2023年4月1日以降、4月30日までに公表された内部統制報告書について、「有効である」という結論以外となる報告書を提出した企業及びその内容は次のようになっています。
№ | 1331~1332 | ||
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企業名 | サムティ株式会社 | 市場 | 東証プライム |
その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な不備であると捉え、当事業年度末時点における当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。 記 ① 会計倫理の向上 ・「透明性の高い取引先との間の透明性の高い取引により正しく稼ぐ」ことを基本とする経営トップによる「会計コンプライアンス」宣言の発出 ・業績達成にとどまらない、ステークホルダーに対する公正透明な取引遂行の意識徹底 ・役職員全員参加による社員教育の実施及び徹底による、上場企業に求められる高度な会計倫理の醸成 ② 業務管理態勢の強化 ・取引先の属性や契約条件の評価体制の再構築 ・経理部門の人材の拡充及び牽制機能の強化 ③ 深度あるリスク評価を可能とする態勢再構築・業務運営 ・財務報告に重要な影響を与える事象に関する社内外とのコミュニケーションの強化 ・財務報告に重要な影響を与える事象にかかる取引の妥当性検証態勢の構築 ・取締役会等における決定方針に従った運営の徹底 ④ 内部統制・モニタリング機能の強化 ・社外取締役を含む取締役への更なる情報開示及び監査等委員会の監督機能の確立 ・内部監査部門の独立性・客観性の担保及び深度ある内部監査の実施 |
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付記事項 | 該当事項はありません。 |
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特記事項 | 該当事項はありません。 |
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監査法人 | EY新日本有限責任監査法人 | 監査意見 | 財務諸表監査:限定付適正 |
備考 | 上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。 |
№ | 1333~1335 | ||
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企業名 | 株式会社ヤシマキザイ | 市場 | 東証スタンダード |
その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。 記 ・営業担当者によって販売先からの受注に基づく発注の一部を、本来紐づけるべき受注ではない別の受注に紐づけるといった原価の付け替えが発生するリスクに対して、これを低減する統制として営業担当者が販売先から受領した注文書等に基づき販売システムに受発注情報を登録し、営業担当者の上長の承認を経て、調達部門に発注依頼を行う際、管理職が営業担当者である場合に自己承認を不可とする承認経路、営業部門が仕入先からの見積書等の内容と販売先からの注文書等の内容について品名、仕様、数量等の整合性を確認する手続、及び調達部門が発注段階で当該整合性を確認する手続が整備できていなかったこと。 ・営業部門は一部の販売先において受領確認等の検収情報が翌月末に届く等の事情により、必ずしも検収情報を適時に得ることがかなわないことがある。 これにより販売先が当社に対する仕入債務を認識する時点と当社が販売先に対して営業債権を認識する時点が異なるといった売上計上の期間帰属の適切性に関するリスクに対して、これを低減する統制の一部として販売先が債務認識した時期を示す証憑種類等を販売先別にリスト化し、営業部門において売上計上時期が当該リストにある証憑種類等に基づくことを照合確認する手続を整備できていなかったこと。 ・上記売上計上の期間帰属の適切性に関するリスクに対する統制として、システム上の売上データと売上計上時期を示す根拠を営業担当者が照合し、営業部門の上長がこれを承認するという売上計上の期間帰属の適切性に関する統制が有効に運用できていなかったこと。 1.行動規範、コンプライアンスガイドラインの周知の再徹底 ・経営陣による一般社員及び管理職向けの研修(2023年3月実施済み) ・内部統制委員会、顧問弁護士による研修(2024年3月期以降継続実施) 2.遵守すべき法令やルールの教育 ・内部統制委員会による研修(2023年1月実施済み、2024年3月期以降継続実施) 3.営業担当者(課長職含む)の教育の徹底 ・内部統制委員会による営業担当者向けの研修(2024年3月期以降継続実施) 4.内部監査の監査内容改善と結果の情報共有、社内周知の仕組みの構築 ・内部監査結果の全部門周知と類似事案の検証(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続運用) ・経営会議や取締役会、コンプライアンス・リスク管理委員会への内部監査結果の適時共有のフロー整備(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続運用) ・内部監査手続きとして本件調査で行ったデータアプローチ検証の導入(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続運用) 5.