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2023年4月公表「内部統制報告書」記載内容集計表

投稿日時:2023年05月01日(月)

 2023年4月1日以降、4月30日までに公表された内部統制報告書について、「有効である」という結論以外となる報告書を提出した企業及びその内容は次のようになっています。

開示すべき重要な不備が存在すると表明した企業
18
重要な手続が実施できないと表明した企業
0

開示すべき重要な不備が存在すると表明した企業

1331~1332
企業名 サムティ株式会社 市場 東証プライム
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な不備であると捉え、当事業年度末時点における当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 当社において、特定の取引先(以下「本件取引先」といいます。)との取引に関連し、過年度決算における会計上の連結対象範囲の判断等についての疑義が判明したため、2023年1月16日に外部の弁護士及び公認会計士を委員として構成する特別調査委員会を設置し、調査を進め、2023年3月6日に特別調査委員会から調査報告書を受領いたしました。
 特別調査委員会の調査の結果、調査対象期間である2016年11月期以降において、本件取引先や同様な関係の可能性がある特定取引先について、当社が直接又は間接的に支配している状況が存在するとまでは認められず、子会社又は関連会社のいずれかに該当するとの認定及び関連当事者に該当するとの認定には至らなかったと判断されております。また、本件取引先との取引について、過年度訂正を要するような事象は認められないと判断されております。
 しかしながら特別調査委員会からは、大規模な調査を尽くさなければその判定が不可能となるような事態を招来したことそのものについて、会計基準というルールの範囲内であったとしても適切な振る舞いとはいえず、会計的側面から離れてその関係を見たとしても、本件取引先との関係性及び取引について、公正かつ透明な企業運営が特に期待される上場企業において、その公正性及び透明性に疑念を抱かせるには十分なものであったなどの指摘を受けております。
 当社は、調査報告書で判明した事実やこれらの指摘を踏まえ、当社の全社統制及び当社の決算・財務報告プロセスに係る内部統制の再評価を行った結果、これらの疑義や事態を招いた背景には、財務報告に係る会計倫理や公正透明な取引への意識の不足といった統制環境における不備、本件取引先との取引や関係についてのリスクの評価と対応における不備、適切な財務報告のための社内外への情報共有・情報開示意識の不足といった情報と伝達における不備、内部監査等のモニタリングにおける不備、及び会計基準等への理解不足や情報収集の不足といった決算・財務報告プロセスにおける不備があったものと認識しております。
 これらの不備は、当社の財務報告に潜在的に重要な影響を及ぼす可能性が高いものと考えられるため、当社は、これらの全社統制及び当社の決算・財務報告プロセスに係る内部統制について、財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 上記の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関しましては、当該事項の判明が当事業年度の末日後であったため、当事業年度の末日までに是正することができませんでした。
 
 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の改善策を講じて適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。
 

① 会計倫理の向上

・「透明性の高い取引先との間の透明性の高い取引により正しく稼ぐ」ことを基本とする経営トップによる「会計コンプライアンス」宣言の発出

・業績達成にとどまらない、ステークホルダーに対する公正透明な取引遂行の意識徹底

・役職員全員参加による社員教育の実施及び徹底による、上場企業に求められる高度な会計倫理の醸成

② 業務管理態勢の強化

・取引先の属性や契約条件の評価体制の再構築

・経理部門の人材の拡充及び牽制機能の強化

③ 深度あるリスク評価を可能とする態勢再構築・業務運営

・財務報告に重要な影響を与える事象に関する社内外とのコミュニケーションの強化

・財務報告に重要な影響を与える事象にかかる取引の妥当性検証態勢の構築

・取締役会等における決定方針に従った運営の徹底

④ 内部統制・モニタリング機能の強化

・社外取締役を含む取締役への更なる情報開示及び監査等委員会の監督機能の確立

・内部監査部門の独立性・客観性の担保及び深度ある内部監査の実施

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 EY新日本有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:限定付適正
内部統制監査:適正

備考

上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第40期(2020年12月1日~2021年11月30日)1332
なお、第37期~第39期の訂正内部統制報告書を2023年3月に提出している。

1333~1335
企業名 株式会社ヤシマキザイ 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。
 

 
 当社は、2022年度の営業部門に対する内部監査の過程で、当社の複数営業拠点において不適切な会計処理が行われていた疑いが判明したため、2023年2月13日より社内の調査チームに弁護士を加えた調査委員会を設置し、調査(以下、「本件調査」といいます。)を開始いたしました。
 2023年3月31日に調査委員会から調査報告書を受領し、営業担当者による原価の付け替え、売上の先行計上という2つの類型の不適切な会計処理が複数事業年度に亘って行われていたこと(以下、「本件事案」といいます。)を確認いたしました。
 
 本件調査において、これらの不適切な会計処理は、複数の営業担当者による、赤字案件計上の回避や業績目標・予算達成への意識が動機となり、上場企業としての会計知識やコンプライアンス意識の営業部門や調達部門への浸透が不足していたことが起因となって行われたことが確認されました。
 また、案件の受注・発注から売上計上に至るプロセスにおける、管理職が営業担当者となる場合の受注処理・一部仕入先への発注処理・発注変更処理について、一営業担当者によって受注から発注処理までが可能となる承認経路が看過され、営業部門内での点検・監視、調達部門における牽制が不十分だった等、各部門の監視と牽制が不足・形骸化していた点が業務プロセスレベルの起因として確認されました。
 さらに、内部監査において本件事案の一部が検出されていたものの、当該事案における先行計上された売上高及び付け替えられた売上原価が少額であったことから指摘事項が軽微なものと判断され、適時に経営陣への情報伝達が行われなかった点や全社的に再発防止のサイクルが形成されず改善が図られていなかった点も確認されました。
 当社の経営陣は上場企業として財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、内部監査によって検出された不適切な事案に対して、当該事案に対する個別対応に留まらず、類似事案の発生可能性を踏まえたリスク評価及び当該評価を踏まえたリスク対応として再発防止策の検討等を行っていくべき立場にあります。
 本件事案の根本的な原因は、当社の経営陣がこうした責任と立場を十分に自覚できておらず、上記の全社的な再発防止のサイクルを形成するという本来取るべき対応に至っておらず、報告された不適切な事案の対処に留まってしまった点にあります。
 
