度の末日までに是正されなかった理由は、事案発生を認識したのが2023年4月25日であり、特別調査委員会による調査報告書の受領が2023年6月29日であったためであります。
 なお、開示すべき重要な不備に起因する調査結果に基づく必要な修正事項は、当年度の連結財務諸表において適正に反映しております。
 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備を是正するため、特別調査委員会の提言を踏まえ、再発防止に向けて以下の改善策を徹底し内部統制の改善を図って参ります。これらの再発防止策により、翌事業年度においては、適切な財務報告の信頼性を確保する方針です。
 

(1) 業務処理統制上の不備の是正を始めとした東テク電工の管理体制の改善については、当社が主導して以下の項目について取り組みます。

・ 相互牽制や機能分掌を明確とした業務の見直しと手順の文書化、標準化

(2) 東テク電工及び他の子会社に対する管理体制の強化に向けて、権限と責任の所在明確化を行うべく、当社において以下の項目について取り組みます。

・ 関係会社管理部の役割明確化と、東テク電工及び他の子会社への指導監督の強化

・ 一定役職者以上の人材について人材交流の段階的な促進

(3) 適切に行えていなかった内部監査について、より有効性の高まる方法へ見直すべく、当社において以下の項目について取り組みます。

・ 管理監督者との対話を通じた会社運営の実態確認を行うなど、書面確認を主としてきた内部監査方法の見直し

 
本件改善策につきましては継続的なモニタリングを行うとともに、引続き再発防止策に掲げた対応策を推進いたします。
 

以 上

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 EY新日本有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1387
企業名 燦キャピタルマネージメント株式会社 市場 東証プライム
その内容

 上記の評価手続を実施した結果、財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。従って、当連結会計年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 当社グループは、2023年3月期の監査人の監査において、監査人より以下の内部統制の不備の指摘を受けました。
 
①複数の投資先に対する貸付金や未収入金に関して、投資先からの決算書類や事業計画書などの与信管理の資料の入手が未了のものがあり債権管理が不十分であった。また、一部債権の保全が十分でないものがあった。その結果、与信管理及びリスク管理が社内規定に則り適切に行われていなかった。
②投資先に対する債権管理について、取締役相互間で情報の共有と監督が不足していた。
 
 なお、上述の投資先の貸付金や未収入金については、2023年3月期の連結決算では、貸倒引当金の計上を行っており、会計上の処理は手当していました。
 
 当連結会計年度の末日までに是正できなかった理由は、管理担当者の専門知識の欠如、債権管理に対する認識の甘さ、取締役相互間の情報共有の欠如、取締役相互間の牽制の不十分さなどにより、当連結会計年度の末日時点においても当該問題は解決に至っていないことに起因いたします。
 
 当社グループは、再発防止策に向けて、以下の改善策を実施してまいります。
 
(1)与信管理及びリスク管理不足の改善について
 投資については、与信管理体制及びリスク管理体制を強化するよう改善します。
 特に、投資先からの決算書類や事業計画書などの資料については、入手の徹底を図り、与信管理の改善を図ります。
 また、投資先の状況を見極め、担保物の入手を図るなど、債権の保全を十分に行うようにします。
 
(2)取締役会相互間ならびに社内会議体との連携・相互監督の強化
 取締役会相互間で容易に連絡できるような仕組みづくり、かつ取締役会と業務執行取締役と部門長で構成される会議との連携・相互監督を強化することで、取締役全員が同じ情報を持ち、公平かつ公正に審議が行なえる体制に改善してまいります。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 柴田公認会計士事務所/大瀧公認会計士事務所 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1388
企業名 アジア開発キャピタル株式会社 市場 -(東証スタンダード)
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断した。したがって、当事業年度末日において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断した。
 

 
 当社グループでは、2021年6月30日付けで、子会社での不適切会計に関連した過年度決算の訂正を開示しました。その結果、当社では、2021年3月末時点の財務報告に関する内部統制は有効ではなく、開示すべき重要な不備が存在すると評価いたしました。
 更に、2021 年8月7日には、東京証券取引所より当社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められたため、当社株式は、「特設注意市場銘柄」に指定されました。
 当社は、これらの事態を深く反省し、今般の不適切な会計事案及びその他経営者、経営陣による利益相反取引、特設注意銘柄指定の一連の問題の原因分析を行い、改善策を取り纏めるため、第三者委員会の調査を実施し、この第三者委員会の提言を踏まえ、改善計画を策定し、2022年2月2日に発足した当社新経営体制のもと、内部管理体制の再構築に努めてまいりました。しかしながら2022年3月末までに、内部管理体制の改善、内部統制の不備を是正するには至らず、このため、当社では、2022年3月31日時点の財務報告に関する内部統制は、依然として、有効ではなく、開示すべき重要な不備が存在すると評価いたしております。
 また、今般、特設注意市場銘柄への指定から1年6か月経過した段階で東京証券取引所に対して提出した内部管理体制確認書の内容等に基づいて、内部管理体制等の審査を受審しました。その結果、取締役会の運営不備、役員間の情報共有、協議、検討及び牽制の運用上の不備、役職員のコンプライアンス意識の醸成不足などが認められ、これらを総合的に勘案した結果、当社の内部管理体制等には、依然として問題があり、改善がなされなかったと認められることから、当社株式の上場廃止が決定され、2023年3月29日付けで当社株式は整理銘柄に指定されるにいたりました。これらの改善状況に鑑みて、当社では、2023年3月31日時点の財務報告に関する内部統制は、依然として、有効ではなく、開示すべき重要な不備が存在すると評価いたしました。
 当事業年度の末日までに開示すべき重要な不備が是正されなかった理由は、改善計画の策定が遅れてしまったことや、改善すべき事項が多岐に渡る上、期末日までに改善のための十分な期間を確保することができなかったためであります。
 当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性は十分認識しており、引き続き、適切な内部統制を整備・運用する方針であります。
 株主、投資家の皆様をはじめとする関係者の皆様におかれましては、多大なご迷惑とご心配をお掛けしておりますことを改めて深くお詫び申し上げますとともに、今後も、内部管理体制等の改善を図り、ステークホルダーの皆様及び社会からの信頼回復を目指し、全社一丸となって尽力して参る所存でございますので、何とぞご理解いただきますとともに、引き続きご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