内部監査結果に対する評価基準の厳格化 ・不適切な会計処理等に対する評価基準における金額的重要性の排除(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続運用) 6.人事評価制度面からの内部統制の強化とコンプライアンス意識向上の支援 ・人事評価制度の「全社目標」において「内部統制とコンプライアンスの強化」を追加(2024年3月期期首に追加) 7.受発注登録の承認プロセスの見直し(購買プロセスにおける開示すべき重要な不備への対応) ・受注登録の承認プロセスの改善として、一切の自己承認を不可とするため、営業担当者の上長の承認を経る承認経路のシステム改修(2024年3月期第2四半期末までに実施) ・発注登録の承認プロセスの改善として、営業部門及び調達部門による受注情報との整合性チェック(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続運用) 8.売上計上に関する防止的・発見的統制の強化(販売プロセスにおける開示すべき重要な不備への対応) ・販売先別の債務認識時期を示す証憑種類等のリストに基づく照合確認手続を整備するとともに、債権債務の残高確認実施の頻度を年2回から4回へ引き上げ(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続運用) ・販売先が債務認識した時期を示す証憑種類等を販売先別にリスト化し、当該リストを用いて営業担当者が照合し、営業部門の上長が承認(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続運用) 9.内部通報制度の実効性確保 ・経営陣による一般社員及び管理職向けの研修での制度説明(2023年3月実施済み) ・内部統制委員会による研修での制度説明(2024年3月期以降継続実施) 10.コンプライアンス・リスク管理委員会によるリスク評価と周知 ・コンプライアンス・リスク管理委員会による取引種類ごとに不適切会計につながるリスクと当該リスクへの対応パターンを整理した「取引先対応に関する基本方針」の策定(2024年3月期第1四半期末までに整備、以降継続更新) ・上記基本方針を踏まえた営業部門の業務マニュアル等の作成(2024年3月期第2四半期末までに作成) |
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付記事項 | 2023年4月4日に提出いたしました第77期(自 2020年4月1日 至2021年3月31日)内部統制報告書の訂正報告書において、2021年3月31日時点において、開示すべき重要な不備を識別し、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断しましたが、当該開示すべき重要な不備の識別が当事業年度末日以降となったため、当事業年度末日までに是正することができておりません。 |
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特記事項 | - |
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監査法人 | 有限責任監査法人トーマツ | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
備考 | 訂正内部統制報告書にて、第78期(2021年4月1日~2022年3月31日)の訂正を表明。 |
№ | 1336~1339 | ||
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企業名 | 株式会社パスコ | 市場 | 東証スタンダード |
その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。 記 当社の東日本事業部において、当社社員から、請負契約に関する利益を本来計上すべき事業年度から翌事業年度に不適切に先送りしていることに関する情報が寄せられ、社内調査を実施いたしました結果、2021年3月期および2022年3月期において、請負契約に係る作業が事業年度末までに完了していた案件について利益の一部を翌事業年度に先送りするという、不適切な会計処理が行われていたことが確認されました。
これを受けて、当社は、調査の独立性を確保し専門的かつ客観的な見地からの調査および再発防止策の立案を行うため、2023年2月10日開催の取締役会において、当社との間に特段の利害関係のない社外の弁護士および公認会計士から構成される特別調査委員会の設置を決議し、同日より特別調査委員会による調査が開始されました。 特別調査委員会による調査の結果、2019年3月期から2022年3月期までの期間、東日本事業部を含む複数の事業部において、作業が完了したにもかかわらず、計画値を上回った利益の一部を翌事業年度に繰り越すという不適切な会計処理が行われていたことが確認されました。 具体的には、当社は契約案件ごとにWBSという管理番号を付与し、いわゆる工事進行基準(「収益認識に関する会計基準」における、一定の期間にわたり充足する履行義務に係る収益認識と概ね同義である。)を採用しております。