 以上の確認された点に基づき、当社の全社的な内部統制及び売上高、売上債権、売上原価及び仕入債務に係る販売及び購買プロセスの再評価を行った結果、下記の点について不備があることを確認し、これらの不備は財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高いため、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 
 (購買プロセスにおける開示すべき重要な不備)

・営業担当者によって販売先からの受注に基づく発注の一部を、本来紐づけるべき受注ではない別の受注に紐づけるといった原価の付け替えが発生するリスクに対して、これを低減する統制として営業担当者が販売先から受領した注文書等に基づき販売システムに受発注情報を登録し、営業担当者の上長の承認を経て、調達部門に発注依頼を行う際、管理職が営業担当者である場合に自己承認を不可とする承認経路、営業部門が仕入先からの見積書等の内容と販売先からの注文書等の内容について品名、仕様、数量等の整合性を確認する手続、及び調達部門が発注段階で当該整合性を確認する手続が整備できていなかったこと。

 
 (販売プロセスにおける開示すべき重要な不備)

・営業部門は一部の販売先において受領確認等の検収情報が翌月末に届く等の事情により、必ずしも検収情報を適時に得ることがかなわないことがある。

これにより販売先が当社に対する仕入債務を認識する時点と当社が販売先に対して営業債権を認識する時点が異なるといった売上計上の期間帰属の適切性に関するリスクに対して、これを低減する統制の一部として販売先が債務認識した時期を示す証憑種類等を販売先別にリスト化し、営業部門において売上計上時期が当該リストにある証憑種類等に基づくことを照合確認する手続を整備できていなかったこと。

・上記売上計上の期間帰属の適切性に関するリスクに対する統制として、システム上の売上データと売上計上時期を示す根拠を営業担当者が照合し、営業部門の上長がこれを承認するという売上計上の期間帰属の適切性に関する統制が有効に運用できていなかったこと。

 
 上記の開示すべき重要な不備の識別が当事業年度末日以降となったため、当事業年度末日までに是正することができませんでした。
 また、当初の内部統制報告書における 2 評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項 に記載の業務プロセスに係る内部統制の評価範囲の選定については、各事業拠点の売上高(連結会社間取引消去後)を基準として選定しており、当該前提事項は現時点においても特に変わらず適切であったものと判断しております。業務プロセスに係る内部統制の評価範囲について、売上高、売上債権、売上原価、仕入債務は企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として、当該科目に係る販売及び購買プロセスを対象としておりましたが、上記の開示すべき重要な不備は当該対象から生じたものであります。
 購買プロセスにおける原価の付け替えの発生するリスクに対して、これを低減する統制を整備できていなかったこと、また、販売プロセスにおける売上の先行計上については、発生するリスクに対して、これを低減する一部の統制を整備できていなかったことに加え、運用状況の有効性評価の対象としたサンプルから識別されなかったことから、当該不備の報告に至りませんでした。上記の各リスクに対する統制を整備できていなかった点については選定された業務プロセスに対して、不適切会計につながるリスクの所在と当該リスクへの対応パターンを検討する等の分析が不十分であったものと判断しています。
 
 当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を十分認識しており、調査報告書の提言を踏まえ、以下の通り再発防止策を設定・実行し、適切な内部統制の整備・運用を図ってまいります。
 

1.行動規範、コンプライアンスガイドラインの周知の再徹底

・経営陣による一般社員及び管理職向けの研修(2023年3月実施済み)

・内部統制委員会、顧問弁護士による研修(2024年3月期以降継続実施)

2.遵守すべき法令やルールの教育

・内部統制委員会による研修(2023年1月実施済み、2024年3月期以降継続実施)

3.営業担当者(課長職含む)の教育の徹底

・内部統制委員会による営業担当者向けの研修(2024年3月期以降継続実施)

4.内部監査の監査内容改善と結果の情報共有、社内周知の仕組みの構築

・内部監査結果の全部門周知と類似事案の検証(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続運用)

・経営会議や取締役会、コンプライアンス・リスク管理委員会への内部監査結果の適時共有のフロー整備(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続運用)

・内部監査手続きとして本件調査で行ったデータアプローチ検証の導入(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続運用)

5.内部監査結果に対する評価基準の厳格化

・不適切な会計処理等に対する評価基準における金額的重要性の排除(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続運用)

6.人事評価制度面からの内部統制の強化とコンプライアンス意識向上の支援

・人事評価制度の「全社目標」において「内部統制とコンプライアンスの強化」を追加(2024年3月期期首に追加)

7.受発注登録の承認プロセスの見直し(購買プロセスにおける開示すべき重要な不備への対応)

・受注登録の承認プロセスの改善として、一切の自己承認を不可とするため、営業担当者の上長の承認を経る承認経路のシステム改修(2024年3月期第2四半期末までに実施)

・発注登録の承認プロセスの改善として、営業部門及び調達部門による受注情報との整合性チェック(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続運用)