付記事項

付記すべき事項はありません。

特記事項

特記すべき事項はありません。

監査法人 監査法人アリア 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考

2023年4月30日上場廃止

1389
企業名 電気興業株式会社 市場 東証プライム
その内容

 上記の評価手続きを実施した結果、下記に記載した財務報告に係る内部統制に関する事項は、財務報告に重要な影響を及ぼす結果となり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社及び連結子会社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 当社及び連結子会社は当事業年度の決算業務の過程において、下記の誤りがあることが判明し、決算の確定までに時間を要したため、「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」を修正いたしました。
 これらは、決算・財務報告プロセスの内部統制の不備であり、財務報告に重要な影響を及ぼすことから、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 
(決算・財務報告プロセスにおける開示すべき重要な不備)
 
1.海外連結子会社の清算に伴う会計処理の誤り
 1)貸倒引当金の過大計上

 清算が決定していた海外連結子会社に対して当社から実行している貸付金について、清算を前提としたとしても財政状態を鑑みた場合、結果として貸倒引当金の計上が不要でありましたが、認識の誤りにより当社の貸倒引当金が過大に計上されておりました。このリスクを低減する統制活動として、貸倒引当金に関するワークシートにて検討事項のチェックを行っておりましたが、ワークシートには清算が決定した海外連結子会社に対する債権回収可能額の算定方法に関する記述がありませんでした。

 
 2)固定資産の減損損失計上に関する会計処理の誤り

 清算が決定していた海外連結子会社における固定資産の減損損失の認識の判定プロセスにおいて現地の正味売却価額の算定における専門的知識及び検証の不足により、固定資産の減損損失の金額に誤りがあり、決算スケジュールも遅延する結果となりました。このリスクを低減する統制活動として、固定資産の減損に関するワークシートにより検討事項のチェックを行っておりましたが、ワークシートには清算が決定した海外連結子会社において認識の判定プロセスに進んだ場合の実施事項の記述がありませんでした。
 
1)及び2)のいずれにおいても会社の清算という環境を想定したチェックリストが未整備であったこと及び当社のモニタリングプロセスが十分に機能しなかったことによって生じたものと評価しております。

 
2.当社及び国内連結子会社の固定資産の減損損失計上に関する会計処理の誤りまたは決算作業の遅延

 当社及び国内連結子会社における固定資産の減損認識の判定プロセスにおいて割引前将来キャッシュ・フロー計算に必要な事業計画の内容や正味売却価額の妥当性の検証が十分にされておらず、結果として当社については減損損失を計上するまでには至りませんでしたが、国内連結子会社につき固定資産の減損損失の金額に誤りがございました。また、これらの検討時間を確保したために、決算スケジュールが遅延する結果となりました。
 このリスクを低減する統制活動として、固定資産の減損に関するワークシートの活用や連結決算時に国内連結子会社から提供された決算資料を当社がチェックリストに基づき精査を行っておりましたが、ワークシート及びチェックリストに認識の判定プロセスに進んだ場合の実施事項の記述がありませんでした。
 これらは会計基準に沿った運用が出来ているかを確認する当社のモニタリングプロセスが十分に機能しなかったことによって生じたものと評価しております。

 
3.当社の消費税に関する誤り

 当社の長期工事に関する一部の案件で旧税率を適用すべきものについて、システムの仕様上、調整が必要でありましたが、当該調整の一部が不足しておりました。このリスクを低減する統制活動として、消費税額の理論値を計算した上で検算を行う統制活動が必要でありましたが、整備されておりませんでした。
 これはあるべき税率を利用した検算を実施することで調整漏れを適時に識別する検証項目が、当社において適切に整備できていなかったことによって生じたものと評価しております。
 
 これらの開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、財務諸表及び連結財務諸表において適切に反映しております。
 なお、上記事実の判明は、当事業年度末日以降であったため、当該開示すべき重要な不備を当該事業年度末日までに是正することができませんでした。
 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、当社及び連結子会社において下記を含む再発防止策を講じて内部統制の整備・運用を強化し、財務報告の信頼性を確保してまいります。

 
(再発防止策)
 
1)決算・財務報告プロセスにおける検証機能の強化

・連結子会社の清算等の特殊な環境下においてあるべき会計処理や、社内人材の不足する領域について外部専門家から助言を受けられる体制の整備

・固定資産の減損の認識において、会計基準に沿ったチェック項目を網羅できるチェックリストの刷新

・消費税のあるべき税率を考慮した検算プロセスの確立

 
2)会計処理を適時適切に実施するための人員補強等の体制整備

・経理責任者及び実務者の知識向上のため、外部講習会を含めた研修参加機会の充実

・モニタリングを担当する経理責任者の知識向上のため、外部専門家から適宜助言を受けられる体制整備

付記事項

付記すべき事項はありません。

特記事項

特記すべき事項はありません。

監査法人 有限責任監査法人トーマツ 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1390
企業名 河西工業株式会社 市場 東証プライム
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 当社の連結子会社であるKASAI MEXICANA S.A. DE C. V.(以下「KMEX」)において、決算・財務報告プロセスにおける、各決算処理の手続及び正確性を確認する手続の整備・運用が不十分であったことなどに起因した、製造原価及び買掛金の計上誤りや棚卸資産の評価誤り等の相当数の誤りがあったことが、会計監査人による監査の過程で判明いたしました。また、これを受けて当社は2023年3月期第1四半期から2023年3月期第3四半期までの四半期報告書及び四半期決算短信の修正を実施いたしました。これらの誤りを社内の決算・財務報告プロセスにおいて発見できなかったことについては、主に下記の内部統制に不備があったと認識しております。

