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2016年7月公表「内部統制報告書」記載内容集計

投稿日時:2016年08月01日(月)

 2016年7月1日以降、7月31日までに公表された内部統制報告書について、「有効である」という結論以外となる報告書を提出した企業及びその内容は次のようになっています。

開示すべき重要な不備が存在すると表明した企業
13
重要な手続が実施できないと表明した企業
0

開示すべき重要な不備が存在すると表明した企業

553~555
企業名 住友電設株式会社  市場 東証1部
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。
 

 
 当社のインドネシア子会社であるP.Т.タイヨー シナール ラヤ テクニク(以下「TSRT」といいます)において、前副社長の人事異動により、後任者が業務を引き継ぐ中で、平成29年3月期の施工部門の利益計画と実際の手持工事案件の利益見通しとの間に大きな乖離があり、工事進行基準適用工事において、不適切な会計処理が行われていたことが判明したとの報告が当社に入りました。これを受け、直ちに現地にて実態調査を進めるとともに、平成28年6月17日付で当社取締役社長を委員長とする「調査委員会」を設置し、事実関係の詳細確認、決算数値への影響額及び当該事態が発生した背景や原因などについて調査を実施しました。
 これら調査の結果、工事進行基準適用工事において、完成工事のうち低採算工事を中心に翌年度以降完成予定である手持工事案件への原価付替により損失計上を回避する、あるいは、手持工事案件の見積工事原価総額を過小に見積ることにより工事実行予算の利益率を操作し、工事損失引当金の計上回避とあわせて付替原価に見合う工事売上高及び利益を過大に計上するという不適切な会計処理が行われていたことが判明しました。
 これに伴い当社は、過年度の決算を訂正するとともに、平成26年3月期第1四半期から平成28年3月期第3四半期までの有価証券報告書、四半期報告書について訂正報告書を提出しました。
 本件不適切な会計処理は、TSRTにおいて、平成26年3月期第1四半期の工事売上高・利益が利益計画の数値に達していないことが同四半期末近くに判明し、この事態を前副社長は社長に報告したところ、工事売上高の過大計上の指示を受け、前副社長がこれを実行したものです。このことを境に、前副社長は、「計画必達がトップの方針」との誤った認識を持ち、以降も、計画未達の事態には、原価低減に取り組むものの、最終的には社長に報告することなく不適切な会計処理を安易に選択し、TSRTの業務及び経理スタッフに指示し、実行していました。この行為は、内部統制を無効化するものであり、管理部門も牽制機能を果たせていなかったこと、また、内部通報制度を制定・運用しておりましたが、有効に機能していなかったことがこの行為を許した要因であります。一方、当社のTSRTに対するコンプライアンスの徹底に一部不十分な点があったという不備も、その要因であります。
 以上のことから、当社の全社的な内部統制の一部及びTSRTの全社的な内部統制、売上計上プロセス、原価管理プロセスに関連する内部統制の不備は、当社の財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。
 なお、上記事実は当事業年度末日後に発覚したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。
 当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を強く認識しており、今回の財務報告に係る内部統制の重要な不備を是正するために、調査委員会の指摘・提言を踏まえ、以下のとおり再発防止策を講じ、内部統制を整備・運用してまいります。
 1.工事採算管理の強化
  (1) 工事採算管理の強化
  (2) 実行予算管理システムの再構築
 2.内部統制の強化
  (1) 異例な会計処理に対する取扱ルールの周知徹底
  (2) 会計基準の知識習得とその重要性の再認識
  (3) 取締役会及び経営会議による再発防止策の改善状況トレース
  (4) 内部監査機能の実効性向上
  (5)監査役監査の実効性向上
  (6)三様監査における連携強化
 3.内部通報制度の実効性改善
 4.定期的な人事ローテーションの実施
 5.コンプライアンス意識の向上
  (1) コンプライアンス研修の実施
  (2) トップメッセージの発信
  (3)誓約書の提出
 6.企業風土の改革
  (1) 社員間・部門内外のコミュニケーション強化
  (2) 経営幹部と現場担当者とのコミュニケーション強化

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

該当事項はありません。

監査法人 有限責任あずさ監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考

上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第90期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)554
 第89期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)555

556~560
企業名 株式会社 高田工業所 市場 東証2部
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断した。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断した。
 