8.売上計上に関する防止的・発見的統制の強化(販売プロセスにおける開示すべき重要な不備への対応)

・販売先別の債務認識時期を示す証憑種類等のリストに基づく照合確認手続を整備するとともに、債権債務の残高確認実施の頻度を年2回から4回へ引き上げ(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続運用)

・販売先が債務認識した時期を示す証憑種類等を販売先別にリスト化し、当該リストを用いて営業担当者が照合し、営業部門の上長が承認(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続運用)

9.内部通報制度の実効性確保

・経営陣による一般社員及び管理職向けの研修での制度説明(2023年3月実施済み)

・内部統制委員会による研修での制度説明(2024年3月期以降継続実施)

10.コンプライアンス・リスク管理委員会によるリスク評価と周知

・コンプライアンス・リスク管理委員会による取引種類ごとに不適切会計につながるリスクと当該リスクへの対応パターンを整理した「取引先対応に関する基本方針」の策定(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続更新)

・上記基本方針を踏まえた営業部門の業務マニュアル等の作成(2024年3月期第2四半期末までに作成)

 
 当社の経営陣は、上場企業として財務報告に係る内部統制の整備及び運用していく責任と不適切な事案の検出時に適切に全社的な再発防止のサイクルを形成する等の立場を十分に自覚し、今後の是正措置に取り組んでまいります。
 
 なお、当社は、調査結果を確認・精査した結果、本件事案の期間損益に与える影響が軽微であると判断し、2020年3月期から2022年3月期の有価証券報告書、2021年3月期から2022年3月期の第1四半期から第3四半期までの四半期報告書及び2023年3月期の第1四半期から第2四半期までの四半期報告書について、訂正報告書を提出しておりません。

付記事項

 2023年4月4日に提出いたしました第77期(自 2020年4月1日 至2021年3月31日)内部統制報告書の訂正報告書において、2021年3月31日時点において、開示すべき重要な不備を識別し、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断しましたが、当該開示すべき重要な不備の識別が当事業年度末日以降となったため、当事業年度末日までに是正することができておりません。

特記事項

監査法人 有限責任監査法人トーマツ 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:-

備考

訂正内部統制報告書にて、第78期(2021年4月1日~2022年3月31日)の訂正を表明。
その他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第77期(2020年4月1日~2021年3月31日)1334
 第76期(2019年4月1日~2020年3月31日)1335

1336~1339
企業名 株式会社パスコ 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
1.今回発生した事案を発見に至った経緯と委員会の立ち上げ

 当社の東日本事業部において、当社社員から、請負契約に関する利益を本来計上すべき事業年度から翌事業年度に不適切に先送りしていることに関する情報が寄せられ、社内調査を実施いたしました結果、2021年3月期および2022年3月期において、請負契約に係る作業が事業年度末までに完了していた案件について利益の一部を翌事業年度に先送りするという、不適切な会計処理が行われていたことが確認されました。
 これを受けて、当社は、調査の独立性を確保し専門的かつ客観的な見地からの調査および再発防止策の立案を行うため、2023年2月10日開催の取締役会において、当社との間に特段の利害関係のない社外の弁護士および公認会計士から構成される特別調査委員会の設置を決議し、同日より特別調査委員会による調査が開始されました。
 特別調査委員会による調査の結果、2019年3月期から2022年3月期までの期間、東日本事業部を含む複数の事業部において、作業が完了したにもかかわらず、計画値を上回った利益の一部を翌事業年度に繰り越すという不適切な会計処理が行われていたことが確認されました。
 具体的には、当社は契約案件ごとにWBSという管理番号を付与し、いわゆる工事進行基準(「収益認識に関する会計基準」における、一定の期間にわたり充足する履行義務に係る収益認識と概ね同義である。)を採用しております。しかし、今回発見された不適切会計では、予定していた金額よりも少ない発生原価で完了した案件において、作業完了時点で売上未計上であった金額について、本来、売上処理を行うべきところ、新たな枝番を発番したうえでその金額を翌事業年度に繰り越し、あたかも業務が進行中であるかのように見せかけ、売上および利益の先送りを行っていたというものです。
 この調査結果を受けて、当社は、影響を受ける過年度の決算を訂正するとともに、2019年3月期から2022年3月期の有価証券報告書および2021年3月期第1四半期から2023年3月期第2四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。

 
2.今回の事案の発生原因
2.1.不適切会計を行う動機

 当社では2016年8月、衛星事業部において原価を付け替えて資産計上する等の方法により利益を水増しする不適切会計が発覚いたしました。この背景には、事業部の実態に即さない形で策定された翌事業年度の目標計画数値の達成を強いるプレッシャーが当時の経営陣からありました。これを受けて、2017年度以降、翌事業年度の受注、売上、利益の目標数値は、各事業部が積み上げた数字を基に、本社管理部門で精査を行い、事業部と協議のうえで決定するようになりました。しかし、経営陣の了承のもと、申告に上乗せされた事業計画が本社管理部門から指示されていたこと、および別途の指示として期初の閑散期に労務費を計上するための案件の受注促進が求められていたことから、方針変更の意図が正しく伝わらず、また、経営陣が現場の状況を十分に理解していなかったため浸透が徹底されないまま、各事業部が、従前と同じような考え方で運営にあたっていたことが判明いたしました。
 さらに、各事業部では、比較的受注が少ない第1四半期において、受注案件に直接紐づかない間接労務費の発生が多くなると、本社管理部門から事業部運営の効率性が問われ、自部署の人員削減や部署縮小に繋げられるという警戒心が存在したため、事業年度末までに完了した案件を翌事業年度に繰り越そうとするという要因もありました。