1.当事業年度からKMEXにおいて新会計システムが導入されたにも関わらず、新会計システムの仕様に対応する業務手順書、決算マニュアル、チェックリストの見直しが行われなかった。

2.経理担当者の大量な退職による人員減や人員の入替えがあったにも関わらず、新任経理担当者への業務の引継ぎ及び教育が不十分であった。

3.十分なトライアル期間もなく新会計システムを導入したため、経理担当者の新会計システムへの習熟が不十分であった。

4.KMEXにおいて新会計システムが導入されたという大きな環境変化があったにも関わらず、当社として当該事項を踏まえた追加的なモニタリングを十分に実施できていなかった。

5.当期KMEXの社長、管理責任者、経理責任者が一斉交代しており、一定程度KMEXの決算において統制リスクの高まりが想定されていたにも関わらず、当社として、当該状況を踏まえたより細やかな決算統制、モニタリングを十分に実施できていなかった。

 これらの内部統制の不備は、当社の財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高いことから、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 上記については、当事業年度の末日後の決算作業中に発見されたものであるため、当事業年度の末日において是正が完了しておりませんでした。なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、連結財務諸表に適正に反映しております。
 当社は財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、KMEXにおいては、再発防止策を講じて決算プロセスに関する内部統制を強化し、財務報告の信頼性を確保していく方針であります。
 具体的には、決算・財務報告プロセスに関するリスクを網羅的に把握し、当該リスクに対して適切に対応できるように財務・経理マニュアル等を更新するとともに、新規に採用された経理担当者が適切なスキルセットを有するように教育(含む会計システムに関する教育)を実施し、経理業務を適切に運用できる体制とします。加えて、内部統制の運用に係る実効性の強化、また、一般的な内部監査活動に加え、経理業務の活動を日常的にモニタリングする人員を配置することで、決算誤りを検出し、発生を防止いたします。
 さらに、より精度の高い決算を担保するために、本社経理部門にKMEXの担当を定め、上述の各種対策の進捗フォローを行うとともに、業務が適正に行われているか継続的にモニタリングを実施いたします。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 有限責任監査法人トーマツ 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1391~1392
企業名 THECOO株式会社 市場 東証グロース
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。
 

 
 当社は、当社従業員複数名が自身らと関連を有する会社等に対して架空発注や水増発注による不適切な発注を行っていたこと(以下「本件不正発注」といいます。)が発覚したことを受け、専門性公正性中立性をもった調査を行うため、2023年5月8日、特別調査委員会を設置し、同日より調査を進めてまいりました。さらにその後、特別調査委員会による調査の過程で新たに収益及び費用の計上時期に関する不適切な会計処理の疑義(以下「追加疑義」)が判明するに至り、当社は追加疑義に関して特別調査委員会から、当社から独立した外部有識者委員のみで構成される独立調査委員会へ移行させ、追加疑義の点も独立委員会の委嘱事項に追加し、調査を進めてまいりました。
 2023年6月26日に独立調査委員会より調査報告書を受領した結果、本件不正発注に関しては、過年度より当社のインフルエンサー事業部の従業員が、自ら手配した親密な取引先に対して架空または水増しした不正な発注を行い、当社から資金を流出させるとともに、架空もしくは原価性のない外注費の原価計上が行われていたことが判明いたしました。また、追加疑義に関して収益の計上時期の軽微な誤謬や、その他の会計処理の誤謬が判明いたしましたが、いずれも当社経営陣による不適切な意図、内部統制の無視や無効化は認められておりません。
 当社は、これら不適切な会計処理による当社の過年度財務諸表への影響は限定的であるため、過年度の決算の訂正は行わず、2023年12月期の第1四半期にて処理することとしております。
 本件不正発注の直接的な原因は、当社のインフルエンサー事業では個人商店的に案件担当者1名が、仕入先の選定から、発注、納品に至るまでの一連の過程を単独で担当していたことから、特に納品物(コンテンツなど)が存在しないクリエイターのサポート業務等の場合には、上長による承認も形式的なものとなり、担当者以外の第三者による牽制が有効に機能しなかったこと(購買プロセスにおける売上原価の実在性に関する内部統制の不備)にあると考えております。
 またその背景には、当社の全社的な内部統制において、このようなインフルエンサー事業部における個人商店的な業務遂行について、担当者が取引先と通謀して不適切な発注を行う可能性も認識しておりましたが、十分な対応を行う必要がある不正リスクとまでは認識できず、本件不正発注のような不適切な発注を予防・発見するための具体的な対策を講じることができておりませんでした(全社的な内部統制:リスクの評価と対応の不備)。
 これらの購買業務プロセス及び全社的な内部統制における不備は財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 なお、上記の開示すべき重要な不備については当事業年度の末日後に認識したため、当事業年度の末日においては是正が完了しておりません。
 当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、内部統制の向上を図ってまいります。また、独立調査委員会の再発防止策に関する提言を踏まえ、前述の開示すべき重要な不備への対応も含め、以下の内容について再発防止策を具体化し、実施いたします。
1 不正発注に対する3ラインモデルを踏まえた統制強化と全社的な内部統制の改善
 (1)第1ライン(現業部門)での対策:

 発注前の承認手続きの実施:上長が各発注行為の適切性を吟味し、承認する手続きを確実に履行する。
 成果物の実在性確認の徹底:成果物の実在性を徹底的に確認し、具体的な成果物を伴わない発注については発注先等から証憑の入手を必須とする。
 事後的な発注行為の妥当性審査の追加:月次での取引確定作業時に発注内容の妥当性を確認し、案件担当者以外による審査体制を構築する。
 案件担当者間の定期的な交替の実施:特定の担当者があまり長期にわたり同種の案件を継続することがないように担当者の見直しを適宜実施する。
 発注先ごとの定期的な検証:定期的に発注先ごとの利用者の偏りや急激な発注の金額増加を確認し、不正発注の兆候を早期に発見する。

 
 (2)第2ライン(間接管理部門)での対策:

 取引先の実態調査の実施:新規取引先の登録に際しては、発注先の反社会的勢力該当性だけでなく、案件担当者からも情報を集め、新規取引先の業務実態の調査も行う。

 
 (3)第3ライン(内部監査部門)での対策:

 内部監査の強化:内部監査計画の策定と監査手続の実施において、不正発注のリスクを念頭に置き、発注先の適切性や成果物の納品状況をサンプリング調査する。

 
 (4)不正発注の防止に向けた体制強化:

 意識改革推進:当社経営陣において不正リスクへの意識強化を行う。定期的な研修やセミナーの受講を通じて、リスク意識の醸成とリスクマネジメント手法の習得を進める。
 職務内容の明確化と人員配置:不正防止のためのキャプテンの役割を明確に定義し、各職位の責任と権限を明文化。その上で、人員配置を適切に行い、不正発注を防ぐための仕組みを強化する。

 
 (5)内部監査体制の再検証と強化:

 内部監査体制の検証:内部監査体制を再検討し、必要な体制増強を行う。また内部監査の重要性について、社内への浸透を図る。

 
2 会計上の誤謬を防止し、適切な財務報告のための体制強化と意識改革
 (1)会計上の誤謬を防止するための決算体制の改善:

 業務システムの見える化:当社の売上高や売上原価の会計処理のための基礎データの集計・算定を行う業務システムの計算過程と集計ロジックを経理・会計処理目線で改めて解析し、算定プロセスの透明性を図ったうえで、決算業務における数値検証の精度の向上を図る。
 Fanicon事業の会計処理の再整理と統制強化:Fanicon事業に関する会計処理を再整理し、取引区分ごとの整理と理解深化を進める。また、業務システム外での集計となる取引については、事業部から経理部への情報伝達と、経理部による該当取引のチェック体制を強化する。
 経理部の人員拡充:経理部の人員補充を行い、前述のシステム内の集計ロジックや会計処理の整理の過程で、改めて経理業務に資する手順書の整備も進める。
 各部間の連携強化:開発部と経理部、事業部と経理部、事業部と開発部の間でのコミュニケーションを強化する。具体的には、各部間での定期的なミーティングを設け、新たなビジネスや取引の事前検討、システム改修の要望などを共有する体制を確立する。
 発注管理に関連する内部統制の構築:費用の計上漏れが発生しないように、発注管理の仕組みを再検討し、統制を強化する。
 経理部におけるチェック体制の強化:会計処理の検証体制を強化する。証憑管理体制を整備し、証憑の存在や整合性を確認するチェックリストを作成し、会計上の誤謬を防ぐ仕組みを構築する。

 
 (2)適切な財務報告体制の強化と意識改革:

 財務報告体制の強化:経理部や各事業部における管理機能、会計処理を支える業務システムに配分するリソースを全社で最適化し、財務情報の適時かつ正確な開示のための体制を確保する。
 意識改革と教育:上場企業としてのインテグリティを経営陣から全従業員まで理解させるため、経営陣は今回の事案をもとに再認識し、全社に対して強いメッセージを発信する。特に、経理部員と各事業部のキャプテン・リーダーに対しては、適切な財務報告のための役割や責任についての研修を実施する。これにより、コンプライアンスを重視した経営体制を確立し、全社的な意識改革を推進する。
付記事項

 2023年6月30日に提出いたしました第8期(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)内部統制報告書の訂正報告書では、2021年12月31日時点において、開示すべき重要な不備を識別し、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断しましたが、当該開示すべき重要な不備の識別が当事業年度末日以降となったため、当事業年度末日までに是正することができておりません。
 

以 上

特記事項

監査法人 PwC京都監査法人 監査意見

財務諸表監査:-
内部統制監査:-

備考

訂正内部統制報告書にて、第9期(2022年1月1日~2022年12月31日)の訂正を表明。
その他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第8期(2021年1月1日~2021年12月31日)1392

1393
企業名 株式会社ヤシマキザイ 市場 東証スタンダード
その内容

 以下に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。
 

 
<本件事案①の概要と原因>
 当社は、2022年度の営業部門に対する内部監査の過程で、当社の複数営業拠点において不適切な会計処理が行われていた疑いが判明したため、2023年2月13日より社内の調査チームに弁護士を加えた調査委員会を設置し、調査(以下、「本件調査①」といいます。)を開始しました。
 2023年3月31日に調査委員会から調査報告書を受領し、営業担当者による原価の付け替え(A)、売上の先行計上(B)という2つの類型の不適切な会計処理が複数事業年度に亘って行われていたこと(以下、「本件事案①」といいます。)を確認いたしました。
 