 
 当社は、平成27年11月から平成28年2月までの間、福岡国税局により平成24年3月期から平成27年3月期までの課税年度についての税務調査を受け、一部の事業所において完成工事高の繰延、下請業者に対する工事の架空発注及び現金のキックバックが行われていたことが判明した。本件の指摘を受け、平成28年3月、当社は事実関係の解明及び類似案件の有無の検証のため当社とは利害関係を有しない外部の専門家で構成された第三者委員会を設置し調査をした。
 その結果、完成工事高の繰延・先行計上及び原価の付替えが全事業所において工事ごとの原価率の平準化や業績目標達成を容易にするため長期間にわたって行われてきたことが判明した。また、一部の事業所が、交際費予算の補填や社内の慰労会等の費用に充てるため連結子会社である高田プラント建設株式会社及び下請業者との間で不正取引を行っていたことが判明した。
 これらの事実は、全社的な内部統制におけるコンプライアンス意識の欠如、適正な財務報告に関する意識の鈍麻・欠如、本社による管理・統制機能の脆弱性、また事業所での工事の受発注に係る業務プロセス及び工事完了時期の判定等に関する業務プロセスの不備が原因と考えられる。
 これらの不備は完成工事高の計上等の事業所における会計処理を通じて財務報告に重要な影響を及ぼしており開示すべき重要な不備に該当すると判断した。
 上記の開示すべき重要な不備が、当事業年度末日までに是正されなかった理由は、これらの事実の特定が当事業年度末日以降となったためである。
 上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な訂正事項は、有価証券報告書及び四半期報告書の訂正報告書において適正に訂正している。
 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を改めて認識しており、上記の開示すべき重要な不備を是正するために、以下のとおり再発防止策を推進する方針である。
 
(1)業務改革部の新設
(2)当社の役職員の意識改革
(3)事業所・支社の実情に見合った合理的な管理体制の構築
(4)本社による管理・統制機能の改善・強化
(5)不適切な会計処理・取引を防止する受発注及び工事完了時期の判定に関する業務プロセスの確立

付記事項

該当事項なし

特記事項

該当事項なし

監査法人 新日本有限責任監査法人 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考

上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第68期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)557
 第67期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)558
 第66期(平成24年4月1日-平成25年3月31日)559
 第65期(平成23年4月1日-平成24年3月31日)560

561~564
企業名 株式会社シーエスロジネット 市場 東証JASDAQスタンダード
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当連結会計年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
 

 
 当社の平成28年3月期末の決算処理を行う過程において、過年度における売上原価及び買掛金の計上並びに投資有価証券の評価のそれぞれについて一部誤りがあることが判明いたしました。そのため、当社顧問弁護士及び取締役監査等委員で構成される社内調査委員会を設置し、事実関係及び原因解明のための調査を実施した結果、当社取締役会に対して、平成28年7月28日に調査報告書が提出されました。
 この結果、当社は当該不適切な会計処理の過年度決算への影響額、再発防止策等について検討を行い、過年度の決算を修正するとともに、平成24年3月期から平成27年3月期までの有価証券報告書及び平成25年3月期の第1四半期から平成28年3月期の第3四半期までの四半期報告書について、平成28年7月28日に訂正報告書を提出いたしました。
 また、当社は、平成27年3月期において、適正な財務報告の作成に必要かつ十分な専門知識を有した人材の不足による承認手続が不十分であったため、監査人より会計処理及び開示の誤りについて多数の指摘を受けたことから、決算・財務報告プロセスにおいて開示すべき重要な不備を認識しておりました。そのため、当社は、当該開示すべき重要な不備を是正するために必要な能力を有した人材の確保に努めましたが、結果として人材が定着しなかったことに加え、連結子会社の増加に伴う業務量の増加もあったことから、平成28年3月期においても、必要な能力を有した人材を必要数確保することができず、結果的に会計処理について監査人より多くの指摘を受けました。
 これらの事実は、適正な財務報告の作成に必要な能力、知識、経験を有した人材を必要数確保することの重要性に対する経営陣の認識の甘さという全社的な内部統制の不備が存在していること、また、適正な財務報告の作成に必要な能力、知識、経験を有した人材が不足していることによりチェック体制が不十分であるという決算・財務報告プロセスにおける運用上の不備が存在していること、さらに、買掛金について販売管理システムと財務会計システムとの整合性の確認や、販売管理システムと仕入先からの請求データとの消込みが一部有効に実施されていなかったという業務プロセスにおける運用上の不備が存在していることにより発生したものと認識しております。
 以上の当社における全社的な内部統制、決算・財務報告プロセス及び業務プロセスにおける不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高いことから、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
 なお、上記事実は、当事業年度末日後に発覚したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。
 当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を強く認識してはおりますが、改めて経営陣がその重要性を再認識し、適正な財務報告の作成に必要な能力、知識、経験を有した人材を必要数確保し、社内において誤りが防止・発見される仕組みを構築する方針であります。
 