 
2.2.各事業部において不正を行うことができた機会

 契約案件ごとに付与された管理番号(WBS)上は、予定していた金額よりも少ない発生原価で完了した案件について、本来作業完了時点で売上未計上であった金額に対して売上処理を行うべきところ、新たな枝番を発番したうえでその金額を翌事業年度に繰り越し、あたかも業務が進行中であるかのように、システム上も見せかけることが当該案件に係る技術者であれば、上長の承認を得ることなく可能になっておりました。
 当社では、3月納期の案件が多く、一部の契約案件においては納品後に成果品の差し替えや顧客の追加要望が発生する等、契約納期を越えて作業が発生する案件が少なからずあります。各事業部では、そのような案件については、正しい処理として、契約納期を越えた後も完了とせず、翌事業年度に繰り越しております。本社管理部門では、これまでの不適切会計を教訓に適切な原価計上、実行予算の適宜見直しを繰り返し各事業部に通達しており、適切な会計処理が行われているものと考えておりました。
 また、2016年度から2018年度頃にかけて、当社は収益性が悪かった背景もあり、利益の前倒し計上による不適切会計の懸念が高かったため、原価率に特異値が見られる案件のモニタリング、各事業部における工程会議の強化等、その対策に注力してまいりました。一方で、繰り越しを承認するための正式な手続が整備されていなかったこと等から各事業部の一部案件では、契約納期を越えて作業が発生しない案件を繰り越すこと等が行われておりました。

 
2.3.事業部側の不正の正当化理由

 当社では、2012年度頃から2016年度にかけて、本社管理部門から事業部に対して、利益目標数値の平準化や目標達成に向けた売上の促進が過度に要求されておりました。一方で、当社は主力業務が官公庁からの受注に依存しているため、比較的受注の少ない第1四半期には売上に貢献するための業務自体が少なく、本社管理部門の要求が依然として続いていると考えている各事業部にとっては、難しい課題となっておりました。
 このため各事業部では、「1.今回発生した事案を発見に至った経緯と委員会の立ち上げ」で示した手法によって、事業年度末までに完了した業務の利益の一部を翌事業年度に繰り越し、第1四半期の売上の確保、翌事業年度の利益の確保を行っていた事例が確認されました。また、東日本事業部等の部署では上長が不適切な繰り越しを指示していた事例も確認されました。
 各事業部では、利益目標数値を実績数値が大きく上回った場合、翌事業年度の利益目標数値は目標達成が困難な数値を要求されることを恐れ、利益目標数値は達成するものの大きく達成することは避けたいという心理が存在しました。このことも実際の利益を過少申告し、翌事業年度に繰り越すというコンプライアンス意識の低下を招いたものと考えます。
 また、長年同一部署で勤務し、固定化した上司と部下の関係が長く続くことでコンプライアンス意識が薄まる環境が醸成されていたことも判明いたしました。

 
3.開示すべき重要な不備

 当社では2016年8月、衛星事業部において原価を付け替えて資産計上する等の方法により利益を水増しする不適切会計が発覚いたしました。このため、不当な利益計上に対する対策、監視に注視し、内部通報制度の運用見直し、社員コンプライアンス教育の拡充等、対策を講じてまいりましたが、結果としてその対策が不十分であったことが発覚いたしました。
 今回の事案は、内部統制の評価範囲の中から生じたものであり、財務報告に重要な影響を及ぼすもののため、開示すべき重要な不備と認識いたしました。

 
3.1.案件の予算管理および売上計上に係る業務プロセスにおける不備

 これまで内部統制の評価手続を行う中で、案件の予算管理プロセスにおいては、作業実態に見合わない予算が登録されていないか、また、売上計上プロセスにおいては、売上完了計画日から遅延していないかモニタリングを行っておりました。しかしながら、上述のとおり、利益の繰り越しの処理を利用した不正が行われるリスクを過少に評価していたため、繰り越しの是非、承認方法、繰越し金額やそれに伴う証跡に関する基準等のルールが定められておりませんでした。結果、評価範囲は妥当であったと考えられるものの、今回の事案については、内部統制が一部適切に整備および運用されておりませんでした。

 
3.2.全社的な内部統制上の不備

 経営陣は、過去に発生した不適切会計は、衛星事業部など公共部門以外の事業部で起きたできごとの意識があり、公共部門ではこのようなことが起こらないと考えておりました。
 このため、全社的な内部統制において、経営陣の不正の撲滅、新たな不適切会計の発生を防ぐことや早期発見への意識の欠如(統制環境)、不正に関するリスクを検討する際に不適切な案件の繰り越しに関する検討の不足(リスクの評価と対応)、本社管理部門から各事業部に対して発信したメッセージの意図が正しく伝わらなかったこと(情報と伝達)等、これらに関する内部統制の整備状況及び運用状況が有効ではありませんでした。

 
4.再発防止策

 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、今回の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会からの提言を踏まえ、以下の再発防止策を講じて適正な内部統制の整備・運用を図ってまいります。