 本件調査①において、これらの不適切な会計処理は、複数の営業担当者による、赤字案件計上の回避や業績目標・予算達成への意識が動機となり、上場企業としての会計知識やコンプライアンス意識の営業部門や調達部門への浸透が不足していたことが起因となって行われたことが確認されました。
 また、案件の受注・発注から売上計上に至るプロセスにおける、管理職が営業担当者となる場合の受注処理・一部仕入先への発注処理・発注変更処理について、一営業担当者によって受注から発注処理までが可能となる承認経路が看過され、営業部門内での点検・監視、調達部門における牽制が不十分だった等、各部門の監視と牽制が不足・形骸化していた点が業務プロセスレベルの起因として確認されました。
 さらに、内部監査において本件事案①の一部が検出されていたものの、当該事案における先行計上された売上高及び付け替えられた売上原価が少額であったことから指摘事項が軽微なものと判断され、適時に経営陣への情報伝達が行われていなかった点や全社的に再発防止策のサイクルが形成されずに改善が図られていなかった点も確認されました。
 
<本件事案②の概要と原因>
 2023年3月期の期末監査の期間中に当社の中国における連結子会社(亜西瑪(上海)貿易有限公司、以下、「ヤシマ上海」といいます。)において不適切な会計処理が行われていた疑いが判明したため、2023年5月16日より社内の調査チームに独立性のある外部専門家を加えて調査(以下、「本件調査②」といいます。)を開始し、2023年6月28日に調査チームから調査報告書を受領しております。
 
 本件調査②において、ヤシマ上海の総経理による関与が認められた不適切な会計処理として、同社の特定の販売先に対する未納入の商品販売に係る売上高の先行計上が確認されました(以下、「a. 売上高の先行計上」といいます。)。これは、ヤシマ上海総経理が経営成績の改善が必要である意識を有していた一方で、上場企業のグループ会社としての会計知識やコンプライアンス意識の浸透が不足していたことに加え、同社における売上計上に係る業務プロセスの内部統制が有効に整備されていなかったこと、連結決算数値に適用するグループ会計方針のうち、収益認識に関する事項が整備できていなかったことが原因にあるものと認識しています。
 次に、ヤシマ上海の総経理による関与の疑義がある不適切な会計処理として、同社が新規に取引を開始した案件について、リスク評価を十分に行うことなく、販売先に対する売上高・売上債権、仕入先に対する売上原価・仕入債務を計上する会計処理を行っていたことが確認されました。本件調査②の過程で一部の仕入先が販売先と実質的に一体であることが判明いたしましたが、疑義を解消するだけの十分な情報が得られなかったため、本取引の売上高及び売上原価を取り消し、債権に対する貸倒引当金を計上しております(以下、「b. 非定型取引に関する会計処理誤り等」といいます。)。これは、新規参入した業界における取引等の非定型取引に対する当社及びヤシマ上海の経営陣のリスク評価能力が不足していたこと、非定型取引開始後における董事会によるモニタリングプロセスが整備できていなかったこと、当社財務経理部門によって非定型取引に対する会計処理の事前確認プロセスが整備できていなかったことが原因にあるものと認識しています。
 さらに、誤謬による不適切な会計処理として、本来費用処理されるべき納入商品の試験費用等が棚卸資産として計上されていること(以下、「c-1. 棚卸資産の計上範囲の誤り」といいます。)、特定の仕入先に対する仕入債務の遅延計上(以下、「c-2. 仕入債務の計上時期の誤り」といいます。)、特定の販売先に対する売掛金の貸倒引当金の計上漏れ(以下、「c-3. 売掛金の貸倒引当金の計上漏れ」といいます。)が確認されました。
 「c-1. 棚卸資産の計上範囲の誤り」については、ヤシマ上海の経理メンバーが中国現地の実務慣行に基づいた処理を行っていることに対して、当社の財務経理部門が当該処理方法を把握しておらず、グループ会計方針との差異を認識できていなかったこと、連結決算数値に適用するグループ会計方針のうち、棚卸資産の計上範囲に関する事項が整備できていなかったこと、ヤシマ上海において通常、棚卸資産を保管しない一部の拠点に対する実地棚卸計画が策定されず、棚卸資産残高の実在性の確認に漏れがあったことが原因にあるものと認識しています。
 「c-2. 仕入債務の計上時期の誤り」については、ヤシマ上海の経理メンバーが中国現地の実務慣行に基づいた処理を行っていることに対して、当社の財務経理部門が当該処理方法を把握しておらず、グループ会計方針との差異を認識できていなかったため、ヤシマ上海におけるグループ会計方針を前提とした仕入債務計上に係る業務プロセスの内部統制が整備されていなかったこと、当社の財務経理部門における連結決算プロセス上の点検事項に仕入債務の計上時期に関する差異に関する項目が整備されていなかったことが原因にあるものと認識しています。
 「c-3. 売掛金の貸倒引当金の計上漏れ」については、決算作業プロセスにおける債権評価について、債権の滞留状況をチェックする手続及び債権評価ルールとして、債権の相手先別の入金遅延期間に応じて債権に対する一定割合を貸倒引当金として計上するルールが整備できていなかったこと、当社の財務経理部門における連結決算プロセス上の点検事項に債権評価に関する項目が整備されていなかったことが原因にあるものと認識しています。
 なお、本件調査②の結果、識別された事項(a、b、c-1、c-2、c-3)を以下、「本件事案②」といいます。
 