しかし、今回発見された不適切会計では、予定していた金額よりも少ない発生原価で完了した案件において、作業完了時点で売上未計上であった金額について、本来、売上処理を行うべきところ、新たな枝番を発番したうえでその金額を翌事業年度に繰り越し、あたかも業務が進行中であるかのように見せかけ、売上および利益の先送りを行っていたというものです。 この調査結果を受けて、当社は、影響を受ける過年度の決算を訂正するとともに、2019年3月期から2022年3月期の有価証券報告書および2021年3月期第1四半期から2023年3月期第2四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。 当社では2016年8月、衛星事業部において原価を付け替えて資産計上する等の方法により利益を水増しする不適切会計が発覚いたしました。この背景には、事業部の実態に即さない形で策定された翌事業年度の目標計画数値の達成を強いるプレッシャーが当時の経営陣からありました。これを受けて、2017年度以降、翌事業年度の受注、売上、利益の目標数値は、各事業部が積み上げた数字を基に、本社管理部門で精査を行い、事業部と協議のうえで決定するようになりました。しかし、経営陣の了承のもと、申告に上乗せされた事業計画が本社管理部門から指示されていたこと、および別途の指示として期初の閑散期に労務費を計上するための案件の受注促進が求められていたことから、方針変更の意図が正しく伝わらず、また、経営陣が現場の状況を十分に理解していなかったため浸透が徹底されないまま、各事業部が、従前と同じような考え方で運営にあたっていたことが判明いたしました。
さらに、各事業部では、比較的受注が少ない第1四半期において、受注案件に直接紐づかない間接労務費の発生が多くなると、本社管理部門から事業部運営の効率性が問われ、自部署の人員削減や部署縮小に繋げられるという警戒心が存在したため、事業年度末までに完了した案件を翌事業年度に繰り越そうとするという要因もありました。 契約案件ごとに付与された管理番号(WBS)上は、予定していた金額よりも少ない発生原価で完了した案件について、本来作業完了時点で売上未計上であった金額に対して売上処理を行うべきところ、新たな枝番を発番したうえでその金額を翌事業年度に繰り越し、あたかも業務が進行中であるかのように、システム上も見せかけることが当該案件に係る技術者であれば、上長の承認を得ることなく可能になっておりました。
当社では、3月納期の案件が多く、一部の契約案件においては納品後に成果品の差し替えや顧客の追加要望が発生する等、契約納期を越えて作業が発生する案件が少なからずあります。各事業部では、そのような案件については、正しい処理として、契約納期を越えた後も完了とせず、翌事業年度に繰り越しております。本社管理部門では、これまでの不適切会計を教訓に適切な原価計上、実行予算の適宜見直しを繰り返し各事業部に通達しており、適切な会計処理が行われているものと考えておりました。 また、2016年度から2018年度頃にかけて、当社は収益性が悪かった背景もあり、利益の前倒し計上による不適切会計の懸念が高かったため、原価率に特異値が見られる案件のモニタリング、各事業部における工程会議の強化等、その対策に注力してまいりました。一方で、繰り越しを承認するための正式な手続が整備されていなかったこと等から各事業部の一部案件では、契約納期を越えて作業が発生しない案件を繰り越すこと等が行われておりました。 当社では、2012年度頃から2016年度にかけて、本社管理部門から事業部に対して、利益目標数値の平準化や目標達成に向けた売上の促進が過度に要求されておりました。一方で、当社は主力業務が官公庁からの受注に依存しているため、比較的受注の少ない第1四半期には売上に貢献するための業務自体が少なく、本社管理部門の要求が依然として続いていると考えている各事業部にとっては、難しい課題となっておりました。
このため各事業部では、「1.今回発生した事案を発見に至った経緯と委員会の立ち上げ」で示した手法によって、事業年度末までに完了した業務の利益の一部を翌事業年度に繰り越し、第1四半期の売上の確保、翌事業年度の利益の確保を行っていた事例が確認されました。また、東日本事業部等の部署では上長が不適切な繰り越しを指示していた事例も確認されました。 各事業部では、利益目標数値を実績数値が大きく上回った場合、翌事業年度の利益目標数値は目標達成が困難な数値を要求されることを恐れ、利益目標数値は達成するものの大きく達成することは避けたいという心理が存在しました。このことも実際の利益を過少申告し、翌事業年度に繰り越すというコンプライアンス意識の低下を招いたものと考えます。 また、長年同一部署で勤務し、固定化した上司と部下の関係が長く続くことでコンプライアンス意識が薄まる環境が醸成されていたことも判明いたしました。 当社では2016年8月、衛星事業部において原価を付け替えて資産計上する等の方法により利益を水増しする不適切会計が発覚いたしました。このため、不当な利益計上に対する対策、監視に注視し、内部通報制度の運用見直し、社員コンプライアンス教育の拡充等、対策を講じてまいりましたが、結果としてその対策が不十分であったことが発覚いたしました。
今回の事案は、内部統制の評価範囲の中から生じたものであり、財務報告に重要な影響を及ぼすもののため、開示すべき重要な不備と認識いたしました。 これまで内部統制の評価手続を行う中で、案件の予算管理プロセスにおいては、作業実態に見合わない予算が登録されていないか、また、売上計上プロセスにおいては、売上完了計画日から遅延していないかモニタリングを行っておりました。しかしながら、上述のとおり、利益の繰り越しの処理を利用した不正が行われるリスクを過少に評価していたため、繰り越しの是非、承認方法、繰越し金額やそれに伴う証跡に関する基準等のルールが定められておりませんでした。結果、評価範囲は妥当であったと考えられるものの、今回の事案については、内部統制が一部適切に整備および運用されておりませんでした。