  1.経営陣の意識改革

不適切会計が行われてきた背景として、現場に対する業績達成のプレッシャーが過去の不適切会計の原因であることを経営陣が認識していたにもかかわらず、改善のための施策を打ったもののその確認が疎かなまま、現場は変わったと考えておりました。
現場の実態を熟慮することなく現場が正しく行動できるという前提の下に施策、指示を発信したことで現場との認識に乖離が生じたことが今回の不適切会計の根本原因と考えております。経営陣は現場の実態を理解したうえで、不適切会計はどの職場でも起こりうること、次に同様のことが起これば事業存続にかかわることを認識し、その決意をまず2023年度に開催する期初の全社ミーティングにおいて社長より現場に伝えて現場との意識の乖離を解消することを再発防止策の第一歩といたします。さらに、2023年度に予定されている階層別研修において今回の不適切会計を事例とした研修を実施し、社外ステークホルダーに対する会社の責任を正しく理解する場といたします。各研修の場には取締役も参画し、職場を離れたところで事業運営に対する社員の率直な意見に耳を傾け、経営陣と現場の相互理解を高め意思疎通を図ってまいります。経営陣が現場の悩み、疑問に直接向き合うことにより実情を反映した事業運営を実現してまいります。

 
  2.経営陣の意識が伝わるメッセージの発信

前回事案において、社内調査委員会による報告書で経営陣からの業績プレッシャーが原因として指摘されたことから、人事評価制度を改正し業績が全体評価に占める比率を低減することで現場に対する目標達成のプレッシャーを軽減する施策を進めてまいりましたが、その意図を充分に伝えきれておらず、上司の指示を絶対と捉える意識が残存しておりました。また、2018年度、本社管理部門に事業統括本部が設置され、事業計画を事業部の申告をベースとしたガイドライン扱いとし、数字の必達を求めないという方針に変更いたしましたが、経営陣の了承のもと、申告に上乗せされた事業計画が本社管理部門から指示されていたこと、および別途の指示として期初の閑散期に稼働を確保するための受注促進を求められていたことから方針変更の意図が正しく伝わらず、事業部では事業計画を達成すべき数字であるとの意識が残っていたと考えております。経営陣としては本社からの一方的な事業計画指示を出すことを取りやめ、事業部の意見に耳を傾けていたつもりでしたが、事業部の申告に加算した事業計画を示す理由を現場の納得を得るまで十分に議論できておりませんでした。現場が受け止める経営陣のメッセージを受け手の立場に立ってよく吟味し、経営陣と現場の意思疎通を円滑に行い、現場の理解が十分深まっていることを確認しながら事業運営のかじ取りを行う仕組みについて社員各層を交えて検討、整備し、2023年度下半期より開始予定といたします。

 
  3.現場発案による再発防止策の検討

過去事案での対策は、「コンプライアンス担当役員や内部統制主管部署といった本社管理部門主導で検討し、事業部に行わせた(上から下への)再発防止の指示」という側面もありました。今回の再発防止策の検討にあたっては、現実性・実効性の観点で現場の実情と乖離しないよう、現場従業員を検討に参画させる、または意見照会を行うことといたします。現場従業員は、再発防止策を検討するために適切な職位者・規模で選任いたします。なお、実施時期は、別記の再発防止策4・5・6・7(1)・7(2)における、各々の検討時期といたします。

 
  4.繰り越しのルールの明確化及びチェック体制の強化

売上計上プロセスにおいて売上の不適切な繰り越しを容易に行い得るものであり、かつ、不適切な繰り越しが発覚しづらいものでありました。また、繰り越しの可否や証跡に関する基準が未整備でした。これらへの対策として、繰り越すか否かの具体的な判断基準、繰り越す場合の処理プロセス、可否判断のための証跡基準等の「繰越しルール」の明確化と、上長承認および各事業部、事業統括本部および業務監査部による確認によって、繰り越しおよびその規模の妥当性をチェックする体制を、2023年度上半期に検討し、下半期からの運用を予定いたします。

 
  5.全ての役職員に意識や危機感を共有する研修の実施

不適切な会計処理を行う背景には、役職員が日々の業務とその結果の数字について、最終的には決算数値として株主等のステークホルダーに示す責務があるとの意識が乏しいことがあると考えております。不適切な会計処理につながる業務の逸脱が、会社の存続にかかわる重大事に直結するとの危機感を共有するための社員研修プログラムを、人事部および法務部が実施主体となり2023年度下半期以降、全社員に対して1年ごと定期的に実施いたします。

 
  6.人事異動の促進(人事の固定化の解消)

不適切な会計処理が行われた原因の一端として、長年同一部署で勤務し上司と部下の関係も固定化された組織運営が多くの部署で常態化していることから、個人評価を気にするあまり上司の不適切な業務指示に対して部下が意見できない雰囲気が存在したと考えております。この点は従前から打破すべき課題として事業統括本部と人事部の連携のもと役職者を中心に毎年度定期人事異動をかけてまいりましたが、在籍年数の長い社員を優先的に異動候補として検討するなどの対応にとどまっておりました。一層の計画的な人事ローテーションを2023年度下半期から開始するべく、一定のガイドラインを設け人事異動の促進に向けた実行プランを策定いたします。

 
  7.その他の再発防止策
   (1) 実行予算の見直し(モニタリングの強化)

適時に実行予算の見直しがなされておらず、予定していた金額よりも少ない発生原価で完了した案件について、本来、作業完了時点で売上未計上であった金額に対して売上処理を行うべきところ、利益を調整するために不適切な繰り越しを行っておりました。また、本社管理部門は、実行予算の見直しを指示するものの、モニタリングが不十分であり、見直し実施の確認ができておりませんでした。これらへの対策として、プロセスの簡略化や策定ルール・情報システム処理プロセスの見直しにより、効率化を図るとともに、見直し状況のモニタリング方法を、2023年度上半期に検討し、下半期からの運用を予定いたします。合わせて、原価管理システムの見直しは、大規模な投資が必要となることから、中期的に検討いたします。