 当社の経営陣は上場企業として財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、内部監査によって検出された不適切な事案に対して、当該事案に対する個別対応に留まらず、類似事案の発生可能性を踏まえたリスク評価及び当該評価を踏まえたリスク対応として再発防止策の検討等を行っていくべき立場にあり、また、子会社固有の事由を踏まえたグループ全体でのリスク評価を実施し、グループ方針の策定と周知並びに継続的なモニタリングを行っていくべき立場にもあります。
 根本的な原因は、当社の経営陣がこうした責任と立場を十分に自覚できておらず、本件事案①については上記の全社的な再発防止のサイクルを形成するという本来取るべき対応に至っておらず、報告された不適切な事案の対処に留まってしまった点、本件事案②については上記のグループ全体でのリスクマネジメントが実施できていなかった点にあります。
 
<開示すべき重要な不備>
 以上の本件事案①及び本件事案②より確認された点に基づき、当社の全社的な内部統制及び決算財務報告プロセスに係る内部統制、ヤシマ上海の全社的な内部統制、決算財務報告プロセスに係る内部統制並びに業務プロセスに係る内部統制の評価を行った結果、下記の点について不備があることを確認し、これらの不備は財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高いため、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 なお、本件事案①に係る内部統制の不備が、当社の財務報告に重要な影響を及ぼすこととなった点を踏まえ、2020年3月期から2022年3月期までの各期の内部統制報告書の訂正報告書において、財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備が存在する旨の報告をいたしました。また、本件調査②の調査結果を踏まえ、当社は、第79期(2023年3月期)の第1四半期、第2四半期及び第3四半期の四半期報告書について訂正報告書を提出しました。
 

区分 開示すべき重要な不備
当社 全社的な内部統制

・当社によるコンプライアンス教育・会計ルールに関する研修等をヤシマ上海向けに実施できていなかったこと。

・質的重要性を加味した上で内部統制の評価範囲に含めるべき業務プロセスを選定できていなかったこと。

・新規参入した業界における取引等の非定型取引に対するリスク評価の前提としての知識・情報が不足していたこと。

・ヤシマ上海に対して現地往査を含む内部監査の実施が不十分だったこと。

決算財務報告プロセスに係る内部統制

・連結決算数値に適用するグループ会計方針が整備できていなかったこと。

・当社の財務経理部門における連結決算プロセス上の点検事項に含めるべき項目が整備されていなかったこと。

・当社財務経理部門によって新規参入した業界における取引等の非定型取引に対する会計処理の事前確認プロセスが整備できていなかったこと。

業務プロセスに係る内部統制
(購買プロセス)

・営業担当者によって販売先からの受注に基づく発注の一部を、本来紐づけるべき受注ではない別の受注に紐づけるといった原価の付け替えが発生するリスクに対して、これを低減する統制として営業担当者が販売先から受領した注文書等に基づき販売システムに受発注情報を登録し、営業担当者の上長の承認を経て、調達部門に発注依頼を行う際、管理職が営業担当者である場合に自己承認を不可とする承認経路、営業担当者が仕入先からの見積書等の内容と販売先からの注文書等の内容について品名、仕様、数量等の整合性を確認する手続、及び調達部門が発注段階で当該整合性を確認する手続が整備できていなかったこと。

業務プロセスに係る内部統制
(販売プロセス)

・営業部門は一部の販売先において受領確認等の検収情報が翌月末に届く等の事情により、必ずしも検収情報を適時に得ることがかなわないことがある。これにより販売先が当社に対する仕入債務を認識する時点と当社が販売先に対して営業債権を認識する時点が異なるといった売上計上の期間帰属の適切性に関するリスクに対して、これを低減する統制の一部として販売先が債務認識した時点を示す証憑種類等を販売先別にリスト化し、営業部門において売上計上時期が当該リストにある証憑種類等に基づくことを照合確認する手続を整備できていなかったこと。

・上記売上計上の期間帰属の適切性に関するリスクに対する統制として、システム上の売上データと売上計上時期を示す根拠を営業担当者が照合し、営業部門の上長がこれを承認するという売上計上の期間帰属の適切性に関する統制が有効に運用できていなかったこと。


 

区分 開示すべき重要な不備
ヤシマ上海 全社的な内部統制

・新規参入した業界における取引等の非定型取引に対するリスク評価の前提としての知識・情報が不足していたこと。

・ヤシマ上海総経理への決裁権限の集中による、内部統制の実効性が低下していたこと。

・新規参入した業界における取引開始後における董事会によるモニタリングプロセスが整備できていなかったこと。

決算財務報告プロセスに係る内部統制

・決算作業プロセスにおける債権評価について、債権の滞留状況をチェックする手続及び債権評価ルールとして、貸倒引当金の個別設定ルールが整備できていなかったこと。

業務プロセスに係る内部統制
(販売プロセス)

・販売業務に係るプロセスのうち、売上計上に関する内部統制として、売上計上の時期、金額を示す証憑類が具備されていることを、売上計上処理担当者以外の第三者が承認する統制手続が整備されていなかったこと。

業務プロセスに係る内部統制
(棚卸資産管理プロセス)

・棚卸資産管理に係る業務プロセスの内部統制において、棚卸資産の実在性の検証として、実地棚卸の実施状況を評価する手続が計画されていたが、通常、棚卸資産を保管しない一部の拠点に対して実地棚卸が計画・実施されておらず、実在性が確認できない資産が会計帳簿に計上されていることを発見できなかったこと。

業務プロセスに係る内部統制
(購買プロセス)

・購買業務に係るプロセスのうち、仕入債務計上に関する内部統制として、未計上となっている証憑類から計上すべき取引の有無を確認する等の計上漏れを確認する統制手続が整備されていなかったこと。


 
<再発防止策>
 当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を十分認識しており、調査報告書の提言を踏まえ、本件事案①及び本件事案②に対して以下の通り再発防止策を設定・実行し、適切な内部統制の整備・運用を図ってまいります。
 

 

 

 

 