経営陣は、過去に発生した不適切会計は、衛星事業部など公共部門以外の事業部で起きたできごとの意識があり、公共部門ではこのようなことが起こらないと考えておりました。
このため、全社的な内部統制において、経営陣の不正の撲滅、新たな不適切会計の発生を防ぐことや早期発見への意識の欠如(統制環境)、不正に関するリスクを検討する際に不適切な案件の繰り越しに関する検討の不足(リスクの評価と対応)、本社管理部門から各事業部に対して発信したメッセージの意図が正しく伝わらなかったこと(情報と伝達)等、これらに関する内部統制の整備状況及び運用状況が有効ではありませんでした。 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、今回の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会からの提言を踏まえ、以下の再発防止策を講じて適正な内部統制の整備・運用を図ってまいります。
1.経営陣の意識改革 不適切会計が行われてきた背景として、現場に対する業績達成のプレッシャーが過去の不適切会計の原因であることを経営陣が認識していたにもかかわらず、改善のための施策を打ったもののその確認が疎かなまま、現場は変わったと考えておりました。
現場の実態を熟慮することなく現場が正しく行動できるという前提の下に施策、指示を発信したことで現場との認識に乖離が生じたことが今回の不適切会計の根本原因と考えております。経営陣は現場の実態を理解したうえで、不適切会計はどの職場でも起こりうること、次に同様のことが起これば事業存続にかかわることを認識し、その決意をまず2023年度に開催する期初の全社ミーティングにおいて社長より現場に伝えて現場との意識の乖離を解消することを再発防止策の第一歩といたします。さらに、2023年度に予定されている階層別研修において今回の不適切会計を事例とした研修を実施し、社外ステークホルダーに対する会社の責任を正しく理解する場といたします。各研修の場には取締役も参画し、職場を離れたところで事業運営に対する社員の率直な意見に耳を傾け、経営陣と現場の相互理解を高め意思疎通を図ってまいります。経営陣が現場の悩み、疑問に直接向き合うことにより実情を反映した事業運営を実現してまいります。 前回事案において、社内調査委員会による報告書で経営陣からの業績プレッシャーが原因として指摘されたことから、人事評価制度を改正し業績が全体評価に占める比率を低減することで現場に対する目標達成のプレッシャーを軽減する施策を進めてまいりましたが、その意図を充分に伝えきれておらず、上司の指示を絶対と捉える意識が残存しておりました。また、2018年度、本社管理部門に事業統括本部が設置され、事業計画を事業部の申告をベースとしたガイドライン扱いとし、数字の必達を求めないという方針に変更いたしましたが、経営陣の了承のもと、申告に上乗せされた事業計画が本社管理部門から指示されていたこと、および別途の指示として期初の閑散期に稼働を確保するための受注促進を求められていたことから方針変更の意図が正しく伝わらず、事業部では事業計画を達成すべき数字であるとの意識が残っていたと考えております。経営陣としては本社からの一方的な事業計画指示を出すことを取りやめ、事業部の意見に耳を傾けていたつもりでしたが、事業部の申告に加算した事業計画を示す理由を現場の納得を得るまで十分に議論できておりませんでした。現場が受け止める経営陣のメッセージを受け手の立場に立ってよく吟味し、経営陣と現場の意思疎通を円滑に行い、現場の理解が十分深まっていることを確認しながら事業運営のかじ取りを行う仕組みについて社員各層を交えて検討、整備し、2023年度下半期より開始予定といたします。
過去事案での対策は、「コンプライアンス担当役員や内部統制主管部署といった本社管理部門主導で検討し、事業部に行わせた(上から下への)再発防止の指示」という側面もありました。今回の再発防止策の検討にあたっては、現実性・実効性の観点で現場の実情と乖離しないよう、現場従業員を検討に参画させる、または意見照会を行うことといたします。現場従業員は、再発防止策を検討するために適切な職位者・規模で選任いたします。なお、実施時期は、別記の再発防止策4・5・6・7(1)・7(2)における、各々の検討時期といたします。
売上計上プロセスにおいて売上の不適切な繰り越しを容易に行い得るものであり、かつ、不適切な繰り越しが発覚しづらいものでありました。また、繰り越しの可否や証跡に関する基準が未整備でした。これらへの対策として、繰り越すか否かの具体的な判断基準、繰り越す場合の処理プロセス、可否判断のための証跡基準等の「繰越しルール」の明確化と、上長承認および各事業部、事業統括本部および業務監査部による確認によって、繰り越しおよびその規模の妥当性をチェックする体制を、2023年度上半期に検討し、下半期からの運用を予定いたします。
不適切な会計処理を行う背景には、役職員が日々の業務とその結果の数字について、最終的には決算数値として株主等のステークホルダーに示す責務があるとの意識が乏しいことがあると考えております。不適切な会計処理につながる業務の逸脱が、会社の存続にかかわる重大事に直結するとの危機感を共有するための社員研修プログラムを、人事部および法務部が実施主体となり2023年度下半期以降、全社員に対して1年ごと定期的に実施いたします。