   (2) 稟議等にかかるルールの見直し

稟議等のルールが煩雑であり、例えば追加原価が発生した場合に、改めて稟議に諮ることが必要とされているため、これら追加原価の振り替え先として不適切な繰り越しが発生しておりました。これらの対策として、事務量の軽減・簡略化を意図した稟議等にかかるルールの見直しを、2023年度上半期に検討し、下半期からの運用を予定いたします。

   (3) 決算期についての検討

決算時期は、不適切な繰り越しの直接的な原因ではないものの、充分なチェックを行う時間を確保することを目的として、業務繁忙期と異なる決算期への変更の要否について、2023年度上半期に検討いたします。

以上

付記事項

特記事項

監査法人 有限責任あずさ監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:-

備考

訂正内部統制報告書にて、第74期(2021年4月1日~2022年3月31日)の訂正を表明。
その他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第73期(2020年4月1日~2021年3月31日)1337
 第72期(2019年4月1日~2020年3月31日)1338
 第71期(2018年4月1日~2019年3月31日)1339

1340~1341
企業名 株式会社旅工房 市場 東証グロース
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。
 

 
 2022年2月4日に当社取締役会に対し、当社リスクコンプライアンス委員会より、Go Toトラベル事業給付金の受給を申請していた取引の一部に、宿泊等の実態がないために給付金の受給対象とならない可能性を否定できない取引が存在し、当該取引がなされるに至った経緯、当該取引への当社の関与の実態その他の事実関係について精査が必要となるとの報告を受け、調査委員会(以下「本件調査委員会」といいます。)を設置して事実関係の解明に向けた調査(以下「本件調査」といいます。)を進めてまいりました。
 本件調査委員会の調査報告書(以下「本件調査報告書」といいます。)では、当社においては、利得目的のために利用されたという可能性はあっても、少なくとも、自ら旅行商品の「不適切」な催行実態に加功し又は積極的に関与したとまでは認められておりませんでした。しかしながら、本件調査報告書では、本件旅行商品は、当該取引に関与した実質的に同一又は一体とみられる3社がGo Toトラベル事業給付金によって利得を得ようとした可能性が高い「不適切」なものであると評価されました
 これらの調査結果を踏まえ、当社は、売上高、売上原価及び受取補償金の訂正、貸倒引当金の計上等を行い、2021年3月期第3四半期以降の決算を訂正し、2021年3月期有価証券報告書及び2021年3月期第3四半期から2022年3月期第2四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。
 本件調査委員会の指摘に係る事実は、当社における法人向けの新規大口取引に対するリスク識別に関する全社的な内部統制の不備及び、給付金に関する業務プロセスの一部における各種申請、届出等の要件の確認手続きの不十分性といった不備に起因するものであると認識しております。これらの不備は財務報告に重要な影響を与えており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 しかしながら、外部機関より、本件調査の対象となった取引のうち売上計上に関する事実関係(資金循環の有無やその内容、当社の役員の関与又は認識等)について、より深度のある調査をすべきとの指摘がなされました。これを受けて、当社は当該事項についての事実関係の再検証が必要と判断し、検証委員会(以下「本件検証委員会」といいます。)を設置して事実関係の解明に向けた検証(以下「本件検証」といいます。)を進めてまいりました。
 本件検証委員会の検証報告書(以下「本件検証報告書」といいます。)では、調査の対象となった旅行商品の販売取引が、役務提供の相手方ではないGoToトラベル事業給付金事務局からGoToトラベル事業給付金の支給を受けることのみを目的とした資金循環取引であり、かつ、当該旅行商品の売上が計上された2021年3月期の第3四半期報告書及び有価証券報告書が提出された時点において、高山泰仁元代表取締役会長兼社長(以下「高山元社長」といいます。)及びCFOを含む2名の元取締役は、当社を起点とする資金循環を認識し、又はこれに関与していたと評価され、当社は、少なくとも資金循環取引による売上の過大計上という側面では、スキームのなかで唯一資金負担リスクを負って資金循環取引を行っている以上、スキーム全体でまさに中心的な役割を担って資金循環取引に加担したとの評価は免れないと評価されました。
 これらの検証結果を踏まえ、当社は、2021年3月期有価証券報告書及び2021年3月期第3四半期から2022年3月期第2四半期までの四半期報告書の訂正報告書について訂正報告書を提出しました。
 Go Toトラベル事業給付金の給付を目的とした資金循環取引による売上の過大計上が発生した事実や早期に是正されなかった事実は、業務執行取締役における上場会社の役員として最低限備えておくべき基礎的な会計知識や感度の不足、CFO及び管理部門の業務分掌及びその運用に関する不備、事後対応における経営陣の不誠実な開示姿勢に起因するものと認識しております。
 なお、上記事実関係は、当連結会計年度末日後に判明したため、当該開示すべき重要な不備を当連結会計年度末日までに是正することができませんでした。
 上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、全て財務諸表及び連結財務諸表に反映しております。
 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、本件調査委員会及び本件検証委員会の指摘・提言を踏まえ、以下の再発防止策を講じております。
 
 当社における再発防止策
 1.本件調査報告書の指摘・提言を踏まえた再発防止策
 (1)法人向け新規大口取引に対するリスク識別手続きの改善

 一定金額以上の見積りを法人顧客に提出する際は、その内容や特殊性についての事前の検討及びその受注可否の判断をリスクコンプライアンス委員会への付議事項とする旨を、リスク管理規程及び職務権限規程に追加いたしました。再発防止策の整備の一部は完了いたしましたが、当事業年度の末日までに十分な期間がなく、整備状況及び運用状況の評価は完了しませんでした。