再発防止策 不適切な会計処理
事案① 事案②
A B a b c-1 c-2 c-3

1.行動規範、コンプライアンスガイドラインの周知の再徹底

・当社経営陣による一般社員及び管理職向けの研修

(2023年3月実施済み)

・内部統制委員会、顧問弁護士による当社の役職員向け研修

(2023年4月実施済み、2024年3月期以降継続実施)

・当社経営層によるヤシマ上海に対する研修

(2023年6月ヤシマ上海の全役職員向けに1回実施済み、以降継続実施)

2.遵守すべき法令やルールの教育

・内部統制委員会による当社の役職員向け研修

(2023年1月実施済み、2024年3月期以降継続実施)

・内部統制委員会・外部専門家による会計、内部統制

(リスクマネジメント含む)をテーマとする研修

(2024年3月期第2四半期末までに実施、以降継続実施)

3.営業担当者(課長職含む)の教育の徹底

・内部統制委員会による当社の営業担当者向けの研修

(2023年6月実施済み、2024年3月期以降継続実施)

・内部統制委員会によるヤシマ上海の営業担当者向けの研修

(2024年3月期第2四半期末までに実施、以降継続実施)

       

4.内部監査の監査内容改善と結果の情報共有、社内周知の仕組みの構築

・内部監査結果の全部門周知と類似事案の検証

(2024年3月期第1四半期中に整備済み、以降継続運用)

・経営会議や取締役会、コンプライアンス・リスク管理委員会への内部監査結果の適時共有のフロー整備

(2024年3月期第1四半期中に整備済み、以降継続運用)

・内部監査手続きとして本件調査①で行ったデータアプローチ検証の導入

(2024年3月期第2四半期末までに整備、以降継続運用)

       

5.内部監査結果に対する評価基準の厳格化

・不適切な会計処理等に対する評価基準における金額的重要性の排除

(2024年3月期第1四半期中に整備済み、以降継続運用)

       

6.人事評価制度面からの内部統制の強化とコンプライアンス意識向上の支援

・人事評価制度の「全社目標」において「内部統制とコンプライアンスの強化」を追加

(当社の「全社目標」は2024年3月期期首に追加済み、ヤシマ上海の「全社目標」に2024年3月期第2四半期末までに追加)

     

7.受発注登録の承認プロセスの見直し

・受注登録の承認プロセスの改善として、一切の自己承認を不可とするため、営業担当者の上長の承認を経る承認経路のシステム改修

(2024年3月期第2四半期末までに実施)

・発注登録の承認プロセスの改善として、営業部門及び調達部門による受注情報との整合性チェック

(2024年3月期第2四半期末までに整備、以降継続運用)

           

8.売上計上に関する防止的・発見的統制の強化

・販売先別の債務認識時期を示す証憑種類等のリストに基づく照合確認手続きを整備するとともに、債権債務の残高確認実施の頻度を年2回から4回へ引き上げ

(2024年3月期第1四半期中に整備済み、以降継続運用)

・販売先が債務認識した時期を示す証憑種類等を販売先別にリスト化し、当該リストを用いて営業担当者が照合し、営業部門の上長が承認

(2024年3月期第2四半期末までに整備、以降継続運用)

           

9.内部通報制度の実効性確保

・経営陣による一般社員及び管理職向けの研修での制度説明

(2023年3月実施済み)

・内部統制委員会による研修での制度説明

(2023年4月実施済み、2024年3月期以降継続実施)

       

10.コンプライアンス・リスク管理委員会によるリスク評価と周知

・コンプライアンス・リスク管理委員会による取引種類ごとに不適切会計につながるリスクと当該リスクへの対応パターンを整理した「取引先対応に関する基本方針」の策定

(2024年3月期第1四半期中に整備済み、以降継続更新)

・上記基本方針を踏まえた営業部門の業務マニュアル等の作成

(2024年3月期第2四半期末までに作成)

         

11.ヤシマ上海総経理の決裁事項に対する統制強化

・従来、販売・購買等の業務、人事に関する決定及び会計仕訳の最終承認など総経理の権限であった全ての決裁事項に対して副董事長(当社の管理統括副社長)の承認を追加し、総経理の単独決裁を廃止。

(2023年6月に暫定措置済、2024年3月期第3四半期末までに整備、以降継続運用)

         

12.当社によるヤシマ上海向けのモニタリング強化

・グループリスクマネジメントとして、当社の海外事業管理部門(2023年5月新設)及び財務経理部門による本件事案②を踏まえたビジネスリスクや会計・決算に関するリスク整理及び当該リスクを対象とするチェック強化(連結決算チェックリストのチェック項目の追加含む)

(2024年3月期第2四半期末までに整備、以降継続運用)

・当社の内部監査室による現地往査の再開及び当社財務経理部門の同行・連携による会計面での内部監査の強化

(2024年3月期第2四半期末までに整備、以降継続運用)

   

13.グループ会計方針の整備

・収益認識、棚卸資産の計上範囲及び仕入債務の計上時期等に関するグループ共通の会計方針書の作成及びグループ会社への周知

(2024年3月期第2四半期末までに整備、以降継続運用)

       

14.ヤシマ上海における業務プロセスに係る内部統制強化

・ヤシマ上海の棚卸資産管理プロセスにおける実地棚卸の範囲を全ての拠点に拡大

(2024年3月期第3四半期末までに整備、以降継続運用)

・ヤシマ上海の販売業務における売上計上や購買業務における仕入債務計上にかかる内部統制の強化を目的として、同社を重要な事業拠点とした上で、販売プロセス及び購買プロセスを評価対象に追加

(2024年3月期第3四半期末までに整備、以降継続運用)

       

