下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすことから、開示すべき重要な不備に該当すると判断した。したがって、当事業年度末時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断した。
記
当社は平成25年10月から開始した一部取引において実在性に疑義があるとの情報を受け、その事実経緯を把握し、その事実認識に基づく対応を当社が決定するため、平成30年9月28日に外部専門家を含む特別調査委員会を設置し、専門かつ客観的な視点から事実関係の把握及び再発防止策の検討等を含め、調査が実施された。
この結果、平成30年11月9日に特別調査委員会より調査報告書が当社代表取締役社長小樋誠二に提出され、調査の結果、当社関係者のいずれもが本件取引の具体的対象商品を確認できたことはなく、客観的にもその実在性を確認できる資料はなかった。加えて裁判所を通した調査嘱託においても、最終顧客と称していた顧客から特定取引先との取引が無いとの回答を得たため、本件取引において、如何なる角度からも対象商品の存在を確認できるものは無く、よって対象商品が存在せず架空であり、資金のやりとりのみが存在する資金循環取引であったと認めざるを得ない、との報告内容を受けた。
これにより、当社は特定顧客との過去の売上高、仕入高及び当該取引に関する売掛金残高に対して計上していた貸倒引当金を取り消すこととした。また、当該取引により発生した当社の支払額と受取額の差額については長期未収入金として認識し、当該長期未収入金に係る貸倒引当金は取引開始の平成26年3月期第3四半期以降の各期において回収可能額を合理的に見積もり、必要額を計上した。これらの訂正にともない、第64期から第68期の有価証券報告書等、及び第64期第3四半期から第69期第1四半期までの四半期報告書等について訂正報告書を11月14日及び15日付で提出することとした。
本事象は、製造業者である当社が不慣れな商事取引にかかわり、与信管理面に加え、契約書の適法性・妥当性の確認や取引の実在性の確認を軽視したことによる商事取引における全社的な内部統制及び業務プロセスの不備によるものであると認識している。
以上のことから、全社的な内部統制及び業務プロセスの一部に係る内部統制における不備は、当社の財務報告に重要な影響を及ぼし、開示すべき重要な不備に該当すると判断した。したがって、第64期から第68期における当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断した。
当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備を是正するため、特別調査委員会の提言を踏まえ、以下の再発防止策を講じ、内部統制の改善を図ってまいります。
(1)契約書の適法性・妥当性などを判断できる体制の整備
(2)法令順守の徹底
(3)与信管理に関する規定の整備・運用
(4)職務権限規程の運用の徹底
(5)意思決定プロセスの見直しと取締役会等の実効性の向上
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