 
 (2)各種申請、届出等の要件の確認手続きの改善

 補助金、給付金等を含め、行政当局に対する申請、届出、申出等によるものについては、あらかじめその要件を確認して関係者に周知させたうえ、個別の申請等又は申請等に係る個別の取引を行うにあたって、要件を充足しているか否かを複数の担当者又は部署において検証するプロセスを整備いたしました。再発防止策の整備の一部は完了いたしましたが、当事業年度の末日までに十分な期間がなく、整備状況及び運用状況の評価は完了しませんでした。

 
2.本件検証報告書の指摘・提言を踏まえた再発防止策
(1) 経営責任の明確化
 本件資金循環取引に関与した取締役3名のうち、CFOを含む2名の取締役は前期(2022年3月期)に既に退任しており、高山元社長についても、検証委員会の報告を受け、取締役を辞任したい旨の申し出があり、当社はこれを受理しております。新しい代表取締役社長には、コーポレート部門出身であり、本件資金循環取引の懸念点を当時のCFOに相談するなどしていた、岩田静絵が就任いたしました。
 
(2) 指名・報酬委員会設置
 取締役の指名・報酬等に関する手続きの客観性・透明性を確保するために、任意の指名・報酬委員会設置に向けた規程案を取締役会において決議いたしました。次回2023年6月に予定されている定時株主総会では、この指名・報酬委員会の答申を得た取締役候補を提案する方針です。また、その報酬額においても、同委員会の答申を得たものとすることを念頭においております。
 
(3) 経営幹部の会計リテラシーと会計不正リスク感度の向上
 当社の会計監査人、他の監査法人、アドバイザリー会社が開催しているセミナー等の知見を獲得する機会について、コーポレート部門にて広く情報収集し、執行役員以上の経営幹部は、少なくとも半期に一度を目安にセミナー等を受講し、また、そのようなセミナー等を受講した役職員が、受講しなかった役職員に対して情報共有するための機会を設定するようにいたします。
 
(4) CFO(コーポレート管掌取締役)の職責の限定
 当社のコーポレート管掌取締役が所管する範囲が広範囲に及ぶため、2023年6月開催予定の定時株主総会において、コーポレート企画、IR、人事を新しく選任する取締役に委譲し、2023年9月までに法務・コンプライアンスを所管するスキルとリテラシーのある執行役員クラスの人材を採用する予定です。営業サポートに関しては、営業部門に移設することで、コーポレート管掌取締役の直接的な所管範囲を財務、営業経理、経理に限定します。
 
(5) 監査法人との連携の強化
 現在の会計監査人とのコミュニケーションは、半期に1回の経営者ディスカッション(代表取締役、財務管掌取締役)及び営業部門取締役ヒアリング、四半期毎のCFOヒアリング(財務管掌取締役)、その他経理財務の実務担当者との会計監査の中で、主に前四半期会計監査の中で課題認識されたことや不正に対する意識などにフォーカスした議論を行っておりましたが、これらに加えて、取締役会で決議される金額の重要性が高い与信設定の取引や、過去の取引とは異質の新規の取引などの当四半期で新たに発生した議題にフォーカスしたディスカッションを四半期毎に行うようにいたします。
 
(6) 営業部門とコーポレート部門の職務分掌の運用徹底
 コーポレート部門の従業員に対して営業部門の業務を行っていないかに関するヒアリングを内部監査部門が四半期毎に行うと共に、コーポレート部門及び営業部門の従業員に対する啓蒙を行ってまいります。
 

以上

付記事項

特記事項

監査法人 EY新日本有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:-
内部統制監査:-

備考

訂正内部統制報告書にて、第28期(2021年4月1日~2022年3月31日)の訂正を表明。下線が訂正箇所。
その他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第27期(2020年4月1日~2021年3月31日)1341

1342~1343
企業名 株式会社ヤマザワ 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な不備であると捉え、当事業年度末時点における当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断した。
 

 
 当社は2023年2月期の決算業務の過程において、過去の関係会社株式の評価に誤りがあることが判明したため、過去の決算の修正をするとともに、2021年2月期及び2022年2月期の有価証券報告書について訂正報告書を提出した。
 当社では、買収にあたり、連結上資産再評価した子会社に係る株式評価において、買収時の評価差額及び買収後の会計処理を実質価額の算定に反映していなかったため上記の誤りが発生した。
 よって、当社はこの関係会社株式の評価に関する決算・財務報告プロセスの内部統制に不備があったと判断した。
 また、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなったことから、開示すべき重要な不備に該当すると判断した。
 上記の不備については、判明が当該事業年度の末日以降であったため、当該事業年度の末日までに是正できていない。
 当社としては財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、開示すべき重要な不備を是正するため決算・財務報告プロセスにおける関係会社株式の評価に関する経理業務の内部統制の整備及び運用を図り、財務報告の信頼性を確保していく方針である。

付記事項

特記事項

監査法人 EY新日本有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:-
内部統制監査:-

備考

訂正内部統制報告書にて、第60期(2021年3月1日~2022年2月28日)の訂正を表明。
その他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第59期(2020年3月1日~2021年2月28日)1343

1344~1346
企業名 株式会社ツガミ 市場 東証プライム
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