不適切な会計処理が行われた原因の一端として、長年同一部署で勤務し上司と部下の関係も固定化された組織運営が多くの部署で常態化していることから、個人評価を気にするあまり上司の不適切な業務指示に対して部下が意見できない雰囲気が存在したと考えております。この点は従前から打破すべき課題として事業統括本部と人事部の連携のもと役職者を中心に毎年度定期人事異動をかけてまいりましたが、在籍年数の長い社員を優先的に異動候補として検討するなどの対応にとどまっておりました。一層の計画的な人事ローテーションを2023年度下半期から開始するべく、一定のガイドラインを設け人事異動の促進に向けた実行プランを策定いたします。
適時に実行予算の見直しがなされておらず、予定していた金額よりも少ない発生原価で完了した案件について、本来、作業完了時点で売上未計上であった金額に対して売上処理を行うべきところ、利益を調整するために不適切な繰り越しを行っておりました。また、本社管理部門は、実行予算の見直しを指示するものの、モニタリングが不十分であり、見直し実施の確認ができておりませんでした。これらへの対策として、プロセスの簡略化や策定ルール・情報システム処理プロセスの見直しにより、効率化を図るとともに、見直し状況のモニタリング方法を、2023年度上半期に検討し、下半期からの運用を予定いたします。合わせて、原価管理システムの見直しは、大規模な投資が必要となることから、中期的に検討いたします。
(2) 稟議等にかかるルールの見直し 稟議等のルールが煩雑であり、例えば追加原価が発生した場合に、改めて稟議に諮ることが必要とされているため、これら追加原価の振り替え先として不適切な繰り越しが発生しておりました。これらの対策として、事務量の軽減・簡略化を意図した稟議等にかかるルールの見直しを、2023年度上半期に検討し、下半期からの運用を予定いたします。
(3) 決算期についての検討 決算時期は、不適切な繰り越しの直接的な原因ではないものの、充分なチェックを行う時間を確保することを目的として、業務繁忙期と異なる決算期への変更の要否について、2023年度上半期に検討いたします。
以上 |
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付記事項 | - |
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特記事項 | - |
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監査法人 | 有限責任あずさ監査法人 | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
備考 | 訂正内部統制報告書にて、第74期(2021年4月1日~2022年3月31日)の訂正を表明。 |
№ | 1340~1341 | ||
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企業名 | 株式会社旅工房 | 市場 | 東証グロース |
その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。 記 一定金額以上の見積りを法人顧客に提出する際は、その内容や特殊性についての事前の検討及びその受注可否の判断をリスクコンプライアンス委員会への付議事項とする旨を、リスク管理規程及び職務権限規程に追加いたしました。再発防止策の整備の一部は完了いたしましたが、当事業年度の末日までに十分な期間がなく、整備状況及び運用状況の評価は完了しませんでした。
補助金、給付金等を含め、行政当局に対する申請、届出、申出等によるものについては、あらかじめその要件を確認して関係者に周知させたうえ、個別の申請等又は申請等に係る個別の取引を行うにあたって、要件を充足しているか否かを複数の担当者又は部署において検証するプロセスを整備いたしました。再発防止策の整備の一部は完了いたしましたが、当事業年度の末日までに十分な期間がなく、整備状況及び運用状況の評価は完了しませんでした。
以上 |
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付記事項 | - |
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特記事項 | - |
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監査法人 | EY新日本有限責任監査法人 | 監査意見 | 財務諸表監査:- |
備考 | 訂正内部統制報告書にて、第28期(2021年4月1日~2022年3月31日)の訂正を表明。下線が訂正箇所。 |
№ | 1342~1343 | ||
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企業名 | 株式会社ヤマザワ | 市場 | 東証スタンダード |
その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な不備であると捉え、当事業年度末時点における当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断した。 記 |