 なお、上記開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、平成28年3月期の有価証券報告書に反映させており、連結財務諸表及び財務諸表に与える影響はありません。

付記事項

特記すべき事項はありません。

特記事項

特記すべき事項はありません。

監査法人 監査法人アヴァンティア 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考

上記の他に、以下の会計年度において、同様の内容で訂正内部統制報告書を提出している。
 第32期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)562
 第31期(平成24年4月1日-平成25年3月31日)563
 第30期(平成23年4月1日-平成24年3月31日)564  

565
企業名 株式会社フィット 市場 東証マザーズ
その内容

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

 当社の平成28年3月期決算において、エナジー事業の売上計上の時期に関する会計処理について疑義が生じ、かかる会計処理の前提となる事実の調査のため、第三者調査委員会を設置し、調査を行いました。
そして、調査委員会から平成28年6月24日に受領した調査報告書により、外部環境の変化が当社のビジネスモデルに影響を与えたことに加え、上場との関係、売上計上にかかる業務体制上の問題点、内部管理体制の不十分さ、役職員の会計処理に関するコンプライアンス意識の欠如等の諸要因によって、売上計上に関しまして、一般に公正妥当と認められる会計基準と照らして適正性を欠く取引が判明いたしました。
 
 当社は、第三者調査委員会の調査結果に基づき、エナジー事業売上計上に関しまして、一般に公正妥当と認められる会計基準と照らして適正性を欠く取引を網羅的に検討した結果、平成28年3月期のエナジー事業売上については、引渡日が明確に、または蓋然性をもって説明できる案件以外は系統連系日に引渡をおこなったものとして売上計上する処理を行うこととしました。
 本件に対する当社の対応としましては、平成28年3月期第3四半期の決算を訂正し、有価証券届出書の訂正届出書を提出いたしました。
 
 これらの事実は、売上計上にかかる業務体制上の問題点、内部管理体制の不十分さ、役職員の会計処理に関するコンプライアンス意識の欠如等に起因するものです。
 当社は、これらの不備が財務報告に与える重要性は高いものと判断し、これらの全社的な内部統制、決算・財務報告プロセス及び売上計上プロセスに関する内部統制の不備は「開示すべき重要な不備」に該当すると判断いたしました。
 当社は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を認識しており、内部統制報告書提出日現在、下記の再発防止策を取り組んでおり、翌事業年度においては、適切な内部統制を整備し運用する方針であります。
 上記の内容は当事業年度末日後に事実確定したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、すべて財務諸表に反映しており、これによる財務諸表監査に及ぼす影響はありません。
 
 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、上記の内部統制の不備を是正するため、現在取り組んでいる再発防止策は以下のとおりであります。
 
(1) コーポレートガバナンスの強化
  ①監査等委員会設置会社への移行
  ②ガバナンス委員会の設置
 
(2) コンプライアンスに対する役職員の意識の向上を図る施策の実施
 
(3) 内部管理体制及び業務体制の見直し
  ①内部監査室の充実
  ②経営会議の機能の強化
  ③社内規程、マニュアルの整備
  ④内部通報用外部窓口の設置
  ⑤経理部門における売上計上手続の見直し
  ⑥会計システムの見直し
  ⑦営業部門における証憑取得手続の見直し
  ⑧人員配備の改善にかかる施策の実施

付記事項

該当事項はありません。

特記事項

特記すべき事項はありません。

監査法人 監査法人アヴァンティア 監査意見

財務諸表監査:適正
内部統制監査:適正

備考

重要な手続きが実施できないと表明した企業

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