15.ヤシマ上海の単体決算プロセスにおける債権管理強化

・債権債務の残高確認の実施

(2024年3月期第2四半期末までに整備、以降継続運用)

・決算時に債権の滞留状況をチェックする手続及び債権の相手先別の入金遅延期間に応じて債権に対する一定割合を貸倒引当金として計上するルールの整備

(2024年3月期第2四半期末までに整備、以降継続運用)

         

16.非定型取引のリスク管理強化

・取引開始前の取締役会又は董事会による展開する事業領域・エリアに特化したリスク情報の収集と組織知化並びに与信管理を含むリスク評価の徹底

(2024年3月期第2四半期末までに整備、以降継続運用)

・当社財務経理部門による会計処理の事前確認プロセスの導入(2024年3月期第2四半期末までに整備、以降継続運用)

・取引開始後の取締役会又は董事会による取引開始前に行ったリスク評価の見直しの要否に関するモニタリング強化

(2024年3月期第2四半期末までに整備、以降継続運用)

           


 
 なお、本件事案①及び本件事案②に係る再発防止策の策定が当事業年度末日以降となったため、是正措置を完了することができませんでした。以下では、当事業年度の末日後から内部統制報告書提出までに実施した措置を記載しております。
 
 1.行動規範、コンプライアンスガイドラインの周知の再徹底

 内部統制委員会、顧問弁護士による当社の役職員向け研修、当社経営層によるヤシマ上海の役職員向け研修を実施しました。2024年3月期以降も継続して実施する計画としています。

 2.遵守すべき法令やルールの教育

 内部統制委員会による当社の役職員向け研修を実施しました。2024年3月期以降も継続して実施する計画としています。

 3.営業担当者(課長職含む)の教育の徹底

 内部統制委員会による当社の営業担当者向けの研修を実施しました。2024年3月期以降も継続して実施する計画としています。

 4.内部監査の監査内容改善と結果の情報共有、社内周知の仕組みの構築

 代表取締役社長への内部監査の報告において重大な事案が確認された場合、適時に副社長から全部門に対して内部監査結果を周知させるとともに、類似事案の調査を指示するフローを整備しました。併せて、調査の結果をもとに、コンプライアンス・リスク管理委員会が、リスクの識別と対応を検討し、策定した再発防止策を取締役会及び経営会議へ報告するフローを整備しました。
 また、当社の一定の利益率を下回る取引を抽出して仕入先から発行された見積書と販売先から発行された注文書、これらのシステム上のデータの整合性を確認するデータアプローチ検証を当年度の内部監査計画に追加、実施する計画としています。

 5.内部監査結果に対する評価基準の厳格化

 不適切な会計処理等に対する評価基準における金額的重要性として、大小にかかわらず会計的に影響を及ぼす可能性があるものは重大として評価するように内部監査マニュアルを改訂しました。

 6.人事評価制度からの内部統制の強化とコンプライアンス意識向上の支援

 人事評価制度の「全社目標」において当社の従業員(取締役、執行役員、契約社員、嘱託社員を除く)を対象に「内部統制とコンプライアンスの強化」を追加しました。また、2024年3月期第2四半期までに「全社目標」においてヤシマ上海の全従業員を対象に「内部統制とコンプライアンスの強化」を追加する予定です。

 7.受発注登録の承認プロセスの見直し(購買プロセスにおける開示すべき重要な不備への対応)

 受注登録の承認プロセスの改善として、一切の自己承認を不可とするため、営業担当者の上長の承認を得る承認経路のシステム改修を2024年3月期第2四半期末までに完了する見込みで着手しています。なお、システム改修の完了までの期間、システムの仕様上は自己承認が可能となっているため、売上高計上後に当社の財務経理部門が、売上計上データと検収情報との突合せを行うことによるバックテストや一定の利益率を下回る取引を抽出して仕入先から発行された見積書と販売先から発行された注文書、これらのシステム上のデータの整合性を確認することによる原価付け替え有無のチェックを実施しています。また、発注登録の承認プロセスの改善として、営業部門及び調達部門が発注情報と受注情報の整合性チェックをシステム上で実施可能とするシステム改修を2024年3月期第2四半期末までに完了する見込みで着手しています。

 8.売上計上に関する防止的・発見的統制の評価(販売プロセスにおける開示すべき重要な不備への対応)

 販売先別の債務認識時期を示す証憑種類等のリストに基づく照合確認手続を整備するとともに、債権債務の残高確認実施の頻度を年2回から4回へ引き上げます。また、販売先が債務認識した時期を示す証憑種類等を販売先別にリスト化し、当該リストを用いて営業担当者が照合し、営業部門の上長が承認する体制の整備を2024年3月期第2四半期末までに完了する見込みで着手しています。

 9.内部通報制度の実効性確保

 内部統制委員会による研修での制度説明を実施しました。2024年3月期以降も継続して実施する計画としています。

 10.コンプライアンス・リスク管理委員会によるリスク評価と周知

 「取引先対応に関する基本方針」の策定が完了しました。今後、基本方針で掲げた不適切会計や不正会計のリスクがある事象への対応方法を、2024年3月期第2四半期末までに営業部門の業務マニュアル等に反映します。

 
 なお、11.から16.については再発防止策の策定が2024年3月期第1四半期末となったため、第2四半期以降に着手いたします。
 
 当社の経営陣は、上場企業としての財務報告に係る内部統制の整備及び運用していく責任と不適切な事案の検出時に適切に全社的な再発防止策のサイクルを形成する等の立場、グループ全体でのリスクマネジメントを行っていくべき立場を十分に自覚し、今後の是正措置に取り組んでまいります。

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 有限責任監査法人トーマツ 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考

重要な手続きが実施できないと表明した企業

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