 
 当社と子会社との間の一部の取引において、有償支給取引が行われており、収益認識に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第30号)に照らすと当社の財務諸表の売上高が二重に計上されていることが判明しました。これにより、過年度の決算を訂正するとともに、2020年3月期から2022年3月期までの有価証券報告書について、訂正報告書を提出いたしました。
 上記の誤りは、有償支給取引に係る会計処理に関して、当社の当該取引に係る認識が十分でなかったことに起因しており、当社の財務諸表作成に係る決算・財務報告プロセスに関する内部統制において、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 上記の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備につきましては、当該事項の判明が当事業年度の末日後であったため、当事業年度の末日までに是正することができませんでした。また、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、すべて財務諸表に反映いたしました。
 当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、決算・財務報告プロセスにおいて、有償支給取引に係る会計処理の手続きの整備・運用を行い、財務報告の信頼性を確保していく方針であります。

付記事項

特記事項

監査法人 EY新日本有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:-

備考

訂正内部統制報告書にて、第119期(2021年4月1日~2022年3月31日)の訂正を表明。
その他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第118期(2020年4月1日~2021年3月31日)1345
 第117期(2019年4月1日~2020年3月31日)1346

1347
企業名 株式会社バリューゴルフ 市場 東証グロース
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすことになり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当連結会計年度の末日時点における当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断しました。
 

 
 当社は、連結子会社である株式会社産経旅行(以下「産経旅行」という)に対する内部監査手続において、不適切な取引が行われていることが判明したため、本事案の事実関係の確認、類似事案の有無の確認等を行うために、弁護士・公認会計士による外部調査チームを組成し調査を行いました。外部調査チームによる調査の結果、産経旅行の従業員(以下「当該従業員」という)による資金着服及びこの発覚を遅らせるための架空取引の計上等の事実が判明しました。外部調査チームの調査結果に伴い、当社は、影響のある過年度の決算を訂正するとともに、2020年1月期の有価証券報告書、2021年1月期の有価証券報告書及び四半期報告書、2022年1月期の有価証券報告書及び四半期報告書、2023年1月期第2四半期までの四半期報告書について、訂正報告書を提出することにしました。
 外部調査チームの調査結果において、取引先預金口座が当該従業員の管理下にあったという特殊事情が本事案発生の主要因と分析されておりますが、当社は、本事案が長期にわたり発見・是正されなかった背景に、不正の発生可能性に関する当社グループの感度が十分でなく、業績や業務執行のモニタリングを含む、当社による子会社管理、産経旅行本社による支店管理が有効に機能していなかった点があると考えております。また、受注時に得意先への確認が十分行われていないという業務処理統制の不備も、架空取引の計上を許した一因と考えております。これらの不備は財務報告に重要な影響を与えており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 上記の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備が、当連結会計年度の末日までに是正されなかった理由は、外部調査チームから調査報告書を受理した2022年12月9日から当連結会計年度の末日までに、再発防止策を整備し運用する期間を十分確保できなかったためです。
 なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、全て財務諸表及び連結財務諸表に反映しております。当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、主に以下の再発防止策を講じてまいります。
 
(1)企業不祥事等の研修・教育を実施し内部統制の重要性を再認識する

 リスク感度を高め不祥事を防止できる企業風土を醸成するために、当社グループ全役職員向けの講義形式の研修と、外部講師を招いた幹部候補生向けのディスカッション形式の研修を実施いたしました。これらの研修を引き続き定期的に開催していくとともに、当社グループ全役職員向けの教育体制を充実させてまいります。

(2)内部通報制度の周知徹底、通報窓口を強化し相互監視体制の強化を行う

 内部通報制度を有効に機能させるために、内部通報窓口の設置を行い当社グループの役職員に対して周知を行いました。内部通報制度及び内部相談窓口の活用事例等の周知し、効果的な相互監視体制の強化を進めてまいります。

(3)受注業務プロセスにおける管理体制を強化し売上計上の適格性を確保する

 受注業務プロセスにおいて、対応する仕入に伴う現金支出が顧客からの入金に先行する取引を受注する際には、その都度事前承認手続を要求する業務プロセスを新設いたしました。売上計上の適格性を確保しつつ、さらなる有効性と効率性を高めるために引き続き業務プロセスの改善に取り組んでまいります。

(4)取引の与信管理業務について重点的・実効的な強化を行い取引の実在性を確保する

 支払業務プロセスにおいて、取引の実在性の確認を強化するための業務プロセスの変更を行いました。取引の実在性を確保しつつ、さらなる有効性と効率性を高めるために引き続き業務プロセスの改善に取り組んでまいります。

 

以上

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 あかり監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考
1348
企業名 新都ホールディングス株式会社 市場 東証スタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 当社は、当事業年度において、経理部門の主要メンバーの退職を受け、新たな経理メンバーが中心となり、経理・決算業務を行ってまいりましたが、退職者との引継ぎが十分に行えなかったことに加え、人員の補充も十分でなかったことから、当初想定した決算スケジュール通りに業務が実行できず、決算確定作業や監査対応に時間を要した上に、決算開示内容を一部訂正するなどの事態も生じました。
 これらのことから、当社の経理体制や連結決算体制は、今回のようなリスクにも対応し、速やかで確実な決算事務が遂行可能な体制となっておらず、決算・財務報告プロセスの改善が必要であると認識致しました。これは、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 当事業年度の末日までに当該内部統制の不備が是正されなかった理由は、当該重要な不備の判明が当事業年度末日後になったためです。
 当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、適正な管理体制を整えるべく、専門家の配置や人員の補強等を実施し、有効な決算・財務報告プロセスを構築してまいる所存であります。
 なお、上記開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、すべて連結財務諸表に反映しております。

付記事項

該当事項はありません

特記事項

該当事項はありません

監査法人 監査法人アリア 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考

重要な手続きが実施できないと表明した企業

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