下記に記載した財務報告に係る内部統制に関する事項は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。従って、2021年3月31日現在における当社及び連結子会社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
記
当社は、棚卸資産の残高確定の過程において過去の会計処理に誤りがある可能性が判明したため、2021年5月20日、社内調査委員会を設置し、調査を進めておりましたが、調査の過程において、当社役員による不適切な業務執行の可能性を含む内部統制上の問題が存在する疑義が生じました。そのため当社は、より客観性・独立性を高めた調査を行うため、2021年6月24日、特別調査委員会に移行した上で、調査を進めてまいりました。
2021年9月17日に特別調査委員会から調査報告書を受領し、過去より棚卸資産(仕掛品)残高が過大に計上されていたことの報告を受けました。
当社は、調査報告書の内容を検討した結果、過大計上となっていた棚卸資産残高の修正を行うため、2017年3月期から2020年3月期までの有価証券報告書、及び2019年3月期第2四半期から2021年3月期第3四半期までの四半期報告書についての決算訂正を行い、2021年10月6日に訂正報告書を提出いたしました。
当社の棚卸資産残高が過大計上となっていた直接的な要因は、過去からの誤謬により滞留していた仕掛品の残高があった点、これを隠蔽するために担当者が不適切な時期に不適切な方法で原価振替していた点にあります。その背景として当社の原価計算システムを含む原価計算プロセスの複雑性に加え、原価計算担当者に業務負担が集中したことや、その一方で原価計算担当者によって独断的に業務が進められ、原価計算担当者に対する牽制機能が十分に働かなかったことがあげられます。また、当社における全社的な問題として、社内規範等に対するコンプライアンス意識が不十分であったという点に加え、経営陣も含めた上席管理職側での原価計算プロセスに関する理解不足により、十分な情報共有やモニタリング、識別した課題への対応ができていなかった点も認識しております。
また、会計監査人からの指摘により、特定の条件が重なった海外仕入先一社に対する発注及び検収のシステム登録が漏れており、買掛金の過少計上が発生していることが判明しました。
当社は、これらの内部統制の不備が財務報告に重要な影響を及ぼしており、全社的な内部統制並びに原価計算プロセス及び海外購買プロセスに関する内部統制の不備について開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。
上記事実は当連結会計年度末日後に発覚したため、当該開示すべき重要な不備を当連結会計年度末日までに是正することができませんでした。なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、全て財務諸表及び連結財務諸表に反映しております。
当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の改善策を講じて適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。なお、海外購買プロセスに関する内部統制については、国内仕入先に導入した電子発注システム(EDI)を海外仕入先にも導入し、運用の統一化を行った結果、2020年3月末までに発注及び検収に関する是正措置を完了しており、今後は発注から支払までの進捗管理を強化してまいります。
(1)組織体制の再構築
① 原価計算担当部署の業務、権限及びチェック体制の再構築並びに担当部署の増員と外部専門家導入による人員面の強化
② 内部監査部門も含めた管理部門によるモニタリング機能の強化、内部統制に関する体制の見直し
③ 経営陣を含めた管理職及び当該部門担当者の原価計算に関する業務及び会計知識の向上
(2)システムの改善・改修
① 仕掛品及び原価計算に関するシステム改修
② 上記改修実現までの間の仕掛品及び原価計算に関する運用改善・統制強化
(3)コンプライアンス意識の改革
① 当社の問題点に即した研修・教育の継続的な実施によるコンプライアンス意識の醸成
② 再発防止策の徹底と継続的なモニタリング
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