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付記事項 | - |
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特記事項 | - |
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監査法人 | EY新日本有限責任監査法人 | 監査意見 | 財務諸表監査:- |
備考 | 訂正内部統制報告書にて、第60期(2021年3月1日~2022年2月28日)の訂正を表明。 |
№ | 1344~1346 | ||
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企業名 | 株式会社ツガミ | 市場 | 東証プライム |
その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすものであり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。 記 |
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付記事項 | - |
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特記事項 | - |
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監査法人 | EY新日本有限責任監査法人 | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
備考 | 訂正内部統制報告書にて、第119期(2021年4月1日~2022年3月31日)の訂正を表明。 |
№ | 1347 | ||
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企業名 | 株式会社バリューゴルフ | 市場 | 東証グロース |
その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすことになり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当連結会計年度の末日時点における当社の財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断しました。 記 リスク感度を高め不祥事を防止できる企業風土を醸成するために、当社グループ全役職員向けの講義形式の研修と、外部講師を招いた幹部候補生向けのディスカッション形式の研修を実施いたしました。これらの研修を引き続き定期的に開催していくとともに、当社グループ全役職員向けの教育体制を充実させてまいります。
(2)内部通報制度の周知徹底、通報窓口を強化し相互監視体制の強化を行う 内部通報制度を有効に機能させるために、内部通報窓口の設置を行い当社グループの役職員に対して周知を行いました。内部通報制度及び内部相談窓口の活用事例等の周知し、効果的な相互監視体制の強化を進めてまいります。
(3)受注業務プロセスにおける管理体制を強化し売上計上の適格性を確保する 受注業務プロセスにおいて、対応する仕入に伴う現金支出が顧客からの入金に先行する取引を受注する際には、その都度事前承認手続を要求する業務プロセスを新設いたしました。売上計上の適格性を確保しつつ、さらなる有効性と効率性を高めるために引き続き業務プロセスの改善に取り組んでまいります。
(4)取引の与信管理業務について重点的・実効的な強化を行い取引の実在性を確保する 支払業務プロセスにおいて、取引の実在性の確認を強化するための業務プロセスの変更を行いました。取引の実在性を確保しつつ、さらなる有効性と効率性を高めるために引き続き業務プロセスの改善に取り組んでまいります。
以上 |
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付記事項 | 該当事項はありません。 |
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特記事項 | 該当事項はありません。 |
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監査法人 | あかり監査法人 | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
備考 |
№ | 1348 | ||
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企業名 | 新都ホールディングス株式会社 | 市場 | 東証スタンダード |
その内容 | 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。 記 |
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付記事項 | 該当事項はありません |
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特記事項 | 該当事項はありません |
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監査法人 | 監査法人アリア | 監査意見 | 財務諸表監査:適正 |